個体差リスクは想定外 
  一目惚れ発注の逸品グラス 

 過日、大倉陶園100周年記念の展示会に足を運んできました。
 
 催事情報が届いてからしばらくののち、電話で、招待状の送付の案内があった催事です。
 80周年、90周年の展示会は、デパートで開催されて、特別な手続きは不要で、行って、見学して、少しばかり注文をして帰った記憶がありますが...今回の会場は、京都、長楽館。明治時代に迎賓館として建築された洋館で、今はカフェ、レストラン、ホテルとして門戸は開かれていますが、買い物ついでには立ち寄りにくいところで、そこを目的としての行動が求められる館という印象をわたしは抱いていましたから、正直、展示会見学には積極的ではありませんでした。大阪北部地震の影響で、我が家の大倉製品も被害を受たばかりで、本来なら補充を検討してもいいタイミングでしたが....割れますからね〜。使うつもりのないものは当面増やすまいと本気で思いましたし、展示会で我が家が普段に使うレベルの商品に出会えるとも思えない(過去の見学も、基本姿勢は目の保養。)以上、今風の使い方で言う所の『敷居の高さ』があったんですね。
 ただ、興味がないとか、見たくないというこ話でもないので、招待状を送っていいかと聞かれて、いえ、いりませんとはならないわけです。


 
  割れずに残ったものから使ってい
かないとね、増やしても置いておくだけじゃね、 補充する気はないけど、せっかくの案内だから、『目の保養』にと、出かけた会場では、『保養』というにはすぎる『美』をまじかにして、感覚がマヒしそうでした。あいにく...いえ、幸いにも単品で購入できるアイテムがかぎられていたため、現実的な欲求には繋がりませんでしたけど。

 絵替わりのセットもの、勢いで食指を動かせる価格帯ではありませんでしたし、いわゆる不相応なアイテムに過剰な執着は、生じません。

 桜やコスモスのシリーズはシェイプが我が家の愛用品と同じなので、単品購入が可能なら危ういところでしたが、今回はその種の交渉も意識して避けました。が、交渉不要の誘惑ものも、やっぱりあるんですよね。小皿5枚組とかペアモーニングカップとか、そんな中で、ひときわ興味を惹かれたのが、コラボレーションアイテムとして展示されているカガミクリスタルのグラスでした。

 
 3番目くらいに案内された部屋の展示品で、100周年記念作品の碗皿暦(12ヶ月の自然を、絵替りで、形状の違う12種類のカップ&ソーサーに写したシリーズ)のテーマに合わせて製作されたという12種類のグラスの中の、ひとつ、7月の若竹が綺麗だったんです。他ももちろん綺麗でしたけど、部屋に入ってすぐに目に止まったのが、淡いグリーン色。筒状のスッキリとしたシェイプに凝りすぎないカッティングが、透明感を際立たせて、優美でした。
 
 そして多分、この凝りすぎないデザインのおかげで、シリーズの中では抑えた価格。 
 同じシェイプながら、楓葉が全体に散らされた10月の紅葉テーマのグラスの半値で、しかも、好きなのは並んで展示されていた紅葉ではなく若竹となれば.....もらっとく?となるじゃありませんか。
 大倉陶園の100周年展示会で、最初に食指を動かすのがカガミクリスタルのグラスというのは、まあ、需要と、コストパフォーマンスの折り合い加減ということで...。カガミクリスタルで入手が可能ならいま少し検討もしたかもしれませんが、窓口はあくまでも大倉陶園ということで、機会を逃すと、一手間ややこしくなる気配も感じて、右イメージのグラスをペアで注文しました。
  碗皿暦7月の若竹は、筒状のシェイプも若草色ベースの色合いも好みにあいませんでしたけど、グラスは本当に、適度の重厚、でも可憐!で、一目惚れでしたものね。

 百木コレクションのパピヨンのペアモーニングカップは....好みではないので避けてきたシェイプなのに絵柄に惹かれて 、勢いでオーダー。百花譜のディナーセットなどの合間に観ると、モーニングカップはふだん使いにちょいうどいいと感じてしまうあたり、展示会の恐ろしさでしょうね。

 展示会での注文品はその後に製作ということで、納期は数ヶ月後、実際には1月下旬に届きました。
 で、開封して出てきたグラスが下のイメージです。(右上イメージはし下イメージの左と同じもの)最初に左側を取り出してラベルを剥がし、 続けてもう一つの箱を開けて取り出した右側のグラスを見るなり、???と....。もちろん注文したのと同じ商品です。が、色が.....。

 手作り故の個体差は理解したうえで、しばし悩みました。
 ちょっと、差がありすぎじゃないかと.... 先に取り出したグラスに違和感がなかったので、数ヶ月前に展示会で惹かれたのは濃い方の色だったと思うのですが、 ただ、比較の問題で、右側を先に出していたら、印象はまた異なっていたかもしれません。

 薄い方は薄すぎる(イメージよりももっと薄く、色を感じない部分も)とはいえ、この薄い色乗りも面白いかなとは思いつつ、並べちゃうとどうにも落ち着かなくて、結局担当者に連絡しました。
 
 結果、色合わせをしてペアを組み直すという判断がなされ、グラスは二つとも 送り返し、現在受け取り待ち状態が続いてます。
 たまたま、より濃い方と薄い方が 届けられちゃったの(ペア販売ではないので、商品は単体箱入り。二箱届きました)で、濃い方を基準に近い色合いに組み替えるという理解でしたが、新たに製作中かな?というくらいに時間は経過中....。

 単体なら比較もないし、もっと個数が多ければ、濃淡混ざり合って...なのでしょうけど、ペアは、難しかったですね。
 12ヶ月のコレクション12種から、同じ月のものを二つという注文は、 作り手の予定にもなかったかもしれませんね。
 カガミクリスタルの公式サイトで、扱われているペアものも、 切子デザインは同じで色違いの組み合わせがスタンダードのよう。手作りグラスの個体差は、陶磁器のそれよりも目立ちやすいということになるでしょうか。
 
 切子のペア注文は、機会があっても今後は慎重になろうと考えます。

                                     19/01/25 

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