画面のレイアウトが乱れる方へ

 

 ローマ、フィレンツェ、ヴェニスを12日間の急ぎ足で見て参りました。
観光名所やお勧めスポットなどは、美しい写真と共に多くのガイドブックで詳しい紹介を見ることができますから、ココで観光ガイド的な旅行記を展開することには、あまり意味を見出せません。
 たとえば、コロッセオの迫力を説明して、それを見たわたしの感想を伝えることよりも、駅前で剣士の衣装を付けたおじさんと一緒に写真を撮ってから、請求された金額が果たして妥当なものだったのかどうか、いつまでも悩んだというようなエピソードを中心に進めていくつもりです。         
                           01/01/16 
 




   

フィレンツェの2日目

 フィレンツェ、2日目の早朝、わたしたちはレストランがオープンする7時キッカリに朝食におりて行ってホテルのスタッフを慌てさせました。(ちょっと、待たされましたもの。)本当なら、こんなに早くから動き回らず、まどろむようにゴハンにも時間を費やしたいところですが、2日後にはフレンツェを後にしなくてはならない旅行者は、朝からテンションが高いのです!
 ホテルを出たのは8時30分頃でしたが、歩く道々に人の姿はなくて、街は静かなものでした。前日にミケランジェロの丘を目指した時に、横目に見て通り過ぎた、フィレンツェのシンボル、ドゥオモ(左は、上部のアップ)もこの時ばかりは一人占めです。とはいっても、やっぱり大きいんですね。前に立ってニッコリ笑っても、背景にあるのが何なのか分からないし、せめてドゥオモの一部分でもと撮ったのが右下のイメージですが...歩き回る主人が小さく見えるでしょ?

 以前、ヴェルサイユ宮殿の半日観光に参加した時に、その建築素材に言及した現地のガイドさんから、(フランスは)イタリアのように大理石が採れなかったという話を聞かされましたが、ドゥオモはまさに大理石づくし....。艶やかな壁面とあざやかな彩りが印象的で、この後、ヨーロッパの教会の写真等を見ても、ドゥオモだけは見誤ることはないと思います。

