どっちで買う? 担当者が...
     去った店or移った店

 数年前、ルスツリゾートからの帰路(飛行機の午後便が取れなくて)札幌に後泊した際、ショーケースにデスプレイされたいた半袖のシャツに目がとまって、初めての店で買い物をしました。

 若い自分はほぼ2年単位の転勤で過ごしましたから、どの地でも入手し易いという利点が重視され ,バーバリーやダックスとの縁が続いたので、あまり、新ブランドの開拓への意欲は湧かず、新たな店との縁は、たいてい、通りがかりに目についた商品に食指を動かされて...でした。
 この時も例に漏れずで、札幌から持ち帰った麻のシャツが気に入った主人は、ワードロープにこのブランドを増やし続けています。が、近場にショップは...といえば、男性物は梅田には無く難波にあって、女性物は梅田にあって難波に無買った為、一カ所で両方が揃う京都のショップを利用するようになりました。
 今のところ、一度きりの縁だった札幌の店については分かりませんが、京都の店は担当制を取っているらしく、最初に対応してくれたスタッフがそのまま我家の担当になった様子でした。担当者が休みの日にはともかく、休憩中とか、ちょっと席をはずしているとかの場合は、戻ってくるまで「ごゆっくり。」(店内スタッフ画担当者に連絡している様子)と、待たされますし、担当者が先客に付いている場合でもやはり基本は待たされます。手のの空いてるスタッフとは挨拶や雑談をかわしはしても、商品の購入はあくまでも担当者が対応というわけで、まあ、動けるスタッフが対応すれば効率がいいという意見もあるでしょうけど....我家には受け入れ易いシステムでした。
 年に2回発行されるカタログや、不定期のタブロイド版商品速報、セールのハガキなどには必ず担当者のコメントが添えられていて、(封書には手書きの手紙のコピー、ハガキには直筆のコメント)それで蓄積されていく親しみやしがらみが、あなどれない『引力』になるのはショップに限った話ではありません。...しがらみは横に置くとして..、我家の場合はとかく“人”に左右される傾向がありますから、例えば東京の本店で見かけて気に入ったカーディガンを、その場では購入せずに京都の店で取り寄せてもらったりするわけです。一見よりも馴染みの店での方が“投資”は活きる....。
 ところが、その馴染みの店の馴染みの担当者から、一身上の都合で退職するという内容の手紙が届いたのです。
 その前にあった時には気配も感じなかったことなので、唐突なお知らせという感じでした。

 これまでの“投資”が...いえいえ、折角楽しく買い物をさせていただいていたのに寂しくなりますが、お元気でと、春物のシャツを注文しに立ち寄った時に、お別れの挨拶をしたのですが、その二日後だったでしょうか、週明け早々に退職間近の担当者から電話がありました。店内に他のスタッフがいない時間帯だったようで、実は京都の店をやめて、大阪にオープンする店に行くのだというお話でした。....同じブランドのショップです。近いところにならば、近いところに新店舗ができて、なおかつこれまでお世話になった担当者が移ってくなんてラッキーと言いたいところですが、でも異動じゃないんですよね。
 京都店もこれから出来る大阪店も、直営ではなく代理店なので、大阪店に移る為に京都店を退職するという...で、一身上の都合が大阪店に行くことだとは、他のスタッフに話していないと言うのです。話しにくい状況...でしょうか。でもこれが札幌店に行くとかならとまだしも、京都と大阪じゃ、すぐに分かるでしょうと思いましたが、後で、京都店のスタッフに聞かされたところによると、本人が言わないので他のスタッフも知らない振りで送り出したものの、皆知っていたとのことでした。

 それはともかく、事情を聞かされた我家はどうしたらいいの?という問題です。
 担当者からの電話は、要は新店舗へのおさそいなわけで、近くにオープンする店舗に馴染みのスタッフが「転職」してくるというなら、これからはそちらへという流れにはなるのでしょう。でも、京都の店には1〜2ヶ月後には予約したシャツが仕上がってきます。それも大阪店で手配するから気にしなくていいと言われましたが、気にするべきだと、わたしは主張しました。大阪の方で受け取ることには何の問題もないけれど、京都の店に入荷予定の“我家の注文分”は(担当者が退職する際)キャンセル処理をお願いしました。
 挨拶をかわしたばかりの京都店の新担当者(それまでの店にいたスタッフなので初対面ではありません)には、不義理をする気分を抱きつつも、京都店とは自然に縁が切れて行くんだろうと、わたしはこの時は考えていました。

