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      季節が移るパリ6泊9日 特別レポート


 2015年10月のパリ旅行中に、ボワシエに立ち寄ってきました。
 
 マロングラッセをはじめて作った店(らしい)と知ってから、10数年...予定は未定に終わった2010年、2013年に続く計画3度目にして、ようやくの実現でした。
 一見の観光客には多少敷居の高さを感じさせられる店の内部はレトロな愛らしさと繊細な美しさに満ちた空間ででした。店内ディスプレイのイメージを紹介することはできませんが、持ち帰ったお菓子とともに、トキメキのレポートを! 
                     2015年11月03日      


  
 
    

 ボワシエの名前を知ったのは一昔前、北海道に向う機内の情報誌の記事ででした。

 マロングラッセを最初に作った店で、そこのマロングラッセがパリで一番おいしいというような内容でしたっけ。

 マロングラッセ....、初めてのパリで、メゾン・デュ・ショコラのマロングラッセ10粒入りを12箱買って発送手続をして以来、いわゆる『お土産』は小さくて軽いものをと工夫するようになりましたが、自宅用には常にマロングラッセは我家のパリ土産の定番アイテムです。そのマロングラッセで定評のある店があると言うのであれば....知らずに過ぎた過去が悔やまれ、次の機会にはできれば尋ねてみなければとわたしは機内誌を自宅に持ち帰ったのでした。

 次の機会の前に、初の出会いは東京で訪れました。
 リニューアルオープンした大丸百貨店に、なんとボワシエが出店したんですね。マロングラッセの日本価格は,当時は初上陸時よりもこなれた価格になっていたメゾン・デュ・ショコラや、他の既出のパリブランドの中でトップクラスだったと記憶しています。

 ボワシエ東京大丸店での初買い物は、マロングラッセ4粒と花びらのようなペタルチョコ...いずれも食べてしまえば残る物はない紙箱とクリアケース入りでした。あいにく、大丸のボワシエが出店していたエリアはさほどの時も経ず、見る影も無くリニューアルオープン当時の店舗が閉店してしまい、数年前からボワシエも撤退したようで、儚い縁に終わったマロングラッセからレア物の付加価値が取れることはありませんでした。他パリブランドのマロングラッセと比較して、ボワシエのものが格別においしいとか、病み付きになるほど独特の味だったとかと言う実感は....あったとはいえませんでしたが、レア物への執着はしっかりと増して、ボワシエは“できれば”から“必ず”尋ねてみたい店に昇格したのでした。

 袋(右イメージは2007年に東京で購入した時のもの)ではなく、ちゃんと缶入りのものを...と思い立ってから*年後、2015年10月に、購入してきた物が上のイメージです。
 
 店舗があるのは16区、観光の途中に通るエリアではないので、ボワシエを目的として向わなければなりません。
 前回の渡仏で、実はオルセー美術館のショップにボワシエのミニ缶入りキャンディが取り扱われていたのを確認しましたが、マロングラッセは、とにかく店に行くしかないよねという感じでした。パリ本国でも、ボアシエのレア付加価値は健在だったのです。
 住宅街の一角にドンッと佇むボワシエ本店は、エントランスがちょっと奥まっていて、通りに面したディスプレイもめだたず、暗黙のアピールは敷居の高さ?のような印象の店でした。一見の身はいかんともしがたいものの、地図やガイド本は、扉を押す前に見えないところにしまいたくなる雰囲気の店です。

 店内に入ってすぐに目についたのは、ショーケース内に綺麗に並べられたマロングラッセ...包み紙の色が5種類!
 マロングラッセが5種類!! 
 ナチュラル(これが、東京店で購入もの)、チョコ、ラム、コニャック、バニラだそうで、ローマでチョコ(でコーティングされたもの)とプレーンの2種類のマロングラッセを扱っていたショコラティエがありましたけど、...5種ものバリエーションに、ときめかずにいられましょうか! 
 これは、確かに、おそらく他店とはひと味ちがう違うマロングラッセには違いなく(好みと合えば)ボワシエのマロングラッセが一番!という話になるのもうなづけます。
 一期一会に終らないことを願いつつも、来月また買いにこようねなどという状況ではない現実は分かっていますから...わたしは、心がけは一旦横に置いて、両親や友人のお土産にもと、5種詰め合わせのマロングラッセ缶入り、箱入り共に複数買いを即決してしまいました。
 で、マロングラッセ発祥の店にはマロングラッセの他にチョコレートもあるはず...と言うのは、東京店での買い物の記憶でしたが、いわゆるボンボンショコラ以上に目を引かれたのが、フルーツゼリーやリキュールボンボンなどのレトロ感溢れるお菓子でした。珍しいものではなく、スーパーでも見かけるカテゴリーのお菓子ですが、際立っていたのが見栄えの良さなんですよね。  

