レストランと食事
ルスツは夕食の予約を受け付けない....手間が無くていいというゲストも多いのでしょうけど、我家にはうれしくないシステムでした。
買い物ついでに利用するスーパーのレストラン街ならともかく、ホテル等の夕食は予約があたりまえの感覚でしたから、リゾート内のホテルに、予約が出来る店がないの??と、驚いたものでした。予約制である必要はないけど、いまどき(10数年前です。)フツーの店なら予約くらい出来るのにねと....。
夕食、特に旅先での夕食はついでではないわけで、
時には何かの意味付けがあったりもするわけです。何かの記念にとゴルフやスキーにでかけることはなくても、滞在中に特別な日が重なることは珍しくありません。いえ、そもそも連休そのものが特別なわけで、休みが取れて出向いた旅先で、ちょっと早めの誕生日や遅ればせながらの結婚記念日、あるいは12月ならクリスマス、2月ならヴァレンタインデー等々、意味付けに不自由はありません。2t
なのに....行き当たりばったりの夕食では興ざめではありませんか...と当時は、ルスツを利用の選択肢から外してぶったぎったものです。
いま現在でも、ルスツのレストランが予約を受け付け無いのは残念ですが、こちらもそれなりに歳をとって、(自分の好みとは別に)予約を受け付けるリスクもあることを理解する程度には学習しました。予約を受け付ける変わりに食事時間を制限される(無駄に空きテーブルを作らないため)味気なさ(某鉄人の店のランチで90分の時間制限の体験有り)よりは、テーブルにつくまでの順番待ちのストレスの方がマシですしね。
とはいえ、予約が出来ない
一番の問題は、料理をメニューの中から選ばなくてはならない不自由さです。
コース、単品、
ラインナップもバリエーションも豊富で、その場で差し替えや追加が簡単に...という状況を期待するのは難しい...ですね。大好物が見当たらないのは耐えるとして、これは食べたくないという素材や料理がメニューにズラリ...なんて悲劇は避けたい。おまけに我家は主人がかぼちゃ嫌いときていますから、北海道での食事に危険はつきまとうのです。ついでに言ってしまえば、一昔前にルスツでメニューを見て食べた料理は、一店を除いて、我家に2度目の利用を避けさせました。価格並みだったと思いますが、好みではなかったんですね。
ところが2009年、こちらもじっくり見るのは殆ど初めての公式HPを覗いてみたところ、なんだか、食時に関してのイメージが違うではありませんか。素材の紹介や旬のテーマなど、食事に関するインフォメーションがちゃんと稼働してるのが(こういってはなんですが)驚きでした。総料理長、調理スタッフが顔を見せて(名前を名乗って)のコメントを発信する形式は、かつてはそれがあたりまえだったトマムから失われた魅力にほかなりません。いまのルスツは...どうだろう?と興味を抱くには充分でした。
そんな中での再訪....決めては、予約は受けていなくても料理の事前調整は受けているという情報でした。
利用予定日と利用予定のレストランを決めて(時間は決まらない)、いわゆるリクエストは可能というわけです。ああ、それなら、19時にと思っていた晩ご飯が、混んでて待つことになって19時30分になってもたいしたことじゃないね...と一挙に性格がおおらかになりました! 実際には、わたしたち(Tomokoさんとわたし)が訪れた6月の平日はすいていたので、おおらかでなくても何の問題もありませんでしたが(待ち時間なし)混雑時でも、料理の問題がクリアされれば、食環境は大幅に改善されたと言って過言ではありません。
料理のリクエストは、料飲事務所のスタッフが窓口となってくれました。
この時期には、やはり営業していない店も多く、タイムスケジュールも2週間単位で決まるとのことで、リクエストを上げた時点では、利用予定レストランの営業の有無は未定。特定の店にはこだわらないから営業している店で希望の料理が頂ければいいなどと、物わかりが良いのか悪いのか判らない主張をしたのが、5月の下旬でした。
