バレンタイン奮闘記

去年は板チョコ、今年は粒チョコ

 ベルギー旅行の翌年だったはずですから、もう一昔よりももっと前..ということになりますが、梅田の百貨店のバレンタイン催事場に集められたチョコレートに大興奮した思い出があります。

 数ヶ月前に、ブリュッセルで買い集めてきたチョコレートが軒並み...ガレがある、レオニダスがある、ゴディバやヴィタメールは今更(デパートで常時販売されていましたから)ながら、コルネに、当時は新進気鋭の注目ブランドと位置づけられていたピエール・マルコリーニまでが隣りあっては販売されている状況に、数ヶ月前に訪れた各店の思いでにふけりながら、財布は開きっぱなしで、かたっぱしから購入したものでした。
 
 その年より前にも、催事場に出向きはしていたはずですが、あまり感激した記憶が無いといいましょうか、成果を得ていなかったように思います。 百貨店の催事場の混雑の中で物色する気がもとより薄く、おつきあいのあるショコラティエやパティスリーの新作(季節もの)の方に重きを置いていた時代です。基本は国内、かつローカルブランド思考がありましたっけ。百貨店や商業ビルに出店しているところよりも、個別に店舗を構えている店のほうに“お手軽ではない”付加価値を感じていた気もします。

 その付加価値故に、わたしたちの興味は国内ブランドから国外ブランドに一挙に移行しちゃったわけですが、いかにレア物好みとはいっても,初めて見聞きするブランドに飛びつくには、催事場の環境は良くないんですよね。ゆっくり見られない、見比べたり、迷ったりする“ゆとリ”がありませんしね。

 その年、
催事場のラインナップに感激したのは、ベルギー旅行の結果、既知のブランドが増えたという、こちらの事情が変わったからであって、その年のバレンタイン催事がそれ以前と違っていたわけではないかもしれません。
 ただ、その後は、意識してバレンタインの催事場を覗くようになったものの、数年後に、結局あの時が一番感激した(収穫があった)ねという話に落ち着くこととなりました。

 主な海外ブランドの出店も相次ぎ,公式HPではオンランショップも利用出来るようになって、バレンタイン時期には、加えて、各百貨店の通販サイトでチョコレートの特設ページが設置されるんですから、催事会場まで行って人にもまれて汗をかく意味が薄れるのも自然の成り行きでしょうね。
 昨年も、わたしはピエール・マルコリーニやジャン・ポール・エヴァン、メゾン・デュ・ショコラ等のポピュラーなブランドのバレンタイン新作と、そして常には入手しにくいステットラーやトイスチャーの定番をネットで予約をすませ、催事場巡りの予定は特には入れていませんでした。
 ところが、バレンタイン催事に関わるスタッフに密着したテレビ番組によると、昨今のトレンドは、BEAN to BERにあるというではありませんか。BEAN to BER、カカオ豆から板チョコまでの全行程を行う店でつくられれたチョコレート...板チョコですが、カカオ豆の産地、品種、焙煎、発酵、ETCで、出来上がるのは唯一無二の...と聞かされたわたしたちは,急遽予定を変更して、週末、百貨店の開店時間にあわせて、板チョコチェックに出かけたのでした。
 2015年は、他店でも“BEANTO BER”をピックアップしていたようですが、番組で取り上げられた梅田の百貨店に設けられた『BEAN TO BERミュージアム』は、圧巻でした。朝一番の入店で、比較的ゆっくり物色することはできましたが、例えば、マダガスカル産とエクアドル産のカカオの特色をその場で理解して、自分の好みを推して選ぶには種類が多すぎて...とりあえず番組で紹介されていた店のものを中心に購入してきました。外装、内装(内装なしのものもあり)の素朴さと価格が...なかなかにカルチャーショックの大きかった板チョコは、多分、通好み...。ただののチョコ好きのわたしたちには、少々、風味が重かったです。

 日持ちはするからと....食べ残したものを、期限切れまでに消費しきれなかった事実からすれば、好みには合いにくかったと言うことでしょう。
 それでも、1年経てば懐かしささが蘇るわけで、今年は厳選して3種類だけ...と思ってたら、昨年『BEAN TOBER ミュージーアム』が展開されていたエリアは、特定のパティスリー専用売り場になっていて、板チョコは、メイン会場に統合されていたようです。
 ようです...と言うのは、実物を見つけきらずに終わったからでして...相変わらずの催事場無収穫だったのでした。板チョコへの執着がさほどだったという証かもしれませんね。
 
 ただ、板チョコを殆どチェックせずに終わった今年は、予想外の収穫もありました。
 別件で出かけた京都で、一応...と寄り道した百貨店催事場で、目にとまったのが、板チョコならず粒チョコだったのでした。昨年はクローズアップされていた板チョコに隠れて、気がつかなかったという可能性もありますし、たまたまボワシエのペルルクロカンを知ったあと、同種のものを欲していた為に、見つけ易かったとも言えますが、上記イメージ(ボワシエはパリでの購入品)の商品は昨シーズンのカタログには記載がありませんでしたし、他にも、ジャン・ポール・エヴァンやリーガロイヤルホテルからもパール、あるいはペルルチョコと呼ばれる粒チョコレートが発売されていることを、わたしは、自宅に持ち帰った今季のバレンタインカタログで知りました。
 トレンドと言う程の流れではなさそうですが、我家にとってはまさに旬の粒チョコ!
 
 欲しいブランドのチョコレートを確保するにはネットは便利ですが、足を運ぶことでの偶然の発見は、侮れませんね。発見が遅くて、他ブランドのパールチョコの入手が叶いませんでしたが....先日届いたホワイトデーのカタログや、店舗公式HPでも(ヴァレンタイン時完売だった)粒チョコの予約が再開となっているので、もう少し、『食べ比べ』を楽しめそうです。
 
 来期は...原点回帰で、ステットラーのジュネーブの石畳(パヴェ・ド・ジュネーブ)を核に、生チョコを集めてみましょうか...。**の石畳と名付けられたココアパウダー仕上げの生チョコ、ふた昔程前に出回っていたのを思い出します。

                                16/03/01 

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