画面のレイアウトが乱れる方へ


                 

 2009年、久しぶりに訪れたルスツが期待以上だった為に、ついにスキーシーズンも誘惑にかられました。
 場所的に、雪質はおそらくトマムほど素晴らしくは...ない。
 晴天率も、トマムほど高くはない。道内最大級を誇るルスツのゲレンデを、20数年馴染んできたトマム以上に楽しめるとは、思えない。
それでもルスツを選択したのは、かつてトマムを選んできたのと同じ理由からです。
 スキーをするのではなくスキーも出来る滞在を....ゲレンデ以外で、どれだけ快適に過ごせるかを思った時、迷いはふっきれました。

 



     

施設とサービス

 
 上のイメージは2009年9月20日に、ルスツリゾート、タワーの客室から、国道230号線対岸のホテル群を撮影したものです。

 左端、半分切れた三角屋根がハイランドロッジ(おそらく本館)、中央部分が87年完成のサウスウィング、屋上が黄色く見える建物(メインエントランス)から奥がノースウィング(89年完成)で、さらにその奥、立ち木の上に窓が見える建物が、増設された新館(多分)です。93年に開業のタワーに対し、これらの複数の宿泊施設はホテル&コンベンションという総称がつけられているようで、各建物は1階、あるいは他の階でつながっていて、端から端まで館内での移動が可能になっています。
 スキーをするならタワーよりもホテルの方が便利....タワーペアリフトが新設された現在もそうかどうかは微妙ですが、スキーシーズンでなければホテルを利用する機会もないだろうということで、初めての冬のルスツに、わたしたちはルスツリゾート標準のゲストルームを選択しました。広さはタワーの約半分でバスルームに洗い場は無し、でも、室内はフラットで階段の上り下りが無いのがメリットというのが事前の了解事項でした。

 宿泊棟はノースウィング新館。(奥です!)
 スキー場のセンターから、また館内のプールや大浴場、ショップが連なるダニエルストリート等からも離れたロケーションで、(タワー客室内の)階段の代わりに、平地で歩数を稼ぐことになりました。
 


客室(ノースウィング)

 空港からのバスが到着するメインエントランスは、ノースウィングの地下1階に位置しています。
 吹き抜けになっている正面奥では2階建てのメリーゴーランドが存在感を放っていますが、チケット売り場もあるこの部分は遊園地の入り口でもあって、日帰り客の利用も多いエリアです。

 宿泊客は入ってすぐ左手のインフォメーションで自分が利用する宿泊棟と、チェックイン手続を行うフロントデスクの(場所の)案内を受けて後、自力でフロントまで移動することになります。バスの到着に合わせて数人のスタッフがでてきて、バスのお腹から出てきたゲストの荷物を館内に運び入れるサポートをしていましたが....フロントデスクまでのエスコートはありません。メインエントランスは、単なる通過点ですね。ホテルに着いたと思ってしまうと、違和感があります。
 ちなみに、インフォーメションで、前のゲストには「先に送った荷物がある場合は宅配コーナーで受け取ってから...」などと説明があったのに、わたしが受けたのはエスカレーターを2度乗り継いで2階、ノースウィングのフロントへという案内だけだったので、その時になって宅配コーナーはサウスウィング側にはないのかもしれないと気がつきました。となると、これは....メインエントランスについてからが結構たいへんではありませんか。宅配コーナー前にはホテルのベルパーソンが使っているのと同種のカートが多数用意されていて、ゲストの負担軽減に一役買っていましたが、すぐ側のノースウィング利用だと、カートに乗せたものだろうと、機内持ち込みサイズのキャリーだろうと、荷物と名のつくものをたずさえていれば、即座にスタッフから「お運びしましょう。」と声がかかるのに、サウスウィングまでの道のりは....自力...でしょうねぇ。
 見るからにサポートが必要なゲストの横を、機転のきくスタッフが通りかかったりしたら、別の光景が見られることもあるかもしれませんが、日々老いたりとはいえ、わたしたちは“見るからに”ではありませんし(多分)、サウスウィングまで荷物を引きずる自分たちをを想像しては、つくづくノースウィングでよかったと喜びました。

