新客室の間取りが理想、客室外はハードワーク...
  琴平花壇・2022

         2019年には回避したリスクを、実体験!

 2022年7月中旬、琴平花壇に宿泊してきました。

 数年振り、2度目の利用です。 こんぴらさん詣でのためではなく、空き家状態が続いている実家の様子見と動きがとれない父母に変わっておとなりさんへのご挨拶目的の1泊2日。実家を起点にして、近場でベッドとくつろげるお風呂付きの宿泊施設となると、やはり、琴平なんですね。観光客を対象に駅近くに集まっていいる旅館やホテルの主な施設では改装や増設(かな?)が行われて、ベッド付き専有露天風呂付き客室の選択肢も増えた様子です。
 ただ、各所公式サイトの客室情報などを見て回りましたが...先へは進みにくく、そう言えば琴平花壇は(何か変わったかな?)と、 サイトを開いて、変化を見つけました。
『2019年 山翠閣グランドリニューアル』! 新たに温泉露天風呂付き和洋室がオープンというので、早速にレイアウトをチェックしたところ、我が家の好みにピタリとハマる客室があらわれたので、即決で予約を完了しました。
 レイアウトのどこにハマるかと言えば、 水周り(露天風呂周り)の配置です。 脱衣スペースを兼ねた洗面室、シャワールーム(洗い場)、露天風呂の並びですね。専有露天風呂は、開口部が確保できるバルコニー、テラス(あるいは広縁)に設置されていても、洗面所等の水回りは入り口寄りにあるレイアウトは少なくないんですよね。リニューアルとなれば、もともとの水周り設備をバルコニー寄りにまとめるのも大ごとでしょうけど、これでベッドルームやリビングルームから露天風呂へとなると、スマートではなくって、せめて脱衣スペースを...と思えど、改装の限界を理解して折り合いをつけたこともありました。

 
  以前に利用した富士見台の、和洋室とツイン(占有露天風呂付き)は、そのパターンでした。
 当時は、久しぶりの (リゾートホテルではなく)温泉宿でしたから、専有露天風呂とベッドがポイントアップに直結して、細かいことは気にしない降りで過ごせたのだと思います。でも、それからいくつか、他の施設の利用を繰り返すうちに、水周りのレイアウト、動線は、かなり重要なポイントになrってきました。ニューアワジグループの宿は、客室レイアウトに関しては不足のない施設が多い気がします。
  で、18年にリニューアルの富士見台客室は、改装の限界を残したけれど、その後にグランドリニューアルの山翠閣にはついに、欲しかった間取りの客室が登場!というわけで、テンションも上がりました。ただ、この客室については、前回利用時にオープン予定と知って予約をしていたにもかかわらず、富士見台の客室に切り替えた経緯がありました。切り替えの理由は、前回は父母が一緒だったので二部屋必要だったところ、山翠閣で二部屋の確保がかなわなかったことと、、フロントやレストランのある本館とは山翠閣は離れているという不便さを警戒してのことでしたが、そのことに気づいたのは帰宅後です。
 理想の間取りにとりこまれてかつては回避したリスクを完全に忘れての、再利用だったのですね。


 チェックインの手続きは、前回はガーデンラウンジに案内されてから...でも、今回はフロント前のソファエリアで..我が家の部屋は別棟!『お部屋にご案内』係のスタッフにエントランスから外に連れ出された時に、チェックイン手続きの『場所』に納得しました。それでも、建物内での行き来ができないんだと、当然(以前にわかっていたし、公式サイトにも説明がある)のことに、軽く驚く始末。ですから、山翠閣エントランスが石段の先と言うことにも、また本館2階のレストランには1階から 階段を登るか、ガーデンラウンジのある3階から階段を降るかしなければ到達できないことにも、いちいちショックを受けました。古き良き時代からある2階建ての建物は、グランドリニューアルされたからといって、エレベーターが新設されるはずもなく、エントランスで靴を脱いだ後、客室まではまた階段でした。 
  上イメージ左、石段の先の山水翠閣エントランスが下イメージ左側。我が家が利用した客室は下イメージ赤い四角で囲んだところで、館内でも右寄りの2階に比べれば階段数は少なくてすむ位置でした。全て2階建てでも1階部分の高さが違うので2階にあるはずの貸切露天風呂までは2階の部屋からまた階段を上ことになりました。

 今時、バリアフリー化を怠っているようではと、批判するつもりはありません。
 階段を使わずに行き来が可能で、かつ部屋食に対応した客室が富士見台にありますから、我が家が前回そうしたように、階段(段差)のリスク回避はできるんですよね。
  この程度、こんぴらさん観光を前のウォーミングアップにもならない“わずかな段差”と見る向きもあるでしょう。...、予定してなかった段差に心身の準備ができていなかった我が家の問題です。...暑かったし、しかも翌朝は土砂降りの雨!