 結論から言えば、ほぼ1年経過して....縁は切れていないのです。
 京都には別件で出向く機会も少なくないですし、まして、同ブランドの婦人物は、担当者の退職云々とは関係なく、カタログを受け取って気になる商品を注文しておこうと連絡を取ったら、気に入るに違いないからちゃんと確保してます(発注済)というノリのいい(わたしの)の担当者は変わらずいるわけですしね、そして、主人の新担当者からは、これまでと同じように近況を綴った手紙や、「お待ちしてます」の一言が書き添えられたハガキが届く...。近くまで行けば、やはり寄りたくなる気持ちにさせられるわけです。
 我家の前担当者が大阪店に勤務していることを知っている新担当者は、「ウチ(の店)のことは気にせず、**をかわいがってやってください。」と大人の対応で、最初、予約品ではなく、たまたま店頭にあった商品をもらおうとすると、(ウチで買ってもらっても)いいんですか?と聞かれたりもしました。わたしが思っていた以上に、担当者制は個対個のつながりが重視されていたようでした。それだけに、京都の店では新たな担当者との親密度が増すのは早かったです。もとより顔も名前も知っている店舗スタッフの一人ですしね。ダイレクトメールに添付の手紙やコメントには自身の休日のお知らせも添えられていました。

 一方、大阪店での前担当者は...タイミングが良ければ合えることもあるという....。
 
こちらは担当者制を取っていないので、その時々で相手になるスタッフはかわるんですよね。どのスタッフも感じは良いし、気分よく買い物も出来てはいましたが...店にもスタッフにも...義理やしがらみの類の感情は生じません。送付されるDMは、専門部署からの発送なのでしょう、コメントどころか、スタッフの名前が書き込まれていることもないので、そりゃ「おまちしてます! **」と一言ある方に、足はむいてしまうじゃありませんか。
 それでも、DMを受け取った時にはもちろん、その合間にも大阪店NIも足を運びはしました。京都店との掛け持ちは(ウチの経済事情に)問題有りでしたが...どちらも店でも、それなりに....。
 ただ、大阪店で少々散財した翌週だったでしょうか、お久しぶりですという挨拶がふさわしいようなタイピングで前担当者に再会した時のこと、担当者が、合わなかった間の我家の購入履歴を把握していない様子だっことにちょっと違和感を持ったのを切っ掛けに、重心は京都店にかなり揺り戻りました。
 ショップカラーの違いとはいえ、我家の大阪店への入り口は前京都店の担当者です。
 前担当者からのコンタクトが無ければ、大阪店で取り寄せをしてもらってまでの買い物をすることはなかったかも...と言うのは、同ブランドの女性物に関して、先に京都店との縁が出来たために未だにに大阪店には行かないことからもあきらかで、要は“おつきあい”上の判断でした。
 昨シースン購入したシャツにはこっちの色のセーターのほうが合わせ易いんじゃないか等々のアドヴァイスをくれた相手に、それは先週頂いたから...とこちらから申告する様な会話は...予定外の“おつきあい”なりそうな予感をもたらして、義理立てから開放された気がしたのですね。

  そして年末....
 ノベルティーの麻布プリントのカレンダー....。(右イメージ)
 一時は「ウチで買ってもらっていいんですか?」というリアクションも見せた京都の担当者からは「今年のプリントは絶対お好きなはず!」と声かけがあり、早々ともらってきましたが、大阪店からは音沙汰なしで年が明けました。(愛想の無いDMはうけとったかもしれませんが...。)

 二つの店を行き来してほぼ1年、そろそろ落ち着き場所を定めていい頃ですね。 
      
         17/01/31 

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