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  2009年、久しぶりに訪れたルスツが期待以上だった為に、ついにスキーシーズンも誘惑にかられました。
 場所的に、雪質はおそらくトマムほど素晴らしくは...ない。
 晴天率も、トマムほど高くはない。道内最大級を誇るルスツのゲレンデを、20数年馴染んできたトマム以上に楽しめるとは、思えない。
それでもルスツを選択したのは、かつてトマムを選んできたのと同じ理由からです。
 スキーをするのではなくスキーも出来る滞在を....ゲレンデ以外で、どれだけ快適に過ごせるかを思った時、迷いはふっきれました。
 



     

ホスピタリティー&etc 
 
ウィンターシーズン用にリニューアルされたルスツの公式HPでは、レストラン、食事情報がいっそう充実したように思えます。昨シーズンの状況をわたしは知りませんが「行ってみようか...?」という気にさせられたグリーンシーズン以上に、おいしそうなイメージが多用されています。各料理長を始め、『ルスツの食』を担うスタッフの顔や名前を目にする機会も増えました。こうした傾向は、ルスツが『人』を重視する価値感に在る好例ではないかと、わたしは今後への期待を大きくしていますが、食事がおいしいとか、スタッフの感じがいいとかに留まらず、かつての(一昔以上前ですが)ルスツでは未体験だった事例を根拠に、ルスツに期待するのは間違いではないと感じています。

 一方、正真正銘初めての冬のルスツでは、判らないから行動しにくいリスクもチラホラ...。慣れてい無いところでは意外に、情報が必要なことを実感しました。


インフォメーションとアピール

 ルスツではチェックイン時に、エリアガイドと館内施設が図案化された
『Information ご案内』と宿泊期間のレストラン営業案内が渡されます。
 
 レストランの案内は3日、4日の短い単位ですが....昨年の2回も、今回も、滞在初日が案内の第一日目となっていました。ついでに言えば、朝食は1日ずれて、チェックインの翌日から...つまりは利用予定初日が第一日目となっています。偶然なのか、それともゲストの利用日に合わせた必然なのか...後者であったらいいなと思うのは、ルスツに対するわたしの期待度がアップしたからなのでしょうね。

 月曜から1週間単位の営業案内を週末にチェックインする際に渡されたとしても、過ぎた日の無意味な情報がついてくるだけの話ですが、でも、たとえば滞在が土曜日からの3泊4日だったりすると、案内は2枚になります。不要な部分が多くなるだけではなく、2枚目をもらい損ねて3日目の情報が無いというケースも...まあ、わたしの場合、最近の数年間では経験があるので(夕食利用レストランはあらかじめ決まっている状態では、案内の不備で不自由を被ることはありませんでしたが...。)自分に関係がある期間が1枚にまとめられているというのは、そうでは無い場合に比べてありがたいし、それが、意識されたものだったら、ルスツの配慮を評価すべきだと感じます。
(偶然でした...なら、これから必然に切り替えて欲しい。)
 
 ただ、このレストラン営業案内に記載があるのは、夕食と朝食に関してだけなんですよね。
 ティータイムや昼食営業については、案内がないのです。グリーンシーズンのトマムで昼食時営業している店がないという事実に直面した衝撃から1年もたっていなかった2009年6月には「ここも...か。」と、達観しそうになりましたが、実際には営業している店もあるのです。ファストフード各店やラウンジは常時営業なので、時期別営業案内は不要と理解するとしても、オクトーバフェストやアトリウムのように(朝食や夕食にも対応している店)昼食営業時間が限られるケースでは、営業の有無だけではなく時間帯の情報が欲しいではありませんか。

 スキーシーズンになると、ゲレンデマップの反対面に朝食、夕食営業対象外でレストラン案内には記載されていない店とともに、オクトーバフェストやアトリウムも名前がならんでいますが、ここでも営業時間は確認できません。
 右イメージ、中央部分。ブルーやオレンジに色分けされて、15のレストラン(内3つがゲテンデ)と、各店のお勧めメニューが紹介されています。ついでに、営業時間が知りたいんですけどぉ〜、というリクエストはこれまでなかったのでしょうか?
 それに、これはスキーシーズンを通しての案内なわけでして、休業日もあるでしょうしね。
 食事に関しては、かなり詳しく、魅力的な情報が展開されている公式HP(昼食やバー営業時間も明記されてはいます。)にしても、基本はシーズン情報なわけで、やっぱり、朝食・夕食とともに、その他のレストラン営業案内も配布されるのがベターかと感じます。

