DARJEELING NOUVEAUはマリアージュ・フレール

 最強、ナムリング・アッパーコレクション
       

 マリアージュ・フレール・ジャポンの存在故にか、パリから世界中のどこにでも発送するという茶葉を、日本宛に発送はできないという理不尽な状況から解放されて8年あまり、公式サイトから除くかれた『日本を除く』の一文が、いつまた再び表れるかもの不安も、年と共に薄れました。
 
 入手が叶わない春摘みダージリンのラインナップを、見るのもストレスだったのは昔の話、今や、5月は新茶情報が楽しみな月になりました。 
  ただ、発送解禁当初に、かなりのインパクトを持って取り扱われていたオートクチュールコレクションは、一時種類が増えたものの、継続されることはなく、現在はカテゴリー自体がなくなりました。ダージリン・エクセルシオール、ダージリン・マジック、ダージリン・ビューティ...マリアージュ・フレールでのみ出会うことができる希少価値に、我が家の財布の紐は緩みっぱなしでしたが...それもひとときの贅沢でした。

 そのオートクチュールコレクションの終売と入れ替わるようなタイミングでラインナップが増えてきたのがナムリングアッパー(NAMRING UPPER カタカナ表記はマリアージュ・フレール日本公式サイトの表記に倣っています))シリーズでした。ナムリング(T1018)、ナムリング・アッパー(T1005)はティーリストに記載されている、いわゆる定番の春積み茶葉ですが、国内紅茶専門店の新茶ブームに、少し遅れてお付き合いするかのごとく、“新茶”の位置付けで、時折ナムリングの入荷はありました。
 ルピシアが50種を超える春積みダージリンを揃えてフェスティバルを開催した年にも、マリアージュフ・レールが取り扱った新茶はアンブーシア、ハッピーバレー、時にナムリングの、2種か3種で、他はリストにある通りに定番春摘み...。

 春積みに収穫年やロットが記載されて、“NOUVEAU”というカテゴリーが登場したのはおそらくは2009年あたり(2010年にパリマレの店で2009の数字入りのお茶缶が10個並んでいるのを初目撃。それ以前の数字入りの缶はありませんでした。その3年後の冬は、2013の数字入り缶が10数種、リストの春摘みと区別して棚に並んでいるのを確認。)だと察しますが、銀座本店はともかく、関西エリアで3種以上の新茶が店頭に置かれることなく過ぎたので、“First Flush”と区別して“DARJEERING NOUVEAU”というカテゴリーが定着していく様子の中で、マリアージュ・フレールでしか取り扱いのない茶葉を、パリ飛ぶか、銀座(入荷不安定)に行くかしなければ入手がかなわない腹立たしさを抑えつつの数年後、2017年から2年間ほど“DARJEERING NOUVEAU”の主流だったオートクチュールコレゥションと入れ替わるようにラインナップが増えてきたのが、ナムリングの名前を持つ“新茶”でした。

 “新茶”は、昨年のナムリングのように定番の品番に収穫年とロット番号がプラスされて限定品番になっていると思いきや、ナムリングスプリングは初登場の2020年から数年間T1018201に固定されているものや、4桁のベース番号に収穫年を挟んで1、2、3、の番号降りで品種を区別している場合も見受けられます。

 2020年のナムリング・キング・アッパーはT1004201、21年はT1004211
 21年のナムリング・アッパー・レインボウはT1004214、 24年のナムリング・スター・アッパーはT1004245、今年のナムリング・アッパー・インペリアルはT1004251、ナムリング・アッパー・マジョリティはT 1004253、桁数の多い品番で固定されるものもありますけど、ティーリストでも欠番だっったT1004(2015年にナムリング・キング・アッパーの品番になってます。)に収穫年、品種を組み合わせたシリーズは、『Tea fron beyond the skies』 (マリアージュフレール日本公式サイトでは『天空のお茶』)のタイトルを持って、“ DARJEERING NOUVEAU”の中でも特別なコレクションとなっています。
 茶葉の状態、水色や香りは個別に紹介されていますが、茶園の歴史や栽培環境については、1004の数字を持つ茶葉には、同じ説明が添付されて、最強シリーズのまとまりを思わせられます。

