画面のレイアウトが乱れる方へ

 

ローマ、フィレンツェ、ヴェニスを12日間の急ぎ足で見て参りました。
観光名所やお勧めスポットなどは、美しい写真と共に多くのガイドブックで詳しい紹介を見ることができますから、ココで観光ガイド的な旅行記を展開することには、あまり意味を見出せません。
 たとえば、コロッセオの迫力を説明して、それを見たわたしの感想を伝えることよりも、駅前で剣士の衣装を付けたおじさんと一緒に写真を撮ってから、請求された金額が果たして妥当なものだったのかどうか、いつまでも悩んだというようなエピソードを中心に進めていくつもりです。         
                           01/01/16  




   

 朝食について

 今回、各ホテルは朝食付きのプランで予約をとったため、朝食だけは、規則正しく食べました。
 いづれも、フル・ブレックファーストと呼ばれるビュッフェスタイルの朝食で、卵料理、ハム類(種類は多かったです。)チーズ類にフルーツ、ヨーグルト、シリアル....までは、種類や調理方法の違いがあるくらいで、パリやロンドンでも、見てきたラインナップです。
 パンと飲み物だけの、コンチネンタルスタイルの朝ごはんは、若かりし頃のドイツ旅行以来、お目にかからなくなりました。

 ロンドンの朝食とパリの朝食にお国柄の違いがあったとすれば、パリのコーヒーが(ミルクをいれるので)自動的にカフェ・オレになったことくらいでしたが.....ローマでは、カプチーノもエスプレッソもリクエストしなくてはなりませんでした。
 イタリアだから、黙っていても...と期待していた初日には、コーヒーか紅茶かと聞かれて、コーヒを頼んだのですけど、カフェ・オレよりはミルクの量が少ないミルクコーヒーが目の前でつくられました。スタッフが両手にそれぞれコーヒートミルクのポットを持って、高い位置から同時にカップに注ぐのですから、ホントにミルクコーヒーです。これはこれでなかなかおいしい飲み物でしたけど、翌日はカプチーノをオーダーしました。コーヒーか紅茶かと尋ねられて、カプチーノと答えても、スタッフは一瞬の躊躇もなくサービスしてくれます。おそらく、コカ・コーラを希望してもすんなりと出てくるのでしょうね。(パリの朝食時にコーラを飲んでいるおじさんを見ましたけど、AとBのどちらがいいかと尋ねられて、Cと答えるゲストは珍しくないようで、わたしたちも行く先々で出会っています。)

