ネスプレッソでカプチーノ 

5年前の夏頃、週末の買い物に出た高島屋(地下が無く、1階の一部がスーパー形式になった地方の小規模店舗)で、ネスプレッソのデモンストレーションにひっかかり、マシンを購入して帰りました。 

 そのときにはもうすっかり、我が家ティータイムは紅茶が主になってましたから、エスプレッソマシンの購入予定があったわけではありません。
かなり前に壊れたコーヒーマシンを買い替えることもせず、コーヒーミルとドリッッパーは飲みたくなった時のためにと保管はしていたものの、それも使わなくなってから久しいという状況で、コーヒーメーカーのデモンストレーションにつかまるというのもなんですが....いえ、コーヒーメーカーだったら、多分素通りしていたのです。これは、エスプレッソメーカー、もちろんカプチーノもカフェラテできるという便利ものなのでした。

 もともと我が家はUKと一部の欧州製グッズになびきやすいので、デロンギのマシンに興味は持っていました。
  紅茶ばかりの日常生活の中で特に必要とは思わないけど、あったらいいかもね...という感覚でしたが、ま,その程度では実際に購入までは到達しないのです。
 いつの間にか...というより、わたしたちが気がつかなかっただけなのでしょうけど、デロンギでもカフェポッド対応のマシンが発売されていますが、根強いイメージとして抱いていたのが、ひいた豆をママゴトのお鍋みたいなのに充填するという作業....。この種のひと手間には妙なあこがれを感じるものの、日常においては、手間は...避けたい本音が,購入にブレーキをかけていたんですね。

 そこに登場したのがネスプレッソなのでした。
 カプセル(左イメージ)をセットして(ママゴトのお鍋のようなものはありません。)レバーを動かすだけの....操作も後始末も簡単な...すぐれものです...とデモンストレーションのスタッフの力説に「へええ〜。」と感心し、鮮度が保たれるカプセルの利点に「ふぅ〜ん。」と納得し、それでも、最近はあんまりコーヒーに執着が無いのよね...という迷いは、
「実は! ミルクの泡立ても簡単で、手軽にカプチーノもできるんですよ〜。」と言うひとことで遥か遠くに....。出来上がったカプチーノに「ほー!」と感心させられて....その後はボディの色は赤色がいいかな〜という相談となったのでした。あっという間の買い物でした。
 カプチーノがイタリア旅行の記憶に連動して、主人と二人でアクセルを踏んだようなものですね。

 コロンとしたフォルムがキュートなマシンの定位置を自宅のカウンターの一角に決めて、週末の朝はカプチーノ...の日常がスタートです。なぜ週末かと言えば、紅茶や珈琲とは違って、一度に一杯分ずつしか作れないからでして...それなりに時間がかかるからなののでした。特に、ミルクを泡立てるには、マシンの赤いボディから前に突き出ているスチームノズルをミルクに浸すわけですが、切り替えボタンを押してからノズルの準備が整うまでに少々待たなくてはなりませんし....また泡立ち加減が“今一歩”となることもしばしば。時間的余裕が無いと“今一歩”の確率も高まってしまうではありませんか。

 理想的な泡立てミルクができる確率が30%、こんなもんかいなという泡具合に妥協してしまうケースが50%...で、泡が少なすぎて、作り直さずにそのまま使えば、カプチーノではなくカフェラレに近いものが出来上がるという“今一歩”の発生率がが20%だったでしょうか。
 マシン購入後1年が過ぎた頃からデパート内にネスプレッソコーナーが開設され始めて、購入はもちろん、試飲や各種案内のアフターサービス環境も整いましたが、当初はカプセルの購入もネット、電話、ファクス等を利用しての通信販売のみでしたから、ミルクの件でのアドヴァイスを受けたのは、購入後2ヶ月を経過した頃に別の百貨店でデモンストレーションに遭遇した機会を得てのことでした。

 「短時間でいいんですよ〜。」とスタッフは実践しながらポイントを教えてくれました。ノズルを長く稼働すると一旦できた泡も消えてしまうということで、ほんの10秒くらい....泡はたちました。なるほど...とはいえ、自分の操作と極端に異なるポイントは発見できなかったので、その後は完璧な泡を追求せず、正しい捜査を行った結果の「こんなもんかいな」式妥協が多くなりました。
  スタッフの作った泡の底にも液体ミルクはの残ってましたしね。それに(上部の)泡だけをすくって使うことをも薦められましたから、液体が“完全消滅”しなくても“失敗”ではないということでしょう。

