画面のレイアウトが乱れる方へ

チョレート王国ベルギーのブリュッセルとチョコレートへのこだわりを見せるパリで、幾つかのショップを巡って来ました。
 ショーウィンドウの見事なディスプレイとともに、個性豊かなチョコレートたちを御覧ください。旅行の予定がないから関係ないわと思ってはいけませんよ。御紹介するショップ(メーカー)の大半は、今や日本に上陸済みなのです。日本にいて、食べ比べも可能な時代なのですね。
 もちろん、予定のある方はお出かけ前の参考に、あるいはお出かけする誰かにリクエストするお土産チョコの参考としてもお役立てください。
 なお、1部を除いて、チョコレートはこちらの好みで詰め合わせてもらったものです。
                         03/01/23


WITTAMER(ヴィタメール)ブリュッセル

 ヴィタメールを知ったのは、数年前、高島屋難波店内の店を見つけたのがきっかけでした。
 こんなところにいつも間にかおいしそうなお菓子屋さんが...とのぞいてみたら、チョコレートも充実していたというわけです。
 ステットラー社の“ジュネーブの石畳”に追随するかのように“銀座の石畳”“ブリュージュの石畳”“道庁の石畳”(あるのですよ)など、スクウェアな生チョコがポピュラーな中で、ヴィタメールの円筒形の生チョコを目新しく感じたものでした。
 パンフレットには“ベルギー王室御用達の老舗”という説明があって、また一つ、海外の有名処が日本に上陸したのかと思ったわたしは、アールグレイの生チョコと粒チョコを数種類購入しました。この時、チョコレートリストを見て、最初に感じたことは、チョコの外観はともかくフレーバーは、(わたしが抱いている)ベルギーチョコのイメージではないなあということでした。フィリングはプラリネよりもガナッシュが多く、ナッツを使ったハードフィリングも少なかったのです。(“プラリネ”はひと粒チョコそのものを指すこともあるようですが、当サイトではナッツ類のペーストを使用したチョコの中味ーフィリングーのことで統一しています。)
ナッツを使ったものにはオイリーな重さを感じるわたしは、ゴディバノイハウスでも「おいしい」と思えるアイテムは限られていて、ベルギーのチョコは自分の好みとは、少し離れたところにあると考えていました。ですから、好みのフレーバーがたくさんあるという点で、ヴィタメールというベルギーブランドには興味をひかれたのです。
 ただ、スタッフに尋ねたところ、商品は直輸入物ではなく、本国のレシピを基に日本国内で作られているということでした。
 
日本生まれのベルギーの味は、ベルギー本国から空輸されてくる他のメーカーのものよりもリーズナブルで、しかも好み...というわけで、我が家が頻繁に利用する店のひとつになっています。
  でも、本家の味も気になりますね。

 
2002年12月31日、わたしたちは(オーダーしやすいように)日本から持参したチョコレートリストを持って、わざわざヴィタメール本店を目指しました
濃いピンクの色合いが遠目にも鮮やかな店は、日本のリストで紹介されているシックな佇まいとは別物で、想像とはかなり違っていました。クリスマスとお正月用の大変身かもしれませんね。表に出されていたティーテーブルもピンクでした。
 意外だったのはお値段でした。
 ディスプレイされていたピンクの箱は特別仕様のプレゼント用で、それぞれにも割高なお値段がついていましたけど、いわゆる計り売りでの500グラムは23ユーロとなっていました。高い、ですね。この日までにわたしたちが立ち寄って来たブリュッセル市内の主なチョコレートショップの中でも“メチャクチャな高さ”です。ざっと見積もってもレオニダスの3倍、コルネガレーの1.5倍です!
 このお値段と店内の雰囲気に落差を感じたわたしは、買い物への意欲が薄れてしまったのですけど....これはミスでした。高いと言っても、(高くはないと言う認識を持っていた)日本価格の半分以下だったのですから、もっと執着するべきでした。ただ、この時は何を勘違いしたか、日本で買うのと大差ないと感じちゃったんですね。化粧箱入りの値段を基準にしちゃったからかもしれません。