 でも、レストランの情報が多少不足しても、日帰り客にも対応しているルスツでは、お茶やお昼ご飯はなんとでもなるものでして、それ以上にわたしが必要と思ったのは、ゲレンデのコース情報でした。

 冬のルスツは初めて。
 北海道ナンバー1の数を誇るコースは、距離も...ある。トマムのコースは短くてつまらないからルスツがいいと言っていた知人もいますし、知り合いのこどもは、あまりの長さに泣きながら滑って下りたというエピソード付きのコースです。雪質は、肉眼で結晶がみえるトマム程....ではないし、天気の加減で視界良好とは言えない状況で、わたしたちはそれなりに慎重になっていました。
 視界360度の絶景にはこだわらず、力量にあったところでゆっくりと、まずは安全圏で足慣らしです。
 丁度、もよりのクワッドの両サイドは初級コースだったので、まずは一滑り。その先のクワッドでは初級、上級、中級コースが混在するエリアになるので、とりあえずは中級を選択して..やおら、気がつきました。
 コースのレベルは判るのですが、他の情報がないではありませんか。
 
 最大斜度、平均斜度、距離のデータに加えて、コブが連続するとか、起伏に富んでいるとか、コース幅が広いとか狭いとかの各コースの特色...トマムではあたりまえにあった(以前と、08ウィンターリゾートガイドには記載を確認。08年グリーンシーズンから09年ウィンターシーズンのガイドには、レベル以外のコースガイドは未記載。現状未確認です。)コースガイドが、ルスツでは見当たらないのです。
 無いのが、普通なのでしょうか?
 でも....ご近所の市民スキー場ならともかく、北海道ナンバー1のルスツです。リフトに乗って、連れて行かれる先の様子が判らないと...。
 レベルが判ればいいんじゃないと思われるかもしれませんが、い〜え、とんでもない。自慢する話でもありませんが、1年ぶりのスキーで、昨年のレベルが維持できてるかといえば、危ういのがわたしの現実。第一、トマムで(すこし)うまくなった気分に浸れても、気分のみの可能性が大きいのも現実なのです。
 バンビコースがヘッチャラだったからイゾラグランコースも楽勝という気分にはとてもとても。逆に、滑り易そうと見えたところが上級コースだったので自重したりと.....。
 ところが、後になって最上級コースにのみ最大斜度の記載があることに気がついたんですが(関係ないと思ってチェックもしてませんでした。)斜度だけでいえば、、あら? 案外....という数値。となれば、基本、未圧雪コース以外は全て安全圏などという大胆な結論がでてしまうのですが、いやぁ、そんなに甘くはないはず....というわけで、情報不足が影響して、どうにも必要以上に警戒心が働いてしまった気がします。

 そもそもは『山』が大きなアピールポイントだったルスツですからゲストはウィンタースポーツの達人が多くて、コースの斜度だの幅だのはたいした問題ではないのかもしれませんが....『山』ではなく『滞在環境』に惹かれて紛れ込むゲストのために、優しく、わかりやすいコースガイドがあれば、好感度2段階アップです。

                                       10/02/18 

 

 スタッフ

 2009年グリーンシーズン、10数年振りのルスツ再訪を検討していた時、わたしはスタッフの一人にルスツのレストラン(食)情報を求めました。ルミエールでお世話になっていた、旧トマムのスタッフです。こちらの好みやこだわりを知ってくれているスタッフのアドバイスが、ルスツ再訪の決め手となったといっても過言ではありませんし、滞在中は、懐かしい顔との再会はもちろん、言葉をかわしたりサービスを受けたりの機会は無かったもののトマム時代に我家を覚えてくれていたスタッフや、そうしたスタッフから情報を得てでもいたのか、わたしたちがトマムユーザーだと理解して話しかけてくれるスタッフの存在が、『トマムではない場所』への違和感を軽減して、我家の、ルスツへの好感度を引き上げるのに少なからず影響したと思います。
 