 上のイメージはローマのエクセルシオールのダイニングです。
 ホテルによっては入り口近くにスタッフが待機していて、ルームナンバーのチェックをするところもありましたが、エクセルシオールでは、まずテーブルへの案内があって、それから別のスタッフがルームナンバーを聞きにくるのですね。チェックもれの心配をしたくなるようなシステムですが、一応、わたしたちは4日とも聞きにこられました。ただし、見事に時間はバラバラで、席に着くなりの日もあれば、ほとんど食べ終わりそうになってようやくという日もありました。
聞きに来るスタッフは、小さいメモを持っているだけなのですが....
2日目の朝、日本からの団体客(いたのですね〜。)と時間が重なった時に、ウチのルームナンバーを聞いて、「**ツアーじゃないのね?」と確認されたので、はたから見るほど、いいかげんでもなさそうです。
 各テーブルにはアイシング(プレーンなお砂糖味やモカ、いちご風味)がかけられた巨大なクロワッッサンがてんこ盛りになっていて、それ以外の甘くないパンはシリアル類と共に中央テーブルに用意されていました。
 右のイメージでは死角になってしまいましたが、ツリーの後ろ、入り口のすぐ右手にクーラワゴン(のようなもの)があって氷がはられた下の部分には、モッツァレラチーズが袋(パッケージは数種類)ごと並んでいました。そして、ワゴンの上の段には3種類のケーキが...。3つともホールの状態で置かれている上、誰も手をつけないので、最初は朝食時間後のティータイムの準備品かと思ったのですが....。朝食時間に合わせて焼き上げているようなので、3日目にミルフィーユの一角を崩しました。部屋を出る時から、「今日は、ケーキを食べる!」という意気込みで臨みましたが....ケーキ(おいしかったのですけど)に、生ハムやスクランブルエッグには合いませんね。
 ケーキもカプチーノも甘いので、口直しにモッツァレラチーズにも挑戦しましたが、袋の中でチャプチャプ浮いているチーズを取り出すのに苦労しました。朝ごはんとしては、あまりお薦めできない組み合わせです。
 ところで、4日目の朝、このレストランで、目を見張る光景に遭遇しました。
 壁を背にして、料理の並ぶテーブルが見える位置に座っていたわたしは、奥から出てきたスタッフがテーブルの前で紙袋の取っ手を両手で持って、ポン!と膨らませる様子に気をとられました。にこやかなスタッフの視線は入り口近くの席の若い(多分)欧米人カップルに向かっていて、状況は違いますが「さあ、お立ち会い!」の雰囲気です。
 それに答えて立ち上がったカップルは、スタッフが口を開けて持つ袋に、テーブルに盛り付けられたまるごと果物を入れ出したのですね。相談しながら....リンゴをふたつ、バナナを2本、オレンジに洋梨....え〜と、後は...?ぶどうはいかが? そうそう、ぶどうも一房(一房、です。一房。)!そして彼等はくだものでいっぱいになった袋をスタッフから受け取って、出て行きました。食べた量よりもお土産の方が多かったりして...。
 ビュッフェの朝食にオムレツとスクランブルとゆで卵しかないホテルで、目玉焼きをつくってもらっている人や、ロンドンのホテルのラウンジで(アフタヌーンティーの時間帯に)こども用に,星条旗付き、ポテトチップス添えのハンバーガーをオーダーする人など、(ある意味)感心させられるゲストを目撃してきましたが....ビュッフェの会場から袋一杯のお土産を持ち帰るなんて...しかも、その果物セットは、わたしたちが前夜にルームサービスで注文したものとモノは変わらず、量は多し、ですから、ショックでした。
 これが1日か2日前に見たことなら、ケーキの持ち帰りにわたしも挑戦していたかもしれませんが.....。

 フィレンツェ、リージェンシーは、宿泊客以外に朝食をとりにくるゲストもいないということなのか、ル−ムナンバ−等のチェックはまったくありませんでした。
 朝の挨拶をしながらの席選びも、ゲスト主導です。さあ、どこでも、好きなテーブルへどうぞというわけですね。
 エクセルシオールよりもシンプスなセッティングで、品数も少なめでした。ハムやチーズはあるのですけど、温かい料理がなかったので、ワンランク上のコンチネンタルスタイル、という感じです。
 小さめサイズのディニッシュの種類が多く、とてもおいしかったです。
 甘くないパンは、ゲストが自由に切り分けて食べるように板の上にナイフと一緒に置かれていました。左のイメージの中央、ポットの右手前に白い帽子をかぶっているふたつが、そのパンで、表面が固く、切りにくそうだったので、初日は手をつけなかったのですが、仕事で泊まっているのか、ひとり行動のおじさんが、スライスしたパンにハムやチーズを挟んでバクッっとかぶりつく様子がものすごくおいしそうだったので、後日、真似をしました。
 けっこうなボリュームになるので、わたしは主人のをひと口、カプッとでしたが.....。噛み応えのあるハードなパンでしたが、シンプル イズ ベストを証明するような、味のあるサンドイッチが楽しめました。
 ケーキも、クリームやフルーツはナシの、生地のみを味わうタイプで、やはり、ゲストが自分でカットするようになっていました。ただ、こちらは、低温に保つ必要がないからでしょうね、他のものと一緒にテーブルに並べられていたので分かりやすかったです。ケーキも、朝ごはんのアイテムなんだなと....。
 朝のダイニングでは、他のゲストともいっしょになりますが、自然に挨拶が交わされるの雰囲気の良さは、特筆もので毎朝、気分のいいスタートがきれました。雰囲気も味のうちとはよくいったものですね。満足の朝食でした。