当初の案内通りに、出発の2週間前に、こちらの希望に添ったメニューと、利用レストランの確定情報が届きました。
09/07/07
ベルビュー (サウスウィング 4F)
創作料理の冠がありますが、参考用に送付してもらった5月のコースメニューは、チーズも組み込まれた正統派フランス料理という印象でした。
ただ、
その後、北海道と九州をテーマにした和洋折衷のコースが登場したかとおもえば、わたしたちが利用した当日は、テーブルバイキングとなっていましたから....やはり、フレンチレストランとは考えない方がよさそうです。和洋折衷...お箸も視界に入りましたが、店の造りもスタッフのサービスも翌日にフレンチレストランに切り替えても対応できるのに(のに....ああもったいない)現実は、需要を見ながらの供給というところでしょうか。
実際どうしているのかはわかりませんけど、オン期、ピーク時など他に営業するレストランが増える時には、ベルビューは専門色を濃くして、すこし敷居を高くしてもいい気がします。
料理のリクエストは、5月の コースの品数と価格を参考に、チーズの盛り合わせを削除、フォアグラのテリーヌは好みではないことを伝え、温前菜にフォアグラのポアレを希望しました。
口当たりのネットリしたものやとろみの強い仕上がりは避けて、野菜や果物を多用してほしいことも要望しました。
その結果登場したフォアグラのポアレが左イメージです。
ルスツでは温前菜、冷前菜の順だったので、これが最初の一品でした。拙宅とおつきあいくださってる方なら、この一品でわたしたちがほっとしたのをお判りいただけるかと思います。
付け合せは桃のバターソテー、モモのソース。
メニューを受け取った時から、なんだかおいしそう...と楽しみでしたが、桃はね、ソテーすべきですね!
バターの膜で酸化が抑えられるのか、たっぷりの果汁を含んだ果肉は見た目も味もいい感じでした。焼き加減もリクエスト通りのフォアグラ自体には、甘み要素はありませんでしたが、桃の甘みとの相性が抜群でした。多分キャベツ....のソテーもしっかりとした甘みがでていて、おいしかったです。
野菜は、とにかくどれもがおいしかったです。素材毎に特色のある甘みが濃くて、付け合せとではなく、一度メインで食べてみたい気にさせられました。ベジタリアンメニューをベースに、フォアグラのポアレを追加というのもいいかもね〜、お肉はちょこっと欲しいかもね、ホタテ、おいしいね!とわけのわからない話が横行するくらいに、一皿一皿の野菜の味は印象的でした。
右イメージが、 写真を見た主人が「うまそ〜。」と唸った冷前菜。
“オマール海老とホタテ貝のマリネ フリゼと白蕪、グリーンとホワイトのアスパラガス添え、シェリー風味のビネグレット”(今回メニューが用意されていたので正確に記載できます。)追加(?)で記載にないメロン付き。
マリネの酸味は、素材それぞれの味をつなぎあわせる役割程度の軽い仕上がりでした。
振りかけられた胡椒(かなあ?)がいいメリハリを加味して、料理を引き締めていた気がします。メロンに胡椒は、わたしは初めてでしたが、合うものですね。マリネのオイリーさを胡椒付きメロンがリセッットする感じで......実は、前菜としては結構なボリュームだったのですが、警戒心ゼロで堪能しました。
09/07/07 
スープは“南瓜のクリームスープ タラバ蟹とコリアンダー風味”。冷製でした。
当日のテーブルバイキングのセルフコーナーにも同種のスープ用意されていたようですが、全く同じものか、多少のアレンジがなされていたのかは判りません。こちらからのリクエストは、野菜かフルーツ素材で、とにかく口当たりを軽くということで、条件は100%満たされていました。
メニューを見て、一番判りにくいのがスープの仕上がりだとわたしは思っているので、これが好みと一致するかどうかは気になるポイント...ということで、即座に手を付けてしまいました。残念ながらイメージはありません...。柔らかな色合いのサラサラしたスープの中にタラバ蟹の果肉入りでした。
同様に撮影を忘れたのが、パンと口直しの水菓子。