 が....それから5年、 カプセルを購入するために立ち寄ったネスプレッソコーナーで(いつもなら,コーナーでの試飲はその時期限定のエスプレッソを希望するのですが)限定フレーバーも発売されていなかった為にカプチーノをリクエストしたわたしは「おお!」とうなりたくなるミルクの泡に見とれてしまったのです。
 我が家では、マレになって来ていた理想的な泡の、その上をいく、きめの細かいしっかりとした...たっぷりの泡!!
  自分はエスプレッソをリクエストしていた主人が、今更ながらに「ウチのとちがうぞ〜。」と、問題意識にめざめ、今一度コツを教えてもらおうということに....。
  コツといってもね〜、見ても、触れても泡は別物なので、マシンに違いがあるのではないかと『疑惑』はあったのですが...なにはともあれ、スッキリするには聞くのが一番。

 「ミルクがこんな風には泡立たないののですが..。」と 言うと、スタッフは、我が家のマシンの品番を確認してから、別のスタッフと交代しました。
 「※※(マシンの品番)をお使いということで...泡の感じはスチームノズルと○○と△△と◎◎で(いづれも耳慣れない製品らしき固有名詞)かなりちがうんですが...こちらですよね。」と、機種としてはもう古くなっていたのでしょう。表舞台には出ていなかった※※のスチームノズルの稼働準備を整えながら、スタッフは言いました。
 「こちら、ちょっとテクニックがいるんですよね..。」
 (え?ものの10秒の簡単操作のはずだったけど...?)
 「 角度を...だいたいこのくらいの角度でノズルをいれていだだくと、ミルクの対流条件がいいので..。」
 ( え〜? 初めて聞くコツ...) 
 「ミルクは少ないと泡立つ前にあったまってしまうので、少し多めに...。」
 (あららら?昔と使用量が違ってる)
 それでも...できた泡はウチでの上出来具合と似たようなもので、つまりはさっきのとは違うものでした。
 「先ほどのは、○○で作ったもので、スチームノズルとは、感じがだいぶ違うかと...。」
 (...別物です。)
 やはり問題はマシンの違い...5年前に簡単と言われた機種は、ミルクを泡立てるにはテクニックが必要という新事実には笑うしかありませんでしたが、一応試すべきコツを得ただけでもいいとしましょう。ありがとうございました!

  でも! スタッフのインフォメーションは続いたのです。。
 我が家の機種では使えない○○とは別に、ミルクを泡立てる為の単品グッズがちゃんとあって、それぞれでミルクを泡立て、結局4種類のカプチーノがわたしたちの前に並べられました。うち、二つは、購入機種に一体化しているスチームノズルと機種では使えないミルクコンテナで泡立てたミルク、そして、電池式のミルクフローサーとエアロチーノで泡立てたミルクです。
 「エアロチーノはボタンを押すだけで、できあがると自動的にスイッチがきれるんですよ〜。」
 (おお! ノーテクニック!)
 ネギを背負った鴨への変身が始まりました。
 「一度に二人分の泡立てミルクができますし...。」
 変身完了。
 「こちらはそれで、冷たいままの泡立てミルクもできるので,夏はアイスカプチーノに!」
 鍋に片足つっこんで..「世界に先駆けての日本で先行発売されたばかりなんです。」もう、のがれられません〜。

 ということで、 買って来たのが、右イメージのエアロチーノ。
 本体側面のボタンを一押し、ほとんど音も無く、キメこまかな泡立てミルクが、自動的に出来上がります。
 カップの淵を越えてもヘッチャラの泡は,かきまぜてもすくってもつぶれる気配もなく、メレンゲを思わせられる安定感があります。
 ミルクを泡立てる過程でのストレスがなくなり、カプチーノを飲む回数は、週末に限っていた以前よりも、増えました。
 エアロチーノの貢献度は非常に高いです。
 
 ただ、エアロチーノの発送手続きをして帰宅した翌朝、我が家のスチームノズルが,異音を発してストライキに突入しました。(何度試みても、その日、ミルクははじけるだけで、いっさい泡はたちませんでした。)
 5年間....スチームノズルを使いこなせないままに過ぎたのが...ちょっと悔やまれます 


                                        08/03/10 

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