 でも、ヴィタメールでがんばることができなかったのは、店内が(わたしを含めて)日本人で侵食されていたので興醒めしたというのが正直なところ...。オーダーを待っているスタッフとは目を合わさず言葉を交わさず、試食をして店内を動き回ったあと、結局何も買わずに出て行った先客4人組みのお行儀が悪かったです。取り残された(本当にそんな感じ!)わたしも、居心地はよくありませんでした。
 日本人というカテゴリーにおいては、わたしも“かなり失礼な先客”と(スタッフから見れば)同類ですものね。
おそらくはそのせいで、“一緒にしないで”自衛本能が暴走気味になったのでしょうね。試食も本店のラインナップチェックもカットして、わたしはスタッフに自分の好きなフレーバーを3種、6個づつオーダーしました。ヴィタメール・ジャポンでは必ず買う我が家のお気に入りの3種です。
  ブリュッセルでは通りすがりの観光客だけど、ヴィタメールには馴染みがあるの、“いつものお気に入り”も決まってるのよね、と伝えたい心理
だったのかと思います。
 でも、3種の内のひとつのマロンは無いということで、2種を10個づつに変更しました。日本オリジナルがあるということは、ブリュッセルオリジナルの存在を思うべきでしたが....自衛本能暴走中!でした。
 チョコレートは一部を除いて(驚いたことに)オープンな状態で並べられていました。 横にトレーが置いてあれば、セルフチョイスかと迷うところですが....スタッフは銀のトレーではなく、手に袋に直接20粒のチョコレートをいれると、計量し、小さい紙袋に入れて渡してくれました。(ちなみに、上から2番目のイメージは、日本で標準的に使われているサービス箱です。ひと粒いくらの販売形態ですから、チョコレートで箱一杯にならなくても問題はありません。隙間にはクッション材を詰めてくれます。)モンブランとジャバ.....なのですが、スタッフは(わたしが)見たこともない粒チョコを袋に入れながら“見た目は違うけど、味は日本同じと説明したのでした。その、モンブランが左のイメージです。
 でも...これだけ見た目が違うのに同じ味なら、それはミラクルと言うわけで、結論から言うと同じなのは名前だけでした。外だけでなく中味、フィリングも、ついでに言えばリストに記載されている説明も別のモノでした。 ブリュッセルのスタッフの味覚を疑うよりは、スタッフがヴィタメール・ジャポンのアイテムに馴染みが無かったと考えた方がいいのでしょうか...。どっちにしても“味は同じ”というのは、真実ではありませんでしたね。
 
  慣れのせいか、モンブランもジャバ(左下イメージ、菱形が日本製。)も、わたしは本国のものよりも“日本製”の方をおいしいと感じました。ブリュッセルのモンブランはコーティングのホワイトチョコが勝ち過ぎてまいたし、ジャバはブラックコーヒーの味でした。ミルクコーヒーに馴染んだ身には苦かったです。

  同じレシピでも、別の国で作られたものには微妙な差があるはずという仮説を立証するには、わたしは余り効果的ではない物を選んでしまったようでしたが、本国オリジナルのフレーバーを買って来たのだと思えば、それはそれでわざわざ行った甲斐があったともいえそうですね。
 店のスタッフは帰り際に小さく折り畳んだチョコレートリストをくれたのですが、帰国して日本版リストと見比べてみると、名前も形も(おそらくは)風味も同じものがいくつかありました。微妙な差は、それで比較すべきでしたね。いくつかは(ジャバのように)名前が同じでも形や風味が違うもの、その反対に形は同じなのに名前や風味が違うものがあって、そしてたくさんのオリジナルがありました。

 日本の30数種に対して、ブリュッセルのアイテム数は50種を越えているのに、日本にあってブリュッセルには無いフレーバーが...これまた(マロンだけではなく)結構あるのです。つまり、ザっと見ても30以上のフレーバーがブリュッセルにしかないアイテムなのでした。
 好みのコーヒーフレーバーも数種... 気が付いていたら必ず買っていたはずのアールグレイやオレンジ風味も、ブリュセルのオリジナルでした。(これには、後悔!)
 
  う〜ん、別の店(実際に別ですが...)だと言ってもいいような気がするラインナップです。
 数では負けますけど、日本オリジナルのフレーバーは本場ブリュッセルに優るとも劣らないおいしさだし...ヴィタメール・ジャポンが必要だったのは、レシピでは無く“ヴィタメール”の名前だったのかもしれませんね。
 微妙な差ではなく大きな差に注目してくるべきでした。

                                        03/05/14 

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