画面のレイアウトが乱れる方へ

 2003年6月16日、“「トマム」所有の関兵精麦が民事再生法申請(NIKKE INET 記事見出し)”という報道がありました。御覧になった方からお知らせを頂戴して、わたしも驚きましたが、実はトマム(アルファ・コーポレーション、施設の4割を所有、当時のトマムの運営会社)は5年前に破産宣告を受けています。
 夏と冬に定期的に利用していたトマムの破綻は他所事ではなくて、当時、我が家では意識して情報を集めたものでした。破綻報道は大きく取り上げられながら、その後の経過を道外で知ることに苦労したのを覚えていますが...トマムはその年の冬には結論が導かれて、現在の形での運営が再開されています。ゲストとしてトマムを利用する際に、過去のトラブルを蒸し返して知ることが役にたつとは思わないので、当HPのトマム情報では5年前の一件に関しては積極的には言及していません。
 ただ、今回のトラブルは現在進行形です。全く触れることなくトマムで遊ぶ話を展開するのは不自然と感じましたので、このページを用意しました。進行形の事態を理解し易くする為に、過ぎた事に触れています。
 トマムに対して“好意的”な方々(あるいはトマムの利用を考えている方)が、無責任に交わされる噂や必要以上によくない想像に心が乱れた時の、ケアを目的とした情報提供です。ゲストの視点なので、100パーセントの正確さを保証するものではありませんが、例えばネット上で得られる情報の中では最も信頼に値するもののひとつと思っていただいて問題はありません。
 わたし自身はもちろんトマムに
“好意的”な立場ですが、その“好意”は、手持ちの情報の解釈を誤るほど強烈ではないのでご安心ください。

 情報源は、日本経済新聞、北海道新聞、財界さっぽろ、道新TODAY、クオリティ、the HOTEL、およびトマムスタッフとの会話などです。日時が確定できるものは記載しました。
 

 

アルファ・コーポレーション破産宣告 1998年5月27日

 第1報は、目覚ましテレビのニュースでした。簡潔な報道で一瞬耳を疑いましたが、数カ月前にスキーで訪れたトマム現地で“何かが起こりそう”な予感はあったので、やはり...という気分で受け止めました。
 トマムがふたつの会社から成っていることを、ハッキリと理解したのはこの報道がきっかけです。

 関兵精麦株式会社 本社は仙台にある“不動産やさん”で、トマムの開発の主体会社だと聞いています。中心は当時の取り締まり役の関光策氏。ただ、リゾート事業への進出については、会社内部でも温度差があったようで、非常に積極的な光策氏に理解を示す社長(?会長でしょうか? 氏の父君です。)に対して、慎重意見も少なくなかったという噂がありました。初期開発のトマムの施設を保有

 アルファ・コーポレーション 昭和57年に設立。関兵精麦株式会社からリゾート開発事業部が独立したというところでしょうか。代表は関光策氏。ガレリアスウィートタワー以降の、つまりは会員制のトマムの施設を保有。会員権の販売と関兵精麦株式会社所有の施設を含めたトマム全体の運営はアルファ・コーポレーションによって行われていたといいます。関光策氏は他にもリゾート関係の会社を多数設立して、代表に就任ています。

 アルファ・コーポレーションの破綻の原因は、開発を急ぎ過ぎた(無理をした)ところにバブル経済の終焉、拓銀の破綻などの負の要因が重なったといわれていますけど、関兵精麦株式会社の意向の影響も少なくなかったようです。世代交代で、開発に対しての慎重、堅実な考えが主流になったのでしょうね。ガレリア建設にも反対意見は多かったと聞きました。
 ガレリアの1棟分の会員権は某生命保険会社が買い取るという予定だったのに、でき上がった時には該当保険会社はそれどころではない経営状態に...。売れていたはずの会員権が丸ごと売れ残ったことが資金難の始まりとも聞きましたが、定かなことはわかりません。ただ、会員権の販売がひと頃のように順調ではなくなったのは事実のようです。