 でも、10年のスキーシーズンの宿泊はノースウィング。
 (耳にしたところによると、旧トマムのスタッフはタワーの方に多いとか....)今回の滞在中にトマム繋がりであらたに声をかけられることはありませんでした。
 加えて、わたし自身、ノース&サウスウィングのエントランスを通るのも、ノースウィングのフロントで手続きをするのも初めて、正真正銘の初利用でした。ですから、ここでの印象は、一般論としてルスツのサービスや、スタッフを評価する際の根拠となり得ると考えます。

 第一印象は、ふつう....でした。
 1歩の踏み出しが早いベルスタッフは、即座に手荷物を受け取ってフロントデスクへ案内してくれましたし、やはり、(昔のように)公表されているチェックインの時間まで待たされることもありませんでした。その場でリクエストしたレイトチェックアウトの処理もスムーズでした。ただ、ノース、サウスに共通の宅配コーナーとフロントデスクが離れていることもあって、先に発送した荷物については(チェックイン時に)スタッフのサポートはありません。自分で引き取って、( カートは近くにあります。)自分で運ぶわけでして、チェックイン手続後、案内スタッフが一緒に宅配コーナーに立ち寄って、トランクを受け取って...というタワーとは異なりました。これは、サービス云々よりも施設のレイアウトの差でしょうね。
 ノースウィングでも、受け取ったトランクをカートに乗せて、ロビーに一歩踏み入れるか、あるいは踏み入れようとすれば、ベルスタッフがすかさず(客室まで)運ぶことを申し出てくれるので、たいした問題でもありませんが、初利用だからこその(こちらの)手際の悪さの反省点とでもいいましょうか...。次回に利用する機会があれば到着後はまずフロントを通り過ぎて、先に荷物を取りだしてからチェックインに向おうと思います。

 ベルにかぎらず、スタッフは良くゲストの動きを観ていると感じました。
 普通だった印象がスタッフと関わる度に右肩上がりになりました。
 わたしは『迷子オーラー』が判り易いのかもしれませんが、尋ねるより先に声をかけられていた気がします。感心したのは(この単語がふさわしいかどうかは微妙ですけど...。)十分な答えを持っていなくても、ゲストのサポートに対しては積極的だということです。
 例えば、荒天の朝、スキーは見合わせてチュービングをしたいと計画したわたしたちは、ノースウィング近くで長靴が借りられる場所があるかどうか、借りられない場合にスキー靴で遊べるのか、チュービング受付まで徒歩での到達が可能なのか...そもそもその朝、チュービングが営業しているかどうかなど『確認したいこと』があってロビーに下りたのですが、察して声をかけてくれた若いスタッフは、実は、即答できるだけの情報は持っていませんでした。別のスタッフに確認にいったり、自前の手帳をめくったり....それでも最後まで、逃げずにひとつひとつ回答を探してくれました。実際には別のスタッフに直接聞いた方が早いんじゃないかと思える状況だったことはいなめませんでしたし、ついでに残念ながら“中止の報告は入っていない”チュービングは、実際には朝から中止だったようで無駄足になりましたが......「だから聞いたのに〜。」「やってるといったのに...。」とわめきつつも、わたしたちに不快感が無かったのは、スタッフの積極性に対する好感度の方が大きかったからだと思います。
 昨日よりも今日、繰り返すことで仕事には慣れることができるでしょうけど、ゲストに慣れるかどうかは別の話。アプローチが積極的なスタッフはその将来が楽しみで、そのままルスツのサービスへの期待に繋がりますよね。(......できれば、まあ、正しい情報が欲しかった...ですけど。)
 