 下記イメージは左から、ナムリング・アッパー・ビンテージ、ナムリング・アッパー・ロワイヤル、ナムリング・キング・アッパー、ナムリング・クイーン・アッパー、ナムリング・アッパー・マジョリティ、全て1004から始まる番号をもつコレクションですが、、25の数字を持つのはロワイヤルとマジョリティ、他3種は24の新茶で、1004に24の数字が続いています。
 数年間、ナムリング・キング・アッパーにつけられていた末端の数字1は、24年はビンテージにつけられ、キング・アッパーの数字は4でした。 25年の7桁目1の茶葉は、ナムリング・アッパー・インペリアル...ということで、ヴィンテージの提供は今季はなく、キングアッパーは遅れての提供があるかどうか、もしかしたら初品種が4の末尾を持って現れるかもしれません。 発売されなかった年に末尾の数字はリセット番号.になるようすで、 末尾の数字と品種は固定されていませんが、7桁の数字に収穫年が組み込まれているのは、感慨深いです。

 紅茶の春摘みを広く知らしめたのは、35年前に日本上陸したマリアージュフレールだと、わたしは思っています。
 その春摘みに新茶の付加価値を乗せて、毎年収穫の時期には特集記事も配信していた国内の専門店でも、日ところの熱から醒めつつあるなかで、マリアージュ・フレールの新たなカテゴリー“NOUVEAU (新茶)”は確立されて、毎年、見事な新茶を楽しませてくれるのが、ありがたいです。

 『天空のお茶』ナムリング・アッパーコレクションは、これまでで10種類くらいになるでしょうか。年によっては5種類以上、今年は今のところ3種ですが、うち二つは新品種、一つは昨年に続いての2度目の登場、新新種が登場してこれまでの品種と入れ替わる印象ですが、どれが ハズレなしの最強シリーズと言って間違いないと感じています。
  右イメージは昨年に初登場、今年もラインナップに上がったナムリング・アッパー・ロワイヤルです。
  大きめの、産毛で丸身をおびて膨らんだようなシルバーチップスが大変に多く、茶葉を灰色に染めそうな勢いの、見惚れる新茶でした。
 淡い水色に、ツンと鼻を刺激する香気はブーケのような...口当たりは軽く、まろやかだけど、香りに誘われての余韻はすごく控えめな紅茶の渋み....新茶ならではの個性の主張を感じます。

 まだ手元に届いていませんが、『天空のお茶』コレクション(と、ブルームフィールド)から少しおくれて、マーガレット・ホープ、キャッスルトンの、リストにある春積みの定番品種から25年の新茶が、またリストにはない新品種の新茶も追加されました。品番に25の数字を持つ今季の新茶は8種類、もう少し増えるかもしれませんが、8種類でも、ダージリンの新茶の 品種数が充実していると言っていいでしょうね。
 また、25年の新茶は新着扱いですが、24、23、もっとさかのぼって、18の数字を持つ品種も、“ DARJEERING NOUVEAU”のカテゴリーに置かれているのが、興味深いです。
 NOUVEAUは、一年に限らず、収穫年を付与された茶葉の特別枠かもしれませんね。ストックのある茶葉は、当時の価格のままなので、春積み茶葉と思えば、鮮度への角なこだわりを横におけば、いい買い物かも... 。

 ちなみに、ナムリング・アッパーコレクションとともに、毎年安定的に新茶で提供のあるブルームフィールドは、リストの品番T1000でサーチすると、収穫年、ロット番号が付与された7桁、8桁の番号を持つ茶葉が現れます。定番T1000のブルーム フィールドは欠品中..。
 
 ブルームフィールドは、随時(パリからの)入荷はあるものの、いつ(収穫年)のものかは全くわからなくて...とサロンが併設されていた時代のマリアージュ・フレール京都店のスタッフが、悩ましそうに言っていたことが思い出されます。
 区別されていたのは収穫の時期、紅茶の茶葉に鮮度は問われていなかった時代には、マリアージュ・フレールで新茶コレクションが展開される時を期待することはできませんでした。
 日本国内の店舗での取り扱いは、残念ながらの域をでませんし、オンラインショップでもダージリンヌーヴォーは、軒並みSOLD OUTマークとともに店舗に問い合わせるようにとの案内があるだけで、通販の対象になっていない問題は残ります。

 でも、最強新茶をパリにオーダーできる時代になりました。
 お馴染みの品種にも、これまで販売されたことのない品種も、おおいなる期待とともに、取り寄せにトライして間違いのない逸品、揃い踏みです!

                                     25/05/26 

リストに戻る