 アルファ・コーポレーション破産宣告によって、保有施設は買い取り先が決まるまでに数カ月はクローズされていました。(ヴィズとガレリアは9月以降、それ以外は破産宣告直後からだったと記憶しています。)
 ただ、トマムには関兵精麦株式会社所有の施設があります。この部分の経営はというと、アルファ・コーポレーション破産宣告を受けた時には、すでに運営は別会社に委託されていたというわけで支障はなかったようです。
 委託したのは関兵精麦株式会社、委託を受けたのはルスツリゾートを所有している加森観光株式会社。委託の時期は、アルファ・コーポレーション破産宣告の数カ月前、97年の年末以前かと推察します。(98年2月にスキーで訪れた時に、社長の交代や運営会社が変わったことなどを、スタッフから聞いていましたから...。)その後の報道で分かったことですが、関兵精麦株式会社は自社所有の施設の運営を委託していたアルファ・コーポレーションとの契約を更新せずに、加森観光との契約に踏み切ったということですね。その際の条件が、スタッフの雇用保証とかで.......スタッフは(全員かどうかはわかりませんが)アルファ・コーポレーションを退職、新たに設立された加森観光の子会社、リゾートマネージメント株式会社(1997年8月設立)と雇用契約を結んだといいます。
  関兵精麦株式会社アルファ・コーポレーションとの契約更新しなかった理由は...道内発行の情報誌で幾つかあげられてはいましたが、ここで正解を推測する意味はないですね。ただ、関兵精麦株式会社の決断がアルファ・コーポレーション破産の直接原因になったという見方が多かったです。
  破産宣告を受けたことでアルファ・コーポレーションの代表、関光策氏はトマム開発の中心から圏外へ去ることになりますが、この時アルファ・コーポレーションには正規社員はいなかったという話を聞いた時には、複雑でした。


アルファ・コーポレーション所有の施設は占冠村が買い取り 
1998年9月29日、道新に見込み報道記事

 後に「ウルトラC」といわれることになる、アルファ・コーポレーション所有の施設の存続案が掲載されたのが9月29日、正式の決定、調印の日時はわかりませんが、同年12月からのスキーシーズンには間に合ったのでしょうね。スポルトは営業を再開していました。

 この頃、道内では他にも、破綻の結果売却先を探しているホテルがありましたけど、他とトマムの大きな違いは、トマムが「まるごと」ではないということでした。対象はトマムの敷地内にある一部の施設です。全くの部外者が名乗りをあげるとは思えなくて、わたしたちは関兵精麦株式会社加森観光が買い取ることで、この1件が収まることを期待していました。開発がこの段階で打止めになったとしてもトマムは十分に魅力的でしたし、他には簡単に“類似品”が見つかるとは思えませんでしたけど、総合性が崩れるとその魅力は激減しますものね。
 新聞記事によると、 関兵精麦株式会社には買い取りの意向はあったようですが、自力での資金調達が困難だった為に実現はしなかったということです。銀行が、気持ちよく貸してくれなかったということでしょうね。では、占冠村は十分な資金があったのかというと...ここが「ウルトラc」といわれるところで、村(自治体)が買い取る場合は取得費用(移転登記費用、固定資産取得税)がかからないという利点があるそうで、民間企業の関兵精麦株式会社が買い取る場合に必要な取得費用20億円余りは払わなくていいという...。アルファ・コーポレーション所有の施設は5億円で売り買いされたのですから...それに対する20億円は大きいですよね。
 本来25億円必要なものが5億円で話がついたということになります。しかも、この5億円は、加森観光が施設の運営権利金として村に払う金額と同額で、村からの持ち出しはゼロ。
 妙に感心したものでしたが、こんな「ウルトラC」は占冠村とトマムの関係間で成立可能だったようです。札幌市が破綻した施設を買い取るという案が浮上したという話は聞きません。



蘇った巨大リゾートの今後


 2000年暮れか、2001年春先か..ちょっと曖昧ですが、道内のテレビ報道番組でトマムの近況が紹介されました。地方版のニュースの中で、道内の景気に焦点をあてた日替わり特集の一環だったと記憶しています。
 アルファ・コーポレーションの破綻の衝撃や“ウルトラCの再生案”などに触れながら、番組ではトマムを蘇った巨大リゾートとして捉えていました。一時的に落ち込んだ客足も順調に回復してきていること、ごく近い将来には健全な経営状態に落ち着くことが見込まれるという話もされていました。
 でもそれは運営会社の収支面での話。

 安心できない大きな要因として、番組では会員権の預託金返還の期日が迫っていることに言及していました。

 アルファ・コーポレーション所有の施設(ガレリアスポルトアビチオスカー)の会員とは異なって、タワーの会員はアルファ・コーポレーション破綻とは無関係です。会員契約は関兵精麦株式会社との間で交わされているもので、アルファ・コーポレーション破綻後も会員の権利が影響をうけることはなく、時期がくれば預託金の返還を請求することができます。請求が一斉になされた場合、再生時期のトマム(厳密には関兵精麦株式会社)に対応できるだけの余力があるか...という事が、今後最大の懸念とされていました。