 また、料理の調整の窓口となってくれた料飲事務のスタッフが、歓天(中華レストラン)に、顔を見せてくれたのも、サービスに対する意識の高さの好例かと感じます。電話とメールで必要事項をやり取りしたスタッフとは、トマム繋がりは全くありません。利用予定のレストランだけは判っているものの時間は決まっていない状態で、入店してまもなく、料理が運ばれてくるまでのタイミングでの『ご挨拶』でした。
 恐縮しつつも、電話のむこうの相手を特定できたことで、次回のコンタクトが取り易くなった、言い換えれば、彼女の存在が『ルスツの引力』の一つなったのを実感しました。若いお嬢さんで....自身の判断による行動なら天性の資質に感心するばかりですが、もしかしたら...倣う先輩が居たのかも...と思い当たることもありました。
 というのも、3日目の朝食時オクトーバーフェストの入り口で、2日前のベルビュー(夕食)で迎えてくれたスタッフと顔を合わせたのですが、テーブルに案内されがてら『初対面ではない関係』での簡単な会話は普通として....、ややあって、彼はベルビューでわたしたちのサービスに付いたスタッフを連れて戻ってきたのでした。
 「サービスに付いた者も(こちらに)おりましたので...。」というわけです。
 出入り口と自分のテーブル回りの他は関わりが薄い状態で、たとえ向こうの方に見覚えのある姿を特定することがあっても、双方が同時に気づかなければアイコンタクトのチャンスも無いというビュッフェスタイルの朝ご飯で...のことです。
 わざわざ連れてきたスタッフを残して、彼はすぐに持ち場に戻って行きましたが....切っ掛けを得て話をすることになったスタッフとは、次はもう誰の仲介がなくても『見知った相手』としての会話ができるかもしれません。
 いわゆるサービスのベテランが、後輩に(ゲストと関わる)機会を作り、また、あるべき姿勢を実践している様子は、以前と全く違うルスツの雰囲気を生み出している気がします。
 
 馴染んだスタッフがひとりできれば、自然に見知ったスタッフが増えて行く....(....トマムでもよくスタッフから別のスタッフの紹介を受けたものでしたよね。)スタッフの魅力が増しそうなルスツのこれからが楽しみではありませんか?

                                         10/05/01 

 そして、もうひとつ。
 わたしたちが滞在した日には、修学旅行らしき学生の団体がかなり宿泊していました。1校だったのか数校重なっていたのかは判りませんが、とにかく人数は多かったです。
 ノースウィングのロビーには、日々のスケジュール連絡用のボードが設置されて、1校の規模も大きいことを感じさせられました。
 初日の夕刻、大浴場を見に行こうとしたわたしたちは、逆方向に流れてくる学生たちの“大群”に遭遇しました。もう少し判断が早ければ、別のルートに切り替えていたところですが....なにぶんこちらも初めての場所、館内図を参考に最短ルート(だと思った)に進んで、学生の大移動に飲み込まれそうになったとご想像ください。
 通路一杯に広がって押し寄せる“若者の波”におばさん二人が逆走......明らかに不利....いえ、勝負しようという話ではないんですが、ため息の出る状況にはちがいありません。
 ところが、その時近くにいた(あるいは、団体さんの受け入れ担当だったか)スタッフがすかさずエスコートをかってでてくれたのです。
 わたしたちに対しては不便な状況を謝りつつ、学生たちには通路をあけるようにと繰り返し要請しながら、自身はわたしたちよりも半歩先を行く態勢で、のばした右手でその先数歩の通路を確保しつつ、左手は学生たちとの接触を防ぐかのようにわたしたちの側に位置づけて、クレセントホール(通路片側にある多目的大ホール。学生達は、ここから溢れて出て来ていました。)の端から端まで誘導してくれたのでした。ササっと進めないこともあっての長い道のり....、途中で、エスコートされることに幾分の負担感(手間をかけさせて申し訳ないと....。)を意識したくらいでした。
 もちろん、それは好印象に直結する数分間でもありました。
 わたしたちは言うまでもありませんが、その場にいた学生たちの内でも何人かは、スタッフの気配りの様に感心させられたのではないかと考えます。わたしが学生の立場で同様の状況にあったら、帰宅後、家族や友人に必ず話すエピゾードにちがいありません。。
「スタッフが、こう...おばさんの先に立って安全確保するみたいにしてね...。」
 こう...うまく説明できなければ、スタッフがおばさんにとても親切にしてあげていた。これで十分ですね。

 自分の宿泊日が団体客と重なることを喜ぶゲストはおそらくいないと思いますが、それは集団に相対した時に個人はストレスを感じ易いからといっても間違いではないですよね。
 でも、感じるはずのストレスを、スタッフが防止、あるいは軽減してくれるルスツでなら、団体客は、スタッフのホスピタリティー精神に触れるチャンスを増やしてくれる、ラッキーゲストになるのかもしれません。


                                         10/05/13 
 
 
 

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