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2011年1月下旬、冬のルスツに再訪しました。
 
 昨シーズンに初めて体験したルスツのゲレンデは、予想 通りの環境でした。トマムの雪質と青空に匹敵するコンディションに巡りあうのは容易ではないと実感させられた一方、設備の快適さには救われました。
 ルスツ2度目のスキーシーズンは、自然がもたらすものには良くも悪くも折り合いをつけて、人の営みにひかれての再訪でしたが、最上質の雪と青空に迎えられて、内に限らず、外(ゲレンデ)での時間もこの上なく快適に過ごすことが出来ました。


 



     

雪花亭(ノースウィング)



 冬期のルスツでは、冬休みでも祝祭日でもない単なる平日であっても、夕食はどのレストランを利用するかではなく、どこの利用を諦めるかという、悩ましくも贅沢な問題に直面します。“いつも”の風花やベルビューで約束された感動に再会したいのはやまやまですが、冬期限定営業のレストランへの興味もまた、小さくはありません。
 そんな状況で、わたしたちが、昨シーズンに始めて利用した歓天(中華料理)の誘惑をなんとか断ち切り、今季は雪花亭の利用を決めたのには、久しく口にしていなかった牡丹海老の握り寿司への欲求が高まったからです。雪花亭は、郷土料理と寿司の店として紹介されていますが、寿司は、ちゃんと独立した店が併設されているんですね。昨年、暖簾越しに寿司カウンターを覗き見て以来、気になっていた握り寿司は、風花にはなく、雪花亭の専売ということで、それなら...と、冬期の和食は、雪花亭で...となりました。そこまで決まれば、黙ってカウンターの前に座れば良いだけのことなんですが、これがねぇ、寿司が食べられるとなると,食べられない物への興味を自覚するものでして、早い話、雪花亭の郷土料理メニューも気になったわけです。そこで、スタッフから薦められたのがコースの最後のご飯を握り寿司にするという案で、もちろん、わたしたちは飛びつきました。
 なんと面倒な....と思われるかもしれませんが、ご安心あれ。雪花亭の定番メニューにはちゃんと寿司が組み込まれたコースが用意されていたのです。握り寿司がメインのコースと、ご飯のかわりに寿司4種が出るコースです。わたしたちは、後者のコースを基本にアレンジをお願いしました。

 事前のリクエストは牡丹海老の握り寿司(卵つきとまでは指定していません。)だけの予定でしたが、とある切っ掛けで、三角(トマム)の寿司カウンターで食べた炙り和牛の握りの味を思い出して...正しくは、味自体は記憶の彼方...とにかくおいしかったことを思い出しまして...一応、お願いだけはしてみました。
 寿司ネタとしては定番とは言いにくいものですし、おまけにこれはカウンターで炙りたてを頂くべきというこだわりも(三角の板さんから)聞かされててもいましたから、普通なら打診もしません。が...おりしもルスツでは知床牛(黒毛和牛)一頭買いで、各レストランでフェアを開催中ではありませんか。素材はあるので、しゃぶしゃぶ(雪花亭コースにあり)かステーキ(風花コースにあり)の肉の端っこの方でもちょっと拝借して炙ってもらえるものなら、もらいたいと...。
 上のイメージの右側が、炙ってもらえた和牛の握り、山わさび添えです。左側のにぎり寿司プレートとは別の皿でふたつ頂きました。コースの最後に握り寿司7つ...ご飯の量は控えめで、小ぶりと言えるサイズでしたが、明らかに食べ過ぎ....ですね。完食できたのは、ひとえにネタの魅力だったでしょうか。ちなみにプレートの5種は子持ち牡丹海老、イカ、白身と、隣は珍しいタコの頭、海胆でした。タコの頭は....満腹状態では、ハードな噛み応えが少し仇になった気がします。味わう余裕がなくなりました。

 一方、すきとおったイカの美しさは、満腹状態を忘れさせられるほどの魅力でした。
 この日、イカは造りでもでたのですが(左イメージ。器の中はイカ専用の山ワサビ醤油)イカ単品盛りでもインパクトは充分だった気がします。...と言ったら、刺身、寿司ネタの逸品との定評もある幻の高級魚(らしい)、松川鰈の立場が危うくなりますが、実は,食事をしていた時点で、わたしたちは松川鰈のありがたみを知りませんで、イカの透明感の方にね、注意を奪われたのでした。そういえば、イカの旬は...?という話はこの際横に置いて、スキーシーズンにルスツで和食を頂くのは初めてで、この日の造りの内容もゴルフシーズンとは全く違って、初物揃いでした。白身の一つは松川鰈、もうひとつも、なんとか鰈でした。
 松川鰈は、造りに先立って、前菜の和え物で名前を刷り込まれたので、忘れようもないんですが、なんとか鰈は.....なんとかは二文字だったような気がします。
 