「トマム」所有の関兵精麦が民事再生法申請 2003年6月16日

 
掲示板に頂戴した書き込みが、最初の情報でした。

 タイミングがあわなかったのか、わたしはこの報道をテレビでは知る機会がありませんでした。
 確認は同日の日経と北海道新聞でおこないましたが、関兵精麦株式会社のトマムにかかわる部門というか、子会社の話かと思ったのですが、子会社も親会社も無かったようで、少し驚きました。
 仙台の関兵精麦株式会社の資金力は、どこかからの噂でわたしの耳にも流れてくるほどで、アルファ・コーポレーションの破綻の前、会員権販売の行き詰まりが取りざたされた時期にも、「関兵精麦がついてるんだから」という楽観論が記事になったこともあるくらいだったのです。

 トマムという夢の為についやしたものは大きすぎたということでしょうか?
 関兵精麦株式会社はトマムを切り放して、地元での事業に専念したい意向とかで、所有しているトマムの施設の売却を決めたとか...。5年前と同様の「ウルトラC」がありえるかどうかはわかりません。ただ、トマムの一部の施設を所有することにメリットを見いだせる第3の企業の出現よりは、可能性があるかもしれない...。


 いづれにしても現時点では一般のゲストが影響を受けるととはほとんどないと、わたしは考えています。
 リゾートマネージメント株式会社のスタッフによるトマムの運営は通常通りということで、施設利用が制限されない限りは、目に見える変化もないはずです。
 少々強引な例えですが、マンションの大家さんが、お金が必要になったのでマンションを売ろうといている状況をイメージすると分かり易いかもしれません。新しい大家さんは家賃収入などの利益を見越して買い取る訳で、大家さんが変わったらとたんにマンションに住めなくなるという話にはなりませんね。あ、お家賃の値上げがあるかもしれませんが、そこは管理組合のがんばりどころ...。
 リゾートマネージメント株式会社のがんばりに期待しましょう。

                                      03/07/17 


トマムの「関兵」所有分 長野の会社に売却 分割運営の方針  2003年11月26日

 
スキーシーズン直前にトマムの一部の施設の売却に関する報道がありました。

 タイトルは11月26日の北海道新聞掲載のものですが...予想に反してと言うべきでしょうか、売却は関兵精麦の所有分だけに落ち着きそうですね。

 実は8月上旬頃(と記憶)に、関兵精麦が占冠村に対して村が所有している施設をも含めた一括売却を提案しているという記事を目にしていたので、その方向にむかうかなと思っていたのですけど、先のことは分かりませんね。数カ月後の結果は、一部の施設の所有にメリットを見いだせた第3の企業の出現によって“分割所有”とでました。もっとも、ガレリア以降の施設とそれまでの施設の所有者が違うというのは今に始まったことではないので、トマムにとっては“(持ち主は変われど)形態は従来通り”ということになります。
 ただ、売却先の星野リゾート(軽井沢で事業展開しているようですね。軽井沢に縁のないわたしは初めて聞く名前です。)は所有だけではなく運営も行う方針という話ですから、創業20数年目にして、トマムはまたややこしいことになるなあという印象は拭えません。
 具体的には、エリア内でのゲストの行動に制限がかからなければ、分割運営も一括運営もゲストには関係のないことですが、内輪の雰囲気は表に出てくるものですからね...。変化なし、とは行かないかもしれませんね。ただ、変化は(98年に)既に起こっていますし、来春からの変化の可能性を「嘆く」には早すぎます。もしかしたら、歓迎すべき状態になるかもしれない...。

 下記は北海道新聞記事の一部引用です。(記事掲載は11月26日)

 【上川管内占冠村の「アルファリゾート・トマム」の施設の六割を所有し、民事再生手続き中の関兵精麦(仙台)は二十五日、星野リゾート(長野県軽井沢町)にトマムを売却することで基本合意したと発表した。年内にも正式契約する。引き渡しは来年三月末の予定。これにより、トマムを開発・経営してきた関兵精麦グループは完全に撤退することになる。星野リゾートは施設を独自で運営する方針。関兵精麦は、運営を委託している加森観光(札幌)の子会社との契約を来年三月末で解除する。】

