画面のレイアウトが乱れる方へ

 2002年12月27日から10日間、シーズンデコレーションも華やかなブリュッセルとパリで、非日常の時間を過ごして来ました。

 準備万端、憂いなしのはずが、多すぎた備えが憂いを呼び込むという大反省のおまけ付きの旅になりました。
 感動が大前提の毎日では、反省も刺激的というわけで、困惑、驚き、思案や悩みにポイントを置いたエピソードを御覧ください。旅の予定がある方にも、ない方にも、等しく楽しんでいただけるように、“観たことよりも体験したこと”を優先してピックアップすることを心掛けました。

 なお、内容的に「イタリア3都市エピソード」と重複する部分(特に“準備編”)はここでは省略しています。            
               03/01/17 
   ※ イメージは、ブリュッセルから送り返さざるおえなかった多すぎた備え、憂いの原因。

パリの1日目  イルミネーション華やかな街で、なぜか賑わうサッポロラーメン

 観光に支障をきたす1月1日は移動日に....とはいえ、ヨーロッパではこの日にホテルを変わるには、ちょっとしたリスクもあるのですね。
 前夜、あるいは当日の明け方まで、新年を祝って騒いでいた余韻は、街中のみならず、ホテルにも及ぶ場合が少なくありません。先を急ぐ観光客は別として、12月31日に宿泊したゲストの多くは、ニューイヤーズイヴディナーやパーティー、コンサートを堪能しながら、新年を迎えて...それから「起こさないで」の札を客室のドアにかけてから、じ〜っくりとやすむわけで、
1月1日の朝はホテルそのものの動きが緩慢なんですね。
 もちろん、レストランに行けば朝食の用意はされていますし、ルームサービスも稼働中ですけど、ゲストの大半が寝ているんですから、静かなものです。
 で、ゲストのチェックアウトが遅くなれば、次のゲストの為の客室の準備は遅れます。

 この日、わたしたちが利用するウェストミンスターも例にはもれず、駅まで専用車で迎えにきてくれたものの(つまり、こちらの到着予定時間を把握していたにもかかわらず)客室の準備は整っていませんでした。時間は午後3時前。そもそもチェックインは何時なのよ、と突っ込みたくもなりますが、このあたりはアバウトなのも珍しいことではありませんね。ウェストミンスターだけでなく今回利用した他のホテルの案内にも、チェックイン、チェックアウトに関する記載はありませんでしたし、過去には、わたしたちも朝に到着したり、夕刻に出発したことがありましたけど、追加料金を請求された経験はありません。もう少し言えば、フリースティながら、送迎、観光付きのツアーで行ったウィーンのホテルでは、送迎スタッフから、チェックアウトの時間は○時なので、それ以降は(出発時間まで)荷物はクロークに預けるようにという案内がありましたけど、フロントデスクは出発時間までの部屋を使いたいと言うわたしたちの申し出に対して、ノープロブレムで対応してくれました。
 ですから、ほかでもない1月1日、客室の清掃が夕方になっても終わっていないという事態は十分にあり得ることなのですね。

 ホテルのパブリックスペースは広くはなく、レストランもお休み中だったので、部屋の準備が整うまでの間、わたしたちは近辺のシーズンデコレーション見学に出かけました。

 ホテルの位置は前回も利用したロケーションの1角にあったので、ガイド本も地図もホテルに置いての散策でした。他のことはともかく、地理に関しての主人の記憶力はなかなかのものなのです。4年前、数日間という短期リピーターになったおいしいクレープ店のワゴン出店に位置まで覚えていました。(1日は、さすがに閉まってましたけどね。)

