掃除機のゴミはどこに消える?

 我家では、現在ダイソンの掃除機を愛用しています。
 
 年に数度、短期間、 テレビでコマーシャルが流される『吸引力の変わらない、ただひとつのの掃除機』....。価格も、主な国内メーカーの主力商品の数倍でしたから、例えばダイソンを6年使う間に、他社の物なら、2年ごとに新しい掃除機への買い換えが可能なわけで、購入に際しては、もちろん、迷いはありました。決め手となったのは、ダイソンがUKの製品だったから....いえ、手に取った時の質感の違いに惹かれたからとでも言いましょうか。6年といわず「10年でも大事に使うもん。」という意気込みでした。
 
 セールスポイントの“吸引力”については、同時進行で比較できる物が無いので、何とも言えませんが...格別の不満も無く使い続けて3年目、《入念なお手入れ》を思いたったところ、取り扱い説明書が見当たらないことに気がつきました。初めてサポートセンターにコンタクトを取り、取り扱い説明書の送付を依頼しました。すぐに送付してくださると言う親切なスタッフに、モノはついでとちょっと気になっていたことを尋ねてみました。
「クリアピン(右下イメージの取っ手のある透明ケース。取り扱い説明書を無くしてもカタログはあるので話はスムーズ。)の中で、ゴミが 偏るんですが...。」
「 フィスターのお掃除はなさっていますか?」
「はい?」
 聞けば、フィスターの手入れはは6ヶ月に一度が目安だそうで.....。
「フィルター....は、どこにあるんですか?」と、わたし。
 購入後、一度も掃除していないことを告白したようなものですね。
 電話片手にスタッフの案内にしたがって取り出したフィルターは、3年分の埃にまみれていました。スタッフの説明によると、フィルターの悪コンディションが、ゴミの偏りの原因になることも考えられるとか...偏りくらいで済んでいたうちに気がついて、良かったというべきでしょうね。10年まではまだ先が長いのです。


 実は、掃除機の取り扱いに関しては、わたしは“前科”がありまして....。
 結婚後、1年も経過していない頃、掃除機の吸引力が悪化の一途をたどり、用を足さなくなったのですね。その時使っていたのは、主流となっていた紙パック方式ではないタイプでした。「紙パックは必ず、忘れずに装着してくださいね!」という販売スタッフの説明に、自信が持てなくて、うっかりしてても大丈夫な“普通のタイプ”を選んだのでした。
 やはり..旧式だから早くも壊れたか...というのが、わたしの見解でした。その時点で、気分的に余裕があったのは、1年未満、つまりは保証期間内だったからでして、もちろん、故障の原因となるような使い方には、心当たりもありません。
 それでも、修理に出す前に、何か詰まる物を吸い込んでいるかもしれないからということになって、休日に、主人が庭で分解(というほど大げさなものではなく、いわゆる《念入りなお手入れ》)を試みることになりました。保証期間内でもあるし、ダメもとで、ちょっと診てみようというノリですね。

 役立たずの掃除機は主人に任せて、わたしは、家の中で(覚えていませんが、テレビを見てたのではは絵にならないので)アイロン掛けでもしていたとしましょう。
 庭の方から、主人の疑問符が飛んできました。
「ゴミ、いつ捨てた〜?」
「なあに?」
「掃除機のゴミ、最近捨ててなないんとちゃうか?」
「....?ゴミ?」
 庭に出てみると、ビニール袋の中には、ゴミの固まりが...。それはもう、圧縮して固められるだけ固められましたというようなしろもので、少しくらいつついても型くずれなどおこしそうもない固まりです。それだけではおさまらず、ゴミは本体から切り離されたホースの空洞をも浸食していたのでした。本体との接合部分に留まらず....です。
  吸いたくても吸いきれない掃除機の事情...。
  ホース内の空洞の大部分までをゴミで埋められては、なす術もありませんものね。

 わたしは、その時になって、ようやく、自分が一度も掃除機のゴミを捨てて無いことに、気づいたのでした。
 掃除機本体の蓋は、購入後初めて、主人の手で開けられたのです。

 呆気にとられたのは、主人だけではありません。....わたし自身も、です。
 「え? 掃除機のゴミって捨てなきゃなんないの?」と 驚くのは、単なる無知ですが、わたしの場合は、“(そのくらいのことは)知っていて気がつかなかった”のですから、複雑怪奇!「掃除機の中で(吸い込んだゴミが)どうなると思ってたんだろ?」と主人は不思議がりましたけど、そもそも思っていたら気がつくはずで、一瞬たりとも、思わなかったことが、我ながら、不思議でなりません。
 知識は意識しなければ、活かされないということですね。

 この時の酷使がたたったのか、我家の最初の掃除機は、あまり長持ちはしませんでした。
 その後はしばらく紙パック式を使用しましたが、 ゴミがパックの許容量をオーバーしかかったことは....やはりありました。意識は、長続きしないということでしょうか。

 余談ですが、主人は結婚後翌年に花粉症を発症しました。
「住んでる場所が変わった訳でもないのに〜。」どうして今? と、驚いたものですが、ずいぶん経ってから、発症の切っ掛けとなる要因にストレスもあると知って、「あららら。」という気分でした。おまけに、アレルギー反応テストでは杉花粉のみならず、ハウスダストも陽性....。
 ホースがゴミで塞がれた掃除機では、ハウスダストも“まいまい”していたことでしょう。

 主人がダイソンの広告に目を止めたのは、(無意識の)防衛本能が働いた為かもしれません。
  部屋の空気の150倍きれいな(ダイソンクリーナー)の空気に、ゴミが見えるクリアピン...まさに理想の掃除機なのでした。

                                      07/05/15 

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