 【関兵精麦が所有する以外の残る四割は破産した「アルファ・コーポレーション」から引き継いだ占冠村が所有。運営は関兵部分と村所有部分ともに加森観光の子会社リゾートマネージメントが行っている。
 占冠村は加森観光と十五年間の長期委託契約を結んでおり、同村は「村所有分は今後も運営を加森観光に委託し、変更は考えていない」とする。そのため来年三月末以降は、一つのリゾートを星野リゾートとリゾートマネージメントの二社が運営する可能性が高い。加森観光の加森公継専務は「(分割運営することになっても)トマムの運営はしっかりやっていきたい」としている。】

                                      03/11/28 



トマム協調運営へ 加森観光と星野リゾートが基本合意 2004年3月2日

 4月以降のトマムの新体制、運営方法に関して、経営権を持つ二つの会社の間でそれなりに話がついたもようです。
 関兵所有の施設の買収を決めた星野リゾートが、施設所有だけではなく運営も行う(アルファコーポレーションが所有していた施設は占冠村が買収。運営は加森観光に委託)方針らしいということで、昨年11月にはトマムの分割運営の可能性が報道されましたが、その後、加森観光がトマムを丸ごと買い取りたい意志を表示したとか、分割運営は非現実的だとか,入札(星野リゾートへの売却の)無効を訴えるとか,かなりグチャグチャとした印象を受ける新聞報道がありました。

 トマム利用してきた者の立場からすれば、この状況で複数の企業がトマムの運営に意欲を示すことに悪い感じはありませんでしたけど、「仲良くして欲しいわね....」というのが正直なところでした。所有、運営の会社がどこであれ、現場のスタッフに大きな異動がないことと、トマムエリア内で表面上は「分割」を感じさせられない運営を我が家では願っていました。
  2004年2月2日の道新には、加森観光星野リゾートとの間に不協和音が生じていることを懸念し、利用者、地域(雇用)を第一に考え、以前にも増してトマムの魅力を高める為に『小異を捨て大同につくことこそ、いま求められているのではないか。』という主旨の社説が掲載されています。

 その社説の効果のほどはわかりかねますが、加森観光が分割運営を視野に入れた協議に応じたという報道(2月4日)の後、1ヶ月が経過する前に、分割に変わって協調の単語が使われる記事を目にすることが叶いました。悪くない結果に落ち着いたと言っていいでしょうね。

 旅行会社のツアー等でも(たとえばゴールデンウェークの)トマムは販売停止状態でしたが、こちらも早晩、トマム運営の新会社との間で契約が更新されるものと思われます。3月1日、ゴルフの予約(トマム直接の場合)も解禁になったということです。(下記緑部分は 道新記事の一部引用)

 
具体的には、星野がトマムを運営する会社を三月中に設立する予定。加森子会社で施設の運営会社、リゾートマネージメント(札幌)の現地従業員約二百三十人を転籍させる。加森は占冠村所有分の施設を運営するため、星野から社員を派遣してもらう。

 従業員の転籍に伴う賃金や雇用内容などは現状通りとする方針。加森は社員の派遣を受け、現在閉鎖中のホテルアビチとオスカー・スイートホテルの開業準備に入る。

 一方、レストランや居酒屋など加森が打ち出した飲食店施設の計画については半年ほどかけて練り直す。加森が保有するスキー場のリフトなどの索道許可は、施設を所有する星野側に移す。

 加森側がずいぶん軟化した印象がある合意ですけれど、アビチオスカーの開業、レストランの新設等、自社の利益に直結する部分の拡大、充実を表明しているようですから、攻めの姿勢も、ありありと...ですね。

 98年同様、今回の件でも不利益を被った法人、個人は少なからず...と推察しますが、この10数年、現状維持で踏ん張ってきたトマムが、動き出そうとしているようです。
 きっかけは不幸な1件でしたが、歓迎できる結果に出会えることを期待しましょう。

                                     04/03/06 



星野がトマムを一括運営 占冠村と実質合意  2005/04/06

 
上川管内占冠村のリゾート施設「アルファリゾート・トマム」を運営する二社のうち、加森観光(札幌市)が九月末で撤退するのを受け、同村の小林豊村長は五日、同施設でもう一方の運営会社星野リゾート(長野県軽井沢町)に対し、村所有施設を含めた同リゾートの一括運営を提案。星野側も実質的に合意し、具体的な運営方法も含めて今月中に正式回答する方向だ。 (北海道新聞)