 リージェンシーとはうって変わって、ヴェニスのダニエリは大型ホテル。団体客も宿泊しています。
 ダイニングの入り口には、ルームナンバーチェックの関所がありました。客室一覧表をペラペラとめくって、確認した後、入ってよし(とは、言いませんが)となって、席に案内されます。
 淡々としたスタッフは、揃って無口な人達という印象....。飛び跳ねるようなイントネーションの“Buon giorno”もありません。でも、欧米のゲストとは、にこやかに話す場を目にすることも少なくないので、無口というよりは、特定のゲストに対しては、寡黙になるというべきでしょうか?
 サッカーのワールドカップ開催時に、フランスのホテル等で日本人向けのサービスマニュアルが整備されたという報道を思い出しました。目を合わず、握手をせず、親しみをあらわすよりも従者のごとく振る舞うサービスを....でしたっけ? まさか、ダニエリにもこのマニュアルが配付されたわけではないでしょうけど、誤解や勘違いがあるにせよ、根拠もなくマニュアルができるわけもありませんから、「特別サービス」はサービスを受けるわたしたちにも原因があるということでしょうね。と、頭では思っても、なんとなく居心地が良くないのは、リージェンジーの後だったからでしょうか。
 ただ、ホテルの感想でも触れましたが、これはあくまでも空気、というか雰囲気で、スタッフがわたしたち(日本人)に対してのサービスを軽んじているということではありません。
 右上のイメージは、食事中に入港してきた客船を撮ったものですが、この時に、ガラス越しにシャッターを切っていたわたしを、冬期は閉鎖中のテラスに出してくれたのも、寡黙なスタッフのひとりでした。ゲストが何をしたいのかを見極めて対応するという姿勢に変わりはありませんでした。
 その、ダニエリのビュッフェメニューは、3つのホテルの中で最も種類が多く、セッティングも華やかでした。
 エクセルシオールでは、袋の中で液体に浸かっていたモッツァレラも、ここでは一口大の球状のものが、クリスタルボールに盛り付けられていました。カラフルなスティックが、飾りのように突き刺さっていて、取りやすく、かつ、食べやすかったです。パン、ケーキともに、ゲストが自分で切り分けるタイプのものはなく、数種類のケーキ(甘いお菓子)も あらかじめカットされていました。イタリアにしては、小さめサイズなのでしょうけど、種類を食べるには(わたしには)やはり大きすぎ...。どれにしようか迷っていると、なんと、ありがたいハ−フサイズがありました。誰かがひとつをさらに切り分けて持って行った残りのようです。
 食べられる量しか取らないという基本は守りながら、食べたいものは諦めないという逞しさを見た思いでした。
 渡りに舟で、わたしはその残り半分を頂戴しましたが、他の料理は、一口づつでも、全種類制覇はかなわず、心残りでした。
 と、いうのも、実は、わたしたちは朝食付きのプランでしたから関係ないのですけど、朝食は別払いのゲスト用に各テ−ブルにビュッフェ内容と価格が書かれたメニューが置かれていた為に、ダニエリの朝食は(だいたい)5000円という値段がはじき出されて....小さな声で大騒ぎしたのですね。5000円の朝食、まずけりゃ詐欺だ!ということで、期待と気合いの朝ご飯だったのです。
 主人はもちろんがんばりました。
 残念ながら、ダニエリのセッティングイメージは、見つかりません。(撮ったかどうかも覚えていません。)価格に煽られ、がんばって食べることに集中していたようです。

                                       02/02/09 

 
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