 右上のイメージはくだんの松川鰈の和え物と、となりが、海胆とイクラを背負い込んだ鮑の贅沢蒸し。背負った物が多すぎて、カメラの角度を調整しなくては鮑がうつらなかったという贅沢な一品は、見ていただくだけで充分ですね。イカにも見える和え物は、クラゲを連想させられる食感で、マツカワガレイがすぐには魚の鰈と結びつきにくかったです。これもまた、大変贅沢なスターターでした。

 右下のイメージは、南瓜饅頭たっぷり蟹あんかけと、海老(...蟹だったかも...。)しんじょを抱えた椎茸の揚げもの。どちらも、雪花亭のメニューには無かったものですが、南瓜饅頭は、風花のコースに組み込まれていた料理なので、今季口にしたゲストも多いかと思います。風花にしようか雪花亭にしようかとメニューを見比べている時に、食べたい!と思った一品でした。主人がかぼちゃ嫌いなので、使わないようにお願いしている関係で、ルスツでまだかぼちゃの料理を食べていなかったんですよね。ところが、ルスツには契約農家の畑で完熟させたおいしいかぼちゃが入ってくると言う料理長のお話を思い出して、「頂きたいです!」と.....。意思表示は無駄ではなかったようで、ありがたくもわたしも口にする機会を得ました。
 今回の素材が話に聞いたかぼちゃかどうかは未確認ですが、たっぷりの蟹餡にも負けない強い甘みは、さすが...のルスツ野菜。餡が無くても成り立ちそうな気もしました。さすがなのは、椎茸も同様で、.油をくぐってもなお鮑を思わす歯ごたえと強い香りは、しんじょの風味を薬味代わりにしてしまう勢いで、しっかりと主役の座をキープしていて、たまらない一品でした。

 蟹酢の毛蟹は身離れがよく、みそ汁の具のふのりはふのりのみそ汁がけのごとくたっぷりで......その昔に1度だけ利用して、それきりになっていた雪花亭の印象は、2011年1月、時をあけての2度目の利用で好転しました。
 
 ただ、風花と比べて、少し味付けがしっかりしている気はしました。特にスープやみそ汁などの液体ものにその傾向を感じたので、基本のだしにあえて違いをもたしているのかとも思いましたが、それはどうやら深読み過ぎだったようです。
 とはいえ,料理長によれば、風花は日本料理、スキーシーズン限定営業の雪花亭は郷土料理という看板を掲げているとのことでですから、傾向の違いが料理に反映されているかも...という解釈は成り立ちます。 
 直営レストランでは調理スタッフの行き来もありますし、そもそもは料理長が同じなわけですから、カテゴリーが重なる中で、特徴をだすのは結構難しい課題だと考えますが、テーブルサービスのふたつの和食レストランが,場所が違うのに中味が同じでは意味はないわけで、今回何となく違いを感じたのは、わたしは良いことだと思っています。それだけ、選択肢が増えるというわけですものね。その意味でも、風花に寿司がないことや、雪花亭に鉄板焼きのカウンターが無いことは、良しとしましょうか。

 左イメージは雪花亭,閉店前の店内。
 店内は細長く、スペースにも余裕があります。壁側(ソファ席がある方)はテーブル2台か3台毎に仕切りが設けられていて、大人数での利用にも対応し易いレイアウトでした。反対側は、窓で....雪に埋もれた外が見えます。場所的にはさほど外の景色は期待できないので、一面の雪は、それはそれでいいかもしれませんね。
 朝食は、後になって気がつきましたが、ビュッフェではなく和食(定食)が提供されていたようです。

 雪花亭の営業は冬期のみとのことですが、歓天やランプハウスと違って、グリーンシーズンのレストラン案内(チェックイン時にフロントでもらうもの)にも雪花亭は名前を連ねています。滞在期間中の営業はありませんが....という感じで....。夏期でも状況によってはオープンすることも...?と、利用の満足度に比例して今後への期待感も高まります。

                                             11/03/08 


スカーレッツカフェ (ノースウィング)