口直しはゆずの...見た目はアイスクリーム、ジェラードとシャーベットの中間のような食感で、わたしたちには好評でしたが、コース料理の口直しとしては幾分甘いと感じるゲストもいるかもしれません。
パンは幅も厚みもあるバケットが2種類 。ボリュームにもめげずTomokoさんが完食してしまったのにはビックリしましたが、ふんわりとした触感と弾力のある食感に食指を動かされました。
ルスツ公式HPの案内によると、ヤーコンの煮汁を使っているため、パンはしっとりとした食感に仕上げられているとか....振り返ってみて、なるほどなるほどと納得のパンでした。
魚料理は“地元豊浦漁港直送 白身魚のポアレ 野菜のラタトウイと白バターソース バジル飾り”。
漁港から直送されてきた魚はヒラメでした。
鮮度を活かしたシンプルな仕上げで、蛋白なヒラメはマイルドなソースをからめてキャビアの塩味をアクセントに、ラタトウイの酸味が『食欲増進剤』でした。
魚は....肉もですが、半分か3分の2くらいでもよかったかな..というのは、食べ終わってからの感想です。
相変わらず完食してしまって「ちょっと多い。」といっても説得力にはかけますが、食べきれないというのではなく余裕が無いということでね、実際、デザート後のコーヒーに付いてきた小菓子(一口サイスのチョコと焼き菓子)を前に、わたしたちは考え込みましたね。
「持って帰る?」
「....どうやって?」「ティッシュに包む?」「チョコは、でも....とけるでしょ?」
「..........食べちゃおか....。」
.......食べちゃいました!
そんなの残せばいいじゃんと
思う方がいるかもしれませんが、その意見は、基本的に(わたしには)論外です。
どうぞ召し上がれと出されたものは、
わたしはちゃんと頂くべきだと思っていますし、そもそもはそのための(安易に残さないための)リクエストでもあるわけです。
店やシェフの世間的な評価と自分との相性は別のもの。合わなければ次から利用しなければいいだけのことですが、それは食事目的で行くレストラン単体での選択が出来る場合の話。旅先の宿泊施設で、特に滞在、再訪を前提にしたリゾート地ではレストランの利用は避けられません。それなら、ソースの味が好みよりも濃いとか薄いとか、量が多いとか少ないとか、嫌いなものだからとか苦手な料理だとかの、提供されたものを批判するよりも、必要な要望を伝えることで取り除けるリスクは取り除いた方がいいではありませんか。
ですからね、リクエストに応じて出てきた料理を、残すという選択は、よほどのことじゃなきゃないのです。
コーヒーのお伴の小菓子は、当然よほどのことには当てはまりませんから....食べました。 メインの肉は、二口分小さくても良かったね...と思いながら....。
“国産和牛のフィレ肉のソテー ロースティーポテトと初夏の彩り野菜 ピカントソース”には別途“北欧農園新種彩り野菜”のサラダが付いてきました。名前を全く忘れてしましましたが、ものすごく水分を溜め込んだ、葉っぱなのにジューシで繊維質を感じない変わりモノ野菜が面白くて,インパクトのあるサラダでした。
和牛は期待の範囲、オーソドックスに思えた人参のグラッセは想像を越えた美味でした。
野菜がこんなにおいしかったのは、わたしが年を取ったからではなくて.....ホントにおいしい野菜だからなのでしょうね。
デザートは豊浦産苺と苺ムース、ヨーグルトのアイスと巨峰のゼリーの組み合わせでした。
スイーツと冷菓とフルーツ...食べ答えがありましたが、それぞれに別腹という感じで、満腹中枢は一時的に休眠....一口大のチョコをどうすべきかの話は、この後のことでした。
コーヒーは、フレンチのコ−スの締めくくりらしくデミタスカップで......。充分だったので、おかわりの有無は未確認です。食後にコーヒをたっぷり飲みたい場合は、別途オーダーが必要かもしれませんね。
09/07/09 
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