覚悟のお風呂 初体験 

 

 第3次個人輸入ブームと言われた90年代半ば、おなじみのマフラーやコートなどと一緒に、バーバリーのカタログに、ぬいぐるみがいくつか載ってきました。

 わたしは、記憶にある限りは『ぬいぐるみ』ではなく『人形』を欲してきたはずなのですが、由緒正しき英国生まれの『ぬいぐるみ』にはなぜだか、興味を抱きました。
 少し迷った結果、我家が最初に迎え入れたのは、 ポピュラーなクマではなく白いボディのブルドッグでした。「一番かわいい子を送ってね!」という、オーダーフォームの横に書いたリクエストに応えて(または無視されて)飛行機に乗ってはるばる来たのが左イメージのトーマスです。(名前をつけましたよ〜。)

 足の裏と耳と、イメージでは外していますが、チェックの首輪がバーバリー生まれの証。
 への字の口がちょっと曲がっているトーマムは、美形ではないけど、なかなか愛嬌があって、この後、我家にバーバリーの仲間やシュタイフのテディベア、ついにはTDR で中国生まれのドナルドダックを呼び寄せる切っ掛けになりました。(最近デージーも来た...。)
 
 それはともかく、トーマムの話です。
 10数年、我家のリビングの一角で番犬よろしくにらみをきかせていたトーマムは....日焼けしました。
  お腹の方のミルクホワイトにたいして、顔はオフホワイトになりました。顔のたるみも少々黒ずんで....と思ってたら、埃にも取り付かれていました。ほとんど動きませんから、取り付かれやすいんですね。
 洗ってやれないかなあ...洗ってやったらスッキリしそうなんだけどなあと考えるようになったのは、2年くらい前からだったでしょうか。でも結果が怖かった。
 主人の実家の、愛犬のおもちゃ用のぬいぐるみたちは、かまれて、投げられて、泥まみれになったあげくに洗濯機でゴロンゴロンに回されて、干されて....また綺麗にはなってましたが、我がトーマスの足には、“液体につけるな”との表示があったのです。丁寧に拭いてくださいということですね。
 
 でもねえ、やっぱり10年は長いのです。
 拭くだけではねえ...とやっぱり、覚悟の決断に至るくらいに長いんですよね。

 そこで、過日、意を決してついにお風呂に入れました。文字通りのお風呂です。
 バスタブの中でシャンプーして、洗剤の泡がでなくなるまで、シャワーで洗いました。液体まみれです!
  予想していたことですが、トーマムの身体は水をすって、ものすごく重たくなりました。予想を越えた重たさでした....。あたりまえですけど、吸収された水はボタボタと体外に...。ボタボタがポタポタになって、お腹はしっとり、足先は握れば握るだけ水が出てくる状態がおさまらないので、バスルームから屋外へ移動。

  そして、出来上がったのが、水もしたたるブルドックのイメージなのでした。
  したたる水をためないために、すのこ状の椅子の上に乗せたところ、濡れた身体に木の色がつきそうだったので、大急ぎでバスタオルを導入。ちなみに白いバスタオルは、この後はバスタオルの寿命を終えて(わたしたち人間の)足拭きに降格しましたが、短い余生もすぐに尽きました。

  窓ガラスの編み目故か、こちらを向いたトーマスの顔が、閉め出されたと言わんばかりに恨めしそうなので、しばらく窓(と網戸)を開けて部屋との仕切りをなくしました。(右上イメージ)表情はあまり変わりませんね....。
 足の裏に触れても湿気を感じなくなるまでに数日、屋外とバスルーム(に、すのこ椅子を持ち込んで)を行ったり来たり、トーマムのお風呂上がりはけっこう大変でした。

  先に体重を測っていたら...体内の水分が抜けきった頃合いが判りやすかったかもしれないと、後になって反省。
 でも、手間ひまかけたかいあって、お腹と背中との色の差も目立たなくなりました。日焼けよりも、思っていた以上に“汚れていた”ということでしょうね。
 幸い、禁止されていたお風呂入り(液体まみれ)の後遺症も出なくて済みそうです。
 
 液体につけるなという表示は、それを無視したお風呂のせいで、今はものすごく読み難くなってしまいました。

 

                                      09/09/10 

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