 いくつかのお菓子は、それぞれに試食用にケースの蓋が開けられた物がありました。日本のデパ地下の雰囲気とは異なりますが、スタッフから試食品を渡されるのではなく、蓋の開いたお菓子を自分でつまんで味見が出来ると言う意味では自由に、気になるお菓子の味見が出来ました。
 わたしも、勧められて数種のお菓子に手をのばしましたが、試食以前に『買う』と決めての味見でしたっけ。

 だって、とにかく綺麗でしたから。
 食べるよりも、まず持っていたい!そんな誘惑にかられるお菓子はどれもが 小さくて、ため息が出る程の愛らしさでした。

 右イメージは、フルーツゼリー(パートドフリュイ)ですが、左側ミニ缶の上部に他2店のフルーツゼリーを置いててみました。粗目砂糖仕上げの四角い方は、概ねパリの標準サイズで、その隣は一辺が短い長方形型で幾分小さめなのですけど....ボワシエのゼリーは小さい方のゼリーの4分の1以下の、まさに赤ちゃんサイズなんですよね。

 風味は濃厚で、口当りはソフト、そしてちゃんとジューシー! もとより買うつもりだったものの、味見をして、ミニ缶だけ(何しろ、マロングラッセが重いので)の予定を変更、スタンダード缶追加の誘惑には逆らえませんでした。

 下のミメージは、左から、パールクロカン(核にビスケットが入ったご極小粒チョコ)、リキュールボンボン(商品名未確認)、 そして、マロングラッセとともにボワシエのメインアイテムと言われる花びらチョコ、ペタル....イメージは実寸よりも若干大きくなっています。


 
 パールクロカンは一見、キャビアチョコのフレーバー違いかと思ったのですが、中にビスケット入りと説明されて、ビックリしました。ビスケットを入れる余地があるとは思えない小粒ですが、...ビスケットがちゃんと主張していて、素朴な風味と繊細な口当りが融合した....よくありそうな組み合わせなのに,滅多にお目にかかれないチョコレート菓子に思えました。
 リキュールボンボンは色合いの美しさ惹かれて、食指を動かされたもの。夢のような柔らかな色合いは、眺めているだけで嬉しくなります。ただカテゴリーとしては珍しいものでないんですよね。わたしはヤシマのボンボンを思い出して、ひところを懐かしみました。主人はヤシマ...とは縁がなかったようですけど(地域差でしょうか?)、リキュールボンボン自体は初物ではないわけで,レトロ感は共有出来ました。

 ペタルチョコレートは、フルーツフレーバーとフラワーフレーバーがあり、わたしはフルーツフレーバーのみを購入しました。実は大丸で取り扱われていたのはフラワーフレーバーの方で(フレーバの素となる花弁が表面についていたりしましたっけ。)珍しさだけで食指を動かしたものの、花々の薫りが強すぎて、かつ花弁の食感も心地よくはなくて、味わいきることなく『長期保管品』にしてしまった過去があり、今回は紫色のスミレフレーバーからの誘惑もきっぱりと(ゆらぎましたが...)断ち切りました。楕円系のペタルチョコは花びらのように反り返って、中心部分は縁よりも厚く、意外に分量はあります。

 でも縁は壊れ易いです。
 缶入りにしろケース入りにしろ(空間をビシ!と埋め尽くすことは出来ないため)中で動いてぶつかりあうんでしょうね。

 まあ、ぶつかり合うという点では他のお菓子も同じですが...これで個別パッキングと型抜きプラスティックトレイとか保護材が多用されると、むしろ興ざめなわけで、小さい缶(や箱)にむき出しで詰められた様がレトロな愛らしさを生み出している気もします。...ペタルチョコはトランクに入れずに持ち歩くのがベターかもしれません。

 ボワシエを訪れた日、日本のガイド誌では休日とされていたサロンが利用出来ると分かったので、夕刻の開店休業状態のサロンでお茶をいただきました。
 
 わたしがオーダーしたのは、緑茶ベースのオリジナルブレンドだったようです(主人の紅茶と色がかなり違ってました。)。ティーポットは、やっぱり...と言いたくなる鉄瓶。内部がセラミックでコーティングされたティーポット仕様で、前回のパリ旅行で普及率に驚かされたものですが...ボワシエでも長く愛用しているとのことでした。まさか開業当時からではないでしょうけど、それなりに使い込まれた痕のある鉄瓶でした。
 時間的に、...でしょうか、お茶以外のメニューは殆どおわっていて、マロングラッセやパウンドケーキなどの店内販売品の一部のオーダーができるだけでしたけど、テーブル、座席,そして臨席との間隔にも余裕があって、本気でゆったりとくつろげるサロンでした。少し足をのばしてでも、必ず立ち寄りたい店にリストアップしない理由はありません。

 左上はサロンでお茶と一緒に提供されたペタルルチョコ...フラワーフレーバですが、販売価格を考えれば、太っ腹なサービスでした。
 
 店内の撮影は問題はないものの、SNSやインターネットで公開するのでなければという話....。
 ボワシエは、そういう店ということですね。
 
                                             15/11/05