 上は、有名デパート、ラファイエット。通りに面した壁面は色とりどりの電飾で覆われていて、かなり遠くにまでその存在を知らしめていました。陽が落ちてからは、さすがに目立ちますね。
 1方、 キラキラとは無縁だったのが、右イメージのフォションです。大きな垂れ幕1枚の、以前とは似ても似つかぬデコレーションで(おつきあいしたいティーブランド、フォションを参照)、私は壁面の修復中なのかと思ってしまいました。でも、後でガイド本を見ると、昨シーズンのデコレーションもこういう感じでしたから、最近は幕を使用した飾り付けをしているみたいですね。
 飾り付けは壁面だけにとどまる物ではないし、垂れ幕1枚といっても巨大だし,オリジナルなものだし...これはこれですごいのかもしれませんが...どうなんでしょう...。ある意味ではインパクトを受けたことは確かです。
 ただ、向かいにあるエディアール(イメージ、右上)が、前回見た時の路線を継承していて、予定通りに“過去と今が交錯するような”感動に出会えたので、フォションの路線変更は、私には受け入れがたいものがありました。

 4時をだいぶ過ぎてから、わたしたちはホテルに戻りました。
 が、部屋の準備はまだ整わず、実際に客室に案内されて、荷解きをした頃には,外はもうすっかり暗くなってました。
 わたしたちの予定では、観光ができないこの日は、時間にも体力にも余裕があるというわけで、ホテルのレストランで夕食をとるはずでした。ところが,そのレストランがお休み! コンセルジュは好みにあったレストランを探して予約をしてくれる体制ではありましたけど....服を着替えて、ハイヒールに履き替えて,ホテルの外に出かけて行くほどには、夕食に執着はありません。ルームサービス(...は、やってました。)に切り替えて、翌日に備えてゆっくりしようということになりました。
 ただ,レストランを利用しないとなると、身繕いに時間を費やす必要もありません。時間の余裕がもっとできたというわけで、夜の街をまた少し歩こうということになりました。
 左のイメージは、ホテルの前の通りです。
 この時期は、どこも明るく華やかで「暗くなってからは,出歩かない ようにしましょう。」という安全対策も、ひとまず棚上げしたくなりますね。年末のような混雑はなく、“路”を知っている街を観るには、悪くはないコンディションでした。すれ違う人の多くが,カメラや地図を手にしていて、同じ目的で歩いているのだと感じました。

 もっとも、観光客にしてみれば、散策よりほかに選択はなし、というようなもので、ショップはいうまでもなく、カフェもレストランもごく一部をのぞいて見事に閉まっていました。もちろん、営業中のカフェは大混雑で、ここでお茶を飲むなら,ホテルの部屋に戻った方が数倍はくつろげることが確実でしたから,いささかの誘惑も感じずに素通りです。
 ところが、ヴァンドーム広場(右イメージ)からUターンした帰り道、わたしたちはサッポロラーメンの看板に誘惑されてしまったのでした。前回立ち寄ったチョコレートショップを確認すべく曲がった通りの、斜め向かいにカタカナの看板が!(前はなかったはず...。)しかも営業中ではありませんか!しかも、しかも、おりしもお客が出てきて、テーブルが一つ開いたばかりというグットタイミング!

 思えば、わたしたちはこの日、 ブリュッセルで遅めの朝食を取った後、キチンとした食事をしていないのです。ラーメンが、キチンとしてるかどうかはこの際追求しないでくださいね。ホテルのルームサービスよりも、湯気の立つラーメンに食指が動いてしまいました。
 よりによって,1月1日のパリで...本来ならドレスコードのあるレストランでユックリとフランス料理を味わうはずだったのに.....叶わなかった予定にひきづられて、ラーメンも食べ損ねては一大事とばかりに、わたしたちは小さな間口の店に入ったのでした。外から見るよりも奥行きはあって、店内は賑わってました。
 チャーハンとのセットもあって、ボリュームは十分。味は、この状況ではとても美味しく思いました。本当においしかったのかもしれないし、時と場合によってはそれなりのものだったのかもしれません。
 ただ、私たちが席についてから、食べ終わって店を出るまで、店内は満席で,外には順番を待つ人の列ができていました。食事にあぶれた観光客が多かったということでしょうか....(もしかしたら、評判の店?)

                                         04/02/26 

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