画面のレイアウトが乱れる方へ
北海道(のどこか)にお住まいのみきさんが、水の教会のイメージを送ってくださいました。10月下旬にいとこさんの結婚式の際に撮影されたものだそうです。季節もアングルも目にする機会の少ないイメージですから、みきさんの御了解を得て、紹介させていただきます。
コメントはJUNのものです。みきさんからの情報や感想は『』で区別して引用させていただきました。
おことわり
  トマムに行ってこられた方々が掲示板に書き込んでくださる率直な意見や感想は、実体験以上の参考資料はない、という観点から、できる限り当HP上に保存の上、紹介させていただきたいと考えています。
 書き込みの大半はトマム最新情報のページでご覧いただけますが、イメージや非常に多くのレポートを頂戴したものについては、投稿者の了解の上、専用ページで保存させていただきました。トマム関連の全リストを用意してますので、御活用ください。また、HP上のトマム専用ボタンもリストにリンクしています。
                            02/11/05  


 水面に影を映して立つ水の教会のシンボルは、晩秋の静寂に包まれて厳かに見えますね。

 実はこの季節の水の教会をわたしは直に見たことがありません。9月、10月、トマムで遊ぶ機会はありましたが、巡り合わせが悪いというのでしょうか、水の教会はその本来の目的である挙式の為に、一般見学はできない時ばかりでした。
 トマムを訪れる大半のゲストも、わたしの例にもれず、雪に閉ざされた教会をご覧になったのではないでしょうか。厳しい寒さの中で凍り付いていた無機質な十字架の、孤独な逞しさは冬の顔、右のイメージとは別のものですね。
 雪解けとともに季節が動き出す新緑の春からまばゆいばかりの夏を経て、 白樺の木肌の白さもあらわになる秋の終わりを迎えた十字架は、こんなに穏やかで、そして凛としてたたずんでいるのですね。来るべき過酷な冬へ、覚悟を決めたかのような美しさです。

 左のイメージは教会の内部からのものです。
 十字に仕切られた大きな窓の外に、森と水に抱かれた十字架を見ると、水の教会という名前の由来を理解できるかもしれませんね。
 目に映る景観は、季節はもちろん、空の色、風の強さ、空気の流れにも影響を受けて変わり行く、一期一会の絵画です。唯一無二の十字を前に永久を誓うのも感慨深いものかと推察します。
 ただ、見学の為に中に入られた方は御存じでしょうけど、この教会は、(素直な経路を進むと)一旦上に上がって、それからまた下に降りることになるんですね。傾斜地に建っているので、左の内部は入り口から見ると地下になります。
 挙式に臨席されたみきさんは、『教会は階段が多くて、和服姿の母やおばあさんたちにとっては大変だ』と思われたそうです。(ウェディングドレスでも大変かも...。)その感想をスタッフに話したところ、『有名な建築家の作品だと自慢げにかえされた』とか。みきさんの直球の感想に、スタッフの応対は苦肉の変化球......。でも、確かに、設計の段階でバリアフリーのことは考えられなかったような造りです。どこかに秘密の入り口があるのならいいのですけど、足腰が丈夫でなくちゃ中に入ることが叶わないかもしれないのは、残念ですね。

 教会は世界的に評価の高い、安藤忠雄氏の作品だそうですが、建築家の名前とは無縁の生活をしていたわたしたちにとっては、有名な建築家が設計したらしい教会は、最初はコンクリートの変わった建物でしかありませんでした。
 
 当時は今のように見学の案内が表示されていなくて、入っていいのやら悪いのやらのビミョーな雰囲気がありましたが、わたしたちは(もう10年以上前の事ですから、時効ということで...)侵入禁止を思わせられる障害物を乗り越えて中を目指したものでした。
 下に通じるドアまでなんとか到達したものの、行き止まりだ(鍵がかかってると思いました。)と諦めかけたところに、タイミング良く(立場をわきまえれば、タイミング悪く)中からおじさんが....。管理担当のスタッフだったようですが、鍵を閉めるのを少し待って、中に入れてくれました。正直なところ、とても感動したという印象は残っていません。なにぶん、冬のことで、水のひと雫もありませんでしたしね。
 ただ、水の教会に出会ったことで、わたしたちはテレビや雑誌の中の安藤氏の名前に反応するようになりました。打ちっぱなしのコンクリートのシンプルな外観、 水や光を操り、自然との調和を意識した仕上がりが、安藤作品の特色のようで....遅ればせながら、なるほど、なるほどと感じ入ったものでした。

 義母は“設計者、安藤忠雄”の情報を持っていたようで、数年前に初めてトマムを案内した際、散策の先にコンクリートの塀を見た時に、「あれは...まさか?」という話になりました。
 北海道の山の中での思わぬ出合いに、義母は少し興奮状態でした。辺り一面若草色の、6月のことです。

 義母の感動は、百聞は一見にしかずというものの、情報が一見を深めることもあるという実例といえそうです。

 これからのスキーシーズンに、見学の機会を得る方もいらっしゃるかと思いますが、みきさん提供の秋のイメージを覚えて行ってくださいね。

 雪と氷の下にある水鏡を想像する時、教会を取り巻く銀世界に別の色が浮かび上がるかもしれません。

                                      02/11/06  

 

  いただいたイメージには、明るさ、サイズ、角度に若干の変更を加えています。