 本館1階経由ではなく庭園(上イメージ中。赤線で示した飛び石は山翠館をのエントランスと同じ高さ)を通れば、本館2階のレストランへ繋がってるかもなどと思いましたが、結局一旦1階まで降りるのは同じらしいので(右側赤線。それからレストランの庭園側出入り口まで上がる)大雨の庭園経由の移動は避けましたけど、どちらにしろ、ご飯にありつくには体力劣化のわたしたちにはハードワークでした。

 そ
れでも... 客室が、期待通りに快適だったのが、悩ましい!
 一室利用の状況なら、富士見台に唯一の専有有露天風呂付き和洋室のほうが...さらに広いし(二人では無駄に広い)座卓もダイニングテーブルも、ソファもあって、レストランにいく必要もないし、室料もさほど変わらないし..と考えないではありませんけど、気持ちはハードアクセス込みの山水翠閣に傾いたままです。


 室内のクローゼット周りは、公式のレイアウトと仕様が異なっていましたが、概ね、図面通りの間取りの室内は、使ってみてなお快適さを実感する、いい造りでした。リニューアルにありがちな(仕方ないねと言いたくなりそうな)つぎはぎ感が皆無で、新築に見紛う間取りです。これ以上の我が家好みの客室を、この地区では探しきらないです。
 ウッドテラスへはベッドルームや和室からも出入りができ、全面ガラス仕様のおかげで室内はどこにいても明るく、開放的でした。部屋は本館3階のガーデンラウンジと視線が交差する位置関係で、浴槽部分は上部と稼働式の桟部分以外は壁仕様です。桟はほぼ隙間なく畳無事もできるので、上の方が少し開いてる内風呂感覚でも利用でき、テラスとの仕切りの引き戸の寄せ方次第で、開放感も不足なく確保できます。暴風雨や熱波は避けて薫風を取り込み、冷えた空気はほどほどに調整できるお風呂環境が、テラスとの仕切り引き戸で完成するんですよね。
 富士見台の露天風呂付き客室に、この環境を期待することはできませんし、クローゼット等の収納スペースの使い勝手もかなりの差があります。

 右イメージ。ベッドルームのテレビがかけられた壁の向こう側にある空間が左側イメージ。立ったまま荷物の出し入れ、整理ができる高さにある棚も重宝アイテムです。和室のテーブルと椅子も、立ち座りにさほどの負荷がかからない高さで、座椅子よりも楽で、ダイニングチェアよりもくつろげました。

 たかだか数十段の段差に懲りて、選択肢から外せるかといえば...外すに外せない、外したくない客室だったのでした。

 外の空気が心地よい季節なら、庭伝いの段差の行き来も多少は楽しみになるかもしれないと、安易な期待も生まれています。
 
 レストランでの食事は..おいしかったね止まりで、いわゆる旅館のラインナップにありがちな単体鍋がふたつも...。
 鱧すき鍋のだしはいい味がでていたし、陶版焼きの玉ねぎベースのソースもおいしくて、鍋物だから手間なし料理とはいいませんが、魅せる要素に乏しいことは否めません。不足はないけど、ときめきも....なので、料理が再訪を後押しする割合は高くはない気がします。
 スタッフも、だいぶ入れ替わったかなという感じを抱きました。
 琴平花壇のというよりニューアワジグループのスタッフとの肩書きが収まりがいいような...贔屓筋には切ない変化が加速しているのかもしれません。離れを指して、「古い建物のようです。」と説明してくれたスタッフは、花壇の歴史とは無縁...ですものね。

 ただ、それは、わたしたちも同様です。
 琴平花壇が今に繋ぐ400年のあゆみと接点のない身としては、実家近くの老舗旅館のリニューアルは喜ばしいばかり。 リニューアルされた客室は、諸々他のことは横に置いてでも、快適さが約束されています。
 横に置いた諸々が、そのうちに、客室の魅力に見合う変化をみせてくれることを期待して、でも、変化はありえない琴平花壇敷地内の高低差を『リスク』と言わずに過ごせる体力維持(自然体で劣化の一途なので、アップを目標には掲げられない)に努めましょうか。

                            22/07/24 

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