 分割運営は約1年で終了。
 突然(と思えました。)の加森観光の運営撤退に伴い、2006年のスキーシーズンからトマムは星野リゾートの単独運営になりました。 これより後の状況は,現在稼働中のトマム情報をご覧ください。

 
                                     07/11/28 



中国資本になるトマム!!183億円で星野リゾートが売却  2015/11/12

 施設を所有す上海の上海豫園旅游商城は、上川管内占冠村のリゾート、「星野リゾート・トマム」を183億円で買収する。施設の運営は今まで通り星野リゾート(長野県軽井沢町)が続ける。星野リゾート・トマムは、米系ファンド80%、星野リゾートが20%の株式を保有しているが、全株を上海豫園旅游商城の日本法人が12月1日付で取得する。星野リゾート・トマムは、スキー場、ホテル、ゴルフ場がある道内有数のリゾート。同社は、土地と建物を所有しているが、占冠村も一部の土地と建物を所有している。占冠村の所有分は今回の中国資本の買収対象ではない。リニューアル投資など、村と中国資本の意思疎通が必要な場面が出てくることも予想され、村所有分の売却が浮上する可能性もある。(リアルエコノミー 経済)

 
星野リゾートが関兵麦からトマムを買い取った当時、資金はゴールドマン・サックスから出ているとも言われましたが、株式の80%を所有の米系ファンドについては、同年11月11日の日本経済新聞ではオランダ系ファンドと記載されていますし、GCとは別の会社のようですね。どこであれ、投資会社が関わっている以上いずれ売却されるんだろうと思っていたものの...中国企業に株式100%売却というのは、ありえない!と言ってはいけなんでしょうね。
 ただ、かつて『その時、日本にいることを忘れた』と言うコピーを掲げ、ヨーロッパ型長期滞在対応リゾートを謳ったトマムで遊んだ時間を思い、もう縁が無くなったに等しい場所の在りように、やはり心は乱れました。

 常時気にかけているわけではないので、売却のニュースは朝のTV報道番組で知り、その後、ネットで複数の情報を見て回りました。殆どが、バブル期に開発された巨大リゾートが売却される先が“中国資本”というところにスポットを当てた内容(コメンテーター在籍のスタジオ収録番組では顕著でした)は横並びでしたけど、上記、北海道ローカルのリアルエコノミーが、村の所有施設について言及していて、トマムに残る課題を示唆していました。
 トマムの現状に至る経緯を知っていれば、そもそもは運営の難しさの一つが、施設が分割所有されていたことでしたしね。ですから、リアルエコノミーを目にするまでは、わたしは、村所有の施設も既に星野リゾート所有になった上での売却の合意かと推していました。村所有の施設...西エリアのスポルトもアビチも、むろんオスカーも宿泊施設として活用はされていない様子とはいえ、このエリアにはヴィス(今はミナミナビーチでしたっけ?)もありますし、リゾナーレとして稼働中のガレリアも,所有権は村にあったはずでしたから、そのままでは、“ややこしさ”もそのまま...。
 と思ってたら、年明け早々に下記の報道がありました。

 
北海道占冠村の大型複合リゾート施設「星野リゾートトマム」について、占冠村が施設の約6割を所有する「星野リゾート・トマム」(本社・占冠村)に対し、村所有の約4割の施設買い取りを求め、札幌地裁に調停を申し立てたことが14日、分かった。2008年、星野リゾート・トマム社が12年9月末をめどに買い取ることで合意したが、延期され、交渉が難航していた。
 村によると、合意に基づき村所有の建物を約1000万円、土地約48万4100平方メートルを100万円で速やかに買い取るよう求めている。村は1998年、当時施設を運営していた企業の経営破綻に伴い、ホテルやプール、従業員寮などを買い取り、05年から同社に貸し出している。
 同社は合意後、税や経費の負担増が見込まれるため「買い取りできる経営状況ではない」と主張。村は昨年6月、村議会で調停申し立ての議案を可決し、その上で交渉してきた。昨年12月、中国企業が同社の全株式を約183億円で取得。同社が運営を続けるが、合意が守られるか不透明になり、申し立てに踏み切った。
 村は「調停の場で問題を整理したい」と説明している。同社は「申し立ての内容を確認しておらず、コメントを差し控えたい」としている。(2016/1/15 毎日新聞 北海道版)