 でも...フロントから客室までは、サウスウィングまでとどっちが長いだろうと思うくらいに、距離があって、喜んでいい状況かどうかは、判らなくなりました。

 ロビーフロアのエレベーターを6階で下りて、連絡通路の先の別のエレベーターに乗り換えて、たどり着いたのが8階です。
 ツインルームの客室のベッドは、セミダブルサイズ...でしょうか。寝具は羽毛。タワーのベッドルーム同様、コンフォーターカバーがベッドカバーを兼ねていました。

 室内に入って、最初に目についたのは床までの窓と手すりのシルエットでした。広くはないスペースですが、ちゃんと、外に出られるではありませんか。隣との仕切りはコンクリートの壁で、プライバシーも確保されています。ベランダの雪の上には、(おそらく)前夜のゲストの足跡が残っていました。窓は北海道仕様の2重窓で、翌朝、外側の窓が凍り付いて開かない時でも、室内の温かさには影響はありません。が...うっかり内側の窓を閉め忘れてると「急に暖房の効きがわるくなった?」と感じるくらいには気温が違ってきます。気をつけましょうね。
 ついでに言えば、スキーウェアに着替える時は、少し窓をあけて冷えた空気を取り込むことができるのもうれしかったです。

 
 ありがたいことに客室が山側に面していたから言えることでしょうけど、部屋にいながら、自然を眺めるだけではなく肌で感じることができるのは、タワーでは味わえない利点だと思いました。

 そして、窓の次に驚いたのが、バスルームにトイレがない...いえ、トイレが独立してあったことです

 昔、タワーの洗い場付きバスルームに感激した勢いで、ノース&サウスの客室は?と尋ねた折り、“普通のお風呂場”と説明された記憶がわたしにはありますし、そうでなくてもトイレが別とは思わないでしょう? 驚きました。
これって、結構なアピールポイントなのに...と考えるのは、わたしだけでしょうか? 
 そもそも、この広さの部屋で、水回りを分けるというのは、一般的ではないわけで、こだわりなり、英断なりが働いた結果の贅沢なレイアウトだと思うんですけど、客室の広さや備品の案内はあっても、独立したトイレについては言及されていないのが不思議です。
 
 開業が早いサウスウィングやノースウィングの他の部屋も、同様のレイアウトなのかどうかが気になります。

 バスルーム自体は、分断の影響を受けてか、ちょっとコンパクトですが、洗面台回りにはストレスになるほどの窮屈さはありません。3種のタオルが用意され、ドライヤーは壁に据え付けタイプでした。
 バスタブは....結局、わたしたちは大浴場を利用したため、スペースの実感をはじめ、水圧やお温度調節等、使い勝手は判らずじまいでした。

 縦に長い客室に合わせてテーブルも細長く(奥行きはそれなり)、広く使えます。
 コンセント横にRANジャックがあったかもしれません。今回はPCを持参しなかったので、確認までには至りませんでした。テレビはこちらの客室でも地デジ対応が完了。セーフティボックスはナイトテーブルの下段に設置されていました。基本はタワーの客室とかわりませんが、ボックスの底が床面と同じでないのがベターです。
 ただねぇ、やっぱり引き出しが少ないんです、わたしにとっては....。
 しかも、うれしい掃き出し窓のために、窓際に物を置ける段差もないということで、片付けはしにくかったです。荷物置き場(赤いキャリーが乗ってる場所)をもう少し高くして、引き出しを2段にすればいいのに...とか、テーブルの横部分は物入れ仕様にできそうなのになど、2、3のダメだしをしながらのトランク解体となりました。

 一方、クローゼットは幅も奥行きもゆったりと作られていて、大変使い勝手が良かったです。
 女性ドレス用、スカート、スラックス対応の物など、ハンガーも用途別に、本数も充分に揃っていました。クローゼット内の棚も半分は使えますし(半分は予備の寝具が置かれていました)、引き出しに拘らなければいいのでしょうね。
 
 調度品はもちろん、床や壁等にも20年の経過を感じさせる劣化は見受けられず、“時代”を連想させるとすれば、多少室内(の照明)が暗いのと、室内温度設定装置が見当たらなかったことくらいでしょうか。(エアコンの調整はできます。)ま、暑すぎる時は少し窓を開ければすむことで.......フロント、その他諸々の施設からは距離がある位置でしたが、客室内では、おおむね、快適に過ごすことができました。

 ルームキーはタワーと同じくカード式で、人数分用意されていました。
 大浴場に向う途中に見たサウスウィングの客室のドアには鍵穴がありましたから、カードキーはノースウィング以降からかもしれません。