 もっとも、この日の観光のメインは、ウフィッツイ美術館
(下のイメージは、アルノ川対岸から見たウフィッツイ美術館。)
 フィレンツェを訪れるプランではどこの旅行会社の商品でも必ず立ち寄ることになっている人気スポットですね。どのくらい人気があるかというと、ほとんどのパックツアーには混雑時にはウフィッツイ美術館の観光は他所に切り替わるばあいがあるというただし書がついているくらいで、結果的には見学が叶わない場合も少なくなさそうな場所です。
 某大手旅行代理店のツアーに参加した知人の場合も、夏休み期間でも年末年始でもなく、ただの平日出発だったにもかかわらず他所に切り替わったそうで、知人は、フィレンツェ観光のメインのような紹介をされているウフィッツイ美術館は見学できない(しない?)ことを分かっていながら、客寄せの為にスケジュールにいれているようなものだから期待しない方がいいというアドヴァイスまでくれました。
 個人旅行の場合は多少の融通がきくとはいえ、長く待たされるのはかないません。と、いうのも、わたしたちは絵の勉強をしているわけでも、ボッティッチェリの研究をしているわけでもなくて、単なる観光客なのですから。 1時間や2時間並んだって『ヴィ−ナスの誕生』を自分の目で直に見られるのなら本望、という心境にはなれないんですね。
 はずしたくない観光スポットだけど、目的はウフィッツイひとつに絞ることはできません。買い物だってしなきゃいけない...。
 わたしたちはそこで、予約を試みました。
 集めたパンフレットの中のごくごく一部のツアーでは、ウフィッツイ美術館は予約済みなので確実に見学するということをアピールしている商品がありましたし、予約に関してはガイドブックの1册に“耳寄り情報”として掲載されてもいました。もっともこちらは情報が古かったのか、誤報か.....予約をしてから24時間以内にチケットを引き取らなくてはならないということで、1月1日にフィレンツェ入りするわたしたちには、耳寄りでも役立たない情報どころか、この情報故に一旦は予約を諦めたものでしたが...。
 救いはホテル・リージェンシーから届いた宿泊確認のファクスに添えられていた案内で、到着前のリクエスト、例えばウフィッツイの予約等の希望があれば、コンセルジュが対応してくれるというのですね。24時間以内の引き取りが本当に必要かどうかは別として、フィレンツェ到着以前に(少なくともホテルを通せば)予約は可能ということです。
 すぐにもコンセルジュに連絡をとりたいところでしたが、躊躇させた言葉がひとつありました。
 某カード会社に予約の件を問い合わせた際のこと、現地でしか受け付けていないというので、それでは現地のオフィスの連絡先を尋ねたわたしに「直接行かれた方が....なにしろイタリアですからね〜。」とスタッフが......。この“イタリアですからね〜”という言葉の真意を確認はしなかったものの、わたしにはその時“当てになりませんからね〜”というように聞こえてしまったのです。
 親切なコンセルジュに任せて、行ってみたら予約は取れていなかったでは、笑えません。(こちらの勝手な不安です。念の為。)
 結局、わたしたちは、予約番号を記載した確認書が即座に送られてくるシステムの別のカード会社で予約を頼んだのですが、入場予約時間は10時15分。当日の30分前に窓口で料金を払ってチケットを受け取るようにという案内を受けました。ただ、混雑してると予約チケットの受け取りにも時間がかかることがあるので、気をつけるようにというアドヴァイスが付いた為に1時間前の到着を目指しました。(並んでも良かったんじゃない?と言われそうですけど...チケットを受け取ってしまえば予約時間までは自由ですし、午後の予約で午前中に受け取ったり、前日に引き換えたりすれば効率アップにつながります。休みの翌日の10時台というのは、予約のメリットが最も少ないスケジュールだったと思います。)
 予約チケットの引き換え場所と通常の窓口は違うはずなのですが、1日はクローズしている状態でしたから、事前偵察も意味をなしませんでした。で、ホテルを出る時にスタッフに尋ねたところ、美術館の見取り図の上に通常の入り口(「ココの列には並ぶ必要はないのよ。」と言う説明つき。)と予約済みゲストの入り口がある辺りに印を付けてくれました。

 ところが、ドゥオモで記念撮影をした後、9時くらいでしょうか、予定より少し早く到着した美術館の前には、並ぶ必要のない列以外の場所にも列やら人だまりやらができていて、わたしたちは行くべき場所を見失いました。仕方なくロープで通せんぼされた入り口の向こうにいたスタッフに声をかけて予約確認書を見せると、なんと通せんぼロープをくぐるようにして中に入れられ、中の列をかき分け、追い越してチケット交換ブースまで案内されました。
 ロープや追い越した人達の列が何だったのか、いまだに不明です。
 その上、予定外だったのは、そのまま中に入れられてしまったこと。
 チケットを引き換えたら予約時間まで、人通りのまだ少ないヴェッキオ橋などを歩いてみようかと思っていたわたしたちは、わけも分からないうちに、(チケットには一応10時15分の印字があったのですけど)ウフィッツイの中に呼び込まれてしましました。確かに、待たずに入ることができたわけですが、同時にかなりアバウトな部分も見た気分でした。
 右上のイメージでは入り口は見えませんが、左翼手前にあります。午後には、中庭のざわめきもなくなっていました。冬はやはり観光客も減るのでしょうね。

 展示されている数々の名画については、本物を見たという経験に満足したというのが正直なとろこでしょうか。
 ただ、ラファエロの『ヒワの聖母』を遠目に見た時に、イメージと違ってがっかりしかかったのが1番記憶に残っています。こんな絵だったのか〜と近付いて見るとそれは模写されたものだとわかりました。本物は、修復中だったのです。律儀な模写絵に一瞬騙されそうになりましたけど、ちゃんと違和感を感じた自分達の“見る眼”に喜びを感じたものです。(一瞬でも騙されそうになったことを、恥じるべきかしら?)

 ウフィッツイ美術館を出た後は、近くでかなり遅いお昼をとってから、ビアンキ・エ・ナルディへ...。
 フィレンツェでの初ショッピングが、2日目唯一のお買い物でした。

                                          01/12/10 
 
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