 村ともモメてたのね。
 でも買い取りの合意が2008年って....それより前、星野リゾートに運営を委託したその年に、VIZは大幅に改装されちゃったわけでね...買い取りありきでなくちゃ出来ないことを、合意も無いままやってたんでしょうか....?
 当時村所有の施設全ての賃貸料が5年間(だったかな)***円とか(忘れました。スタッフが憤って話してくれた程安かった)で、それで言えば村の承諾なく施設の改装は簡単ではないはずでしたけど(簡単に行われた印象)、賃貸契約の常識から言えば、村は営業しなくて(傷んだ物件も)経年劣化の範囲内の元に戻してと要求することも....いえ、戻してもらっても、どうしようもない施設になっちゃってるんでしょうね。

 運営撤退当時の2005年、数年の内には(...戻ってくる)心づもりのスタッフも少なくなかった様子だったのが、閉鎖されたり改装されたりして、劣化が進む施設故に、加森観光のトマム再参入はもう無いだろうと言われだしたのはいつ頃からだったでしょうか。
 その施設をね、買い取れと...でも、アルファ・コーポレーション破綻時に、所得税やら固定資産税夜らがネックになって、そもそもは村が所有することになったウルトラC案を忘れたのでなければ、村も甘いよねとの話になるのは、我家だけでしょうか。

そして...
 

 上川管内占冠村のリゾート会社星野リゾートトマムを実質所有する中国の民間複合投資会社復星集団(上海)は、リゾート内で村が所有する施設の一部を買い取る方向で検討に入った。復星集団傘下の資産管理会社イデラキャピタルマネジメント(東京)の山田卓也最高経営責任者(CEO)が6日、北京市内で北海道新聞の取材に答えた。村は今年1月、買い取りを求めて札幌地裁に調停を求めていた。
 リゾート内の施設は約6割が復星側、残り4割は村が所有。復星側が購入を検討している村所有施設は、従業員寮となっている旧ホテル「ヴィラ・スポルト」と閉館中の同「ヴィラ・マルシェ・ホテル・アビチ」など。復星側は両施設を改装して来年末に約350室の新ホテルとして開業し、傘下のリゾート会社クラブメッドグループ(本部・パリ)に運営させる方針だ。
 山田氏は改装費用は15億円程度と説明。村所有施設の購入について「もともと村が求めていた。経営が軌道に乗れば考える」と述べ、営業中のホテル「リゾナーレトマム」も検討対象に挙げた。購入時期は明言せず、村が所有する閉館中の旧ホテル「オスカー・スイートホテル」は買い取りに慎重な姿勢を見せた。
2016/12/07 北海道新聞

 ....つまり,施設は一括所有で,運営は2社による分割?
 クラブメッド方式だと、屋外(ゲレンデやゴルフ場など)はともかくクラブメッド宿泊者以外の施設の利用は制限されるので、星野リゾート運営の施設とは分かり易く分断されるのでしょうね。『別々の宿泊施設』と思ってたら、でも持ち主は同じだったという、かつてのトマムの逆パターンでしょうか。アルファ・リゾート開発当初の、トータルコーデネイトの様式美は既に崩れていますから、西エリアにクラブメッドが開業するデメリットを、いまさら指摘するゲストは、いない気がします。施設を改装するにせよ立て直すにしろ、稼働せず置くよりは、“いい”とすべきでしょうか。ただ、オスカーは....アルファ・リゾート・トマム時代にお荷物と化した『殆どまともに稼働しなかったオールスイート』ですから、そりゃ、買い取りたくないでしょうけど、イヤでも人目につく立地は、悩ましいですね。放置された施設と“同居”で、リゾートのイメージは維持出来るんでしょうか?
 一方、西エリアからは少々離れて在る、ガレリアは“賃貸物件”でありながら。現状は星野リゾートのブランド,リゾナーレとして営業しているようですが、村から買い取られた後も、運営はクラブメッドではなく星野リゾート...なのかな?分断しようと思えば分断出来るロケーションですから、第三の運営会社の参入もなきにしもあらず...と言うことで、もう、100%他人事になってしまいました。
 
 間違いなく、アルファ・リゾート・トマムは消失し、名残も書き換えられてしまうのでしょうね。
 今後の、トマムに関する『何事か』は、アルファ・リゾート・トマムとは無関係の話になるので、当ページには追記しません。

 消失したトマムの記憶をたぐる昔話は、ページを改めて徒然に。


                                   
                                   16/12/27