 フロントデスクでの手続後は、すぐに(チェックインの時間前でしたが)準備ができているからと部屋に案内されました。
 翌日以降も、お昼前後の時間帯煮もかかわらず、到着したゲストを客室に案内している様子を何度もみかけましたから、客室を早く整えて、ゲストを(チェックイン時間まで)待たせない姿勢が、今のルスツでは定着してきたようです。

 その為でしょうか、客室清掃も早かった!(清掃の件は後述。)


                                            10/02/04 

客室清掃

 2009年にタワーを利用した時に、ベッドサイドに客室清掃スタッフのネームカードが置かれているのを発見して、ルスツでは今はこういうこともしてるんだ..と感じいったものですが、それはノースウィング利用の今回も同様でした。
 名刺大の、ごくシンプルな印刷物にすぎませんが、(青色で目隠しした部分に)
入れられた名前は手書きで、ひとときを過ごす空間を快適にととのえてくれる『人』の存在を実感させられます。1日目、2日目と同じ名前が続けば、なおのことですね。
 
メーッセージを受け取った証として、わたしは清掃スタッフが残したカードを持ち帰るようにしていますが、ヨーロッパの有名ホテルや....ディズニーブランドホテルで見るような、持ち帰りたくなくほど凝った紙片ではないだけに、カード自体への興味にかわって、『人』を感じ取り易いのかもしれません。

 初日にわたしたちが動かしたソファの位置は、やはり定位置に戻されることなくそのままでした。
 “ココの方が使いやすいんですね? じゃ...このままにしておきますね。” 
 実際には言葉をかわすことの無い相手と、そんな会話をした気分になるのも、ネームカードの効果かもしれません。フロントデスクやレストランサービス同様に、ここではここのエキスパートがいる...と思わせられるアイテムです。

 わたしは昨今のルスツスタッフの組織図情報を耳にしてはいませんから、実際のところはわかりません。
 この日、わたしたちの部屋を整えてくれていたのは、清掃経験豊かなベテランさんではなく、期間雇用のヘルパーさんかもしれません。もしかしたら休日のボード目的の若いバイトさんかも...肝心なのは、実際の立場がどうであれ、ゲストにプロの仕事(存在)を感じさせたかどうか...で、その意味で、ルスツの客室清掃は充分な評価に値すると、わたしは思います。

 昔と違って、チェックイン時間の前であっても準備ができていれば客室に案内されるのは既出の話ですが、ルームメイドは午前中の、結構早い時間から活動を開始しているようです。
 当日チェックアウトの客室の前に、連泊の部屋から清掃に取りかかっているのかもしれませんね。(そして、その時間から動けるということは、別の仕事のかけもちシステムではないんだろうなと....。)

 昨年、8時〜9時スタートのゴルフを終えて客室に戻った時にも常に清掃は完了していて、昼食後にちょっと昼寝を...などという我家には理想的でしたが、ただ、今回はうっかりしていて、わたしたちは大きな失敗をしでかしました。
 2日目、わたしたちは朝食をタワー内の風花で撮る予定を立てていました。
 ところが、起床が予定よりも1時間程遅れまして....当然慌てました。自分たちの部屋からモノレールのサウスステーションまで、モノレールに乗ってタワーの風花へ..となると、そこそこの移動時間も必要です。とるものもとりあえずの気分で、部屋を出たと思ってください。
 食後、2、3のショップを覗きつつ、戻ってきたのは10時30分過ぎだったでしょうか。棟の奥に清掃用のワゴンが2台あるのを見て、さっさとウェアに着替えて(自分たちも部屋を)あけなくては...と思いつつ、ドアを開けたら...あろうことか清掃は終わっていたのです。
 とるものもとりあえずの部屋の状態がどんなだったかは、列挙も恥なので控えますが、際立っていたのはふたつのベッドの上に置かれた代物でした。
 わたしの方は、昨晩脱いでそのまま放置したスウェット地のワンピースが、片袖の半分とスカートの一部は裏返しになり...起きた拍子に布団にもまれて丸まりました状態で、Tomokoさんの方は持参のパジャマ(一応畳んではいた)となぜか一番上にキャミゾールが、キチッと整えられたベッドの上に、わたしたちが部屋を出た“そのときのまま”を主張するように置かれていました。
 衣類を動かさずにベッドメイキングが出来るとは思えません。となると、グチャグチャの衣類をグチャグチャなまま横によけて、グチャグチャな状態を保持して元に位置に戻したと....いやあ、ソファーはともかく、衣類のグチャグチャまでキープしてくれなうても良かったんですけど...というのは、勝手な言い分ですね。
 客室の備わっていた物はスッキリと綺麗に、わたしたちが持ち込んだ物は....持ち込んだ状態に、アンバランスな空間で、なぜか笑いが止まらなくなりました。笑ってる場合じゃないんですけれどね。

 意図したものか否かに関わらずゲストのセッティッングを変えない、ルスツの客室清掃では見事にその姿勢が貫かれています。

 気をつけましょうね。朝ご飯に行くだけ...でも、油断はなりません。

                                          
                                           10/02/11 

スターダスト・アベニュー

 ホテルノース&サウスウィングに添うようにして連なる光のオブジェ。全長310メートルという規模のイルミネーションは、ゲレンデ側の客室からの景観に彩りを添えて、なかなか...というよりも、正直なところ、思いのほか綺麗なので、意外でした。

 オブジェの存在を意識したのは昨年6月、ラウンジ・ドルテェの窓越しに見たのが最初です。白いパイプで仕立てられたあずまやもどきの....でもちゃんと屋根があるわけでもないし...得体の知れない物体に見えました。
 ゆったりと落ち着いたラウンジからの景観にはそぐわない、どことなくお手軽な印象が拭えない“モノ”に気がついたわたしたち(6月の同行者はTomokoさん)は、「この程度のモノならかえって無い方がいいのにね。」と、ルスツのセンスを惜しんだものでした。

 でも、景観や人造物の設えを(トマムと比較して)あれこれ言っても意味のないこと、自分の好みのツボからははずれていることは承知のうえで選択したルスツです。惜しむに留めて、子供は喜ぶのかもね...などと、物わかりのいい大人の判断を下した対象が、実はゲストの目を惹き付けるイルミネーションの骨格だったのでした。
 夕食時にベルビューからも先端に星を配したツリーのイルミネーションが見えてはいたのですが、目線がちがいましたしね、それと昼間見た物体とは結び付かなかった....。

 9月、食後の運動とばかりに館内をウロウロしていて、外で何か光っている様子なので出てみたところが、なんと、結構な規模のイルミネーションだったというわけです。主人には、(6月に)気がつかなかったのか...とあきれられましたが、ホテル側に宿泊しているなら自然と目に入るかもしれませんけど、タワーに宿泊してサウスウィング4階のレストランに直行しただけじゃ気がつきませんって。無い方がいいのに...と感じたオブジェが、ドルチェから見えた一つだけではなく、た〜くさんあったことにも、ライトアップされてようやく判りました。

 イルミネーションの骨組みなら、昼間に見て興ざめするのもやむなしと言いましょうか。センスの問題ではありませんでしたね。
 勘違いのお詫びにフォローすれば、明らかに骨組みと判るほど簡単な造りではなかったわけでして....。

 主観かもしれませんが、国道が視界に入らない山側でも、日帰りの利用者も少なくないルスツには日常....(日常の休日といった方がいいでしょうか)が混在している雰囲気があります。
 9月の連休に開催されたバーベキュー大会などを眺めても、リゾートというよりも大規模なレジャーランドに近い感じがしたといえば、分かりやすいかもしれません。昼間は、楽しく遊ぶものは揃ってはいても印象づけられる景観は不足しているとわたしは感じています。
 でもね、日が暮れれば、そこは滞在客専用。
 日常も、少し遠のいた感じが立ちこめます。遊ぶ場所からくつろいで過ごす場所へと時が移った頃に現れるイルミネーション群は、やっぱり、価値ある1シーンにちがいありません。

 冬期、雪景色のなかでは、その魅力も急上昇。
 味気ないアスファルトよりも、雪原にあるほうが、非日常感も増すというものです。迫力ある針葉樹に囲まれての310メートル、つまりはここにしかない景観に惹かれて、ベルビューに向う途中、わたしは屋外に出ての撮影に挑戦しました。
 半袖にパンプス、コートなしといういでたちでは、数分でギブアップでしたが、次回は端から端まで歩いてみたい誘惑にかられました。

 リゾートに美しさは不可欠! 
 スターダスト・アベニューは『印象づけられる』景観です。

                    10/02/26              

 

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