 パンとケーキ、焼き菓子の本格的な販売を機にリニューアルしてから約半年、スカーレッツカフェは.....言葉を選んで言えば、随分落ち着いてきた感じです。
 
 一番の違いは、スタッフ....でしょうか。
 リニューアル直後、スタッフの高揚感が満ちていた店内の雰囲気がかなりいい感じで、『言葉』の多さが引力の強さに比例する
ことを実感させられたものでしたが、今回は、冬休みを利用した学生バイトさんで、ようやくパンやケーキの取り扱いに慣れてきたところかな?と勝手な想像のもとに納得してしまいそうな『女の子』がふたり....でした。

 商品を購入するのに何の問題もありませんでしたが、(スタッフに勧められて)購入する予定以上の量を買ってしまった半年前のような誘惑もありません。スカーレッツカフェのようにこじんまりとしたショップでは、担当スタッフのパーソナリティーが店そのもの印象に及ぼす影響も小さくはないので、もう少し人慣れした方が....というのが、正直なところです。
 もしかしたら、セールストークの煩わしさはなくていいと言う意見もあるかもしれませんが、わたしたちの場合を例にとれば、、初日よりも二日目(昨日もきたおばさん達にたいして、自然な笑顔もでる)のほうがはるかにいい感じだった事実は無視できません。慣れは、煩わしさへリスクよりも(当面は)親しみ易さに繋がるメリットを多くもたらす気がするではありませんか。

 品揃えに関しては、ついにメロンパンがお目見えしました。
 アトリウムの朝食で出会って大感激して以来、これが自宅に持ち帰られたら...と執着し続けたルスツのメロンパンです。
 が、クロワッサンにも通じることですが、販売されているメロンパンは、朝食で提供されているものとは違う仕様でした。まずはサイズ、別箇所での撮影で比較には適しませんが、イメージの右側が販売されていたメロンパンで、一般的な大きさです。表面にはおなじみの 切り込み線もありました。一方,左側が朝食会場で焼かれている,プチサイズ。直径6センチ前後というところでしょうか。自然な亀裂に任せたビスケット生地はザクッとした食感のソフトクッキーのような焼き上がりで、(何度も言ってますが)パン生地は、弾力と適度なしっとり感が特徴の一押しタイプなのですが、販売されている方は、パン生地に欲しい『潤い』がビスケット生地の方にうつってしまった感じなのでした。おいしいんですけど...こんなメロンパン初めて!というタイプにはあてはまりません。ビスケット生地とパン生地のバランスの違いにとどまらず、生地そのものが違う気がしてなりません。
 適材適所...ある程度の時間の経過も計算の内にしなければならない販売用と、焼きたてを食す朝食用とは条件に合わせて仕様が異なったとしても、やむおえませんね。ちなみに、朝食時に、その場で焼かれているのは2種〜4種で、他は厳密には焼きたてではないんですね。(オーブンで加熱して、焼きたての風味を再現)おもしろしことに、食パン、黒糖パンなど、このグループのパンは、朝食用、販売用ともに、差異を感じることはありませんでしたから....どうやら、文字通りの焼きたてと同じものを、持ち帰りたいというのが、してはいけない執着なのでしょうね。

(下のイメージ左側が、朝食時にアトリウムのテーブルで撮影した焼きたてメロンパンの生地。隣はスカーレッツカフェで購入したのを自宅でカットして撮影したもの。)

 販売待ち望んだメロンパンは、朝食時の感動を越えるにはいたりませんでしたが、スカーレッツカフェには、こんなの初めて!と買いあさりたくなるオリジナルパンがいくつもあります。
 例えば、オープン当初から必ず買っているホワイトチョコレートパン(ネーミングは不確か)はミルク風味生地に練り込まれた(固まりでも散らばっている)ホワイトチョコレートの甘みがクセになりますし、その後に定番化(多分)した白樺樹液を配合したエピも、ベーコンに勝るチーズの主張と、噛み応えのある生地の弾力が見事なオリジナル商品で、ポピュラーなフランスパン生地のエピとは、名前と形状の他は全くの別物。他店ではもちろん、館内レストランででも登場が期待出来ない商品です。
 個人的には、若干のサイズダウンを望みたいところですが....本来ボリュームは歓迎されるポイント。店に並ぶパンがなんとなくオープン当初よりも大きくなった感じを喜べないのは、大、小あれば、小さい方がおいしそうに見えるわたしの美意識に問題があるのでしょうね。
 ルスツに行く時には、手荷物にパンのための余白を!ベストコンディションで持ち帰る為には、箱やケースの持参が有効です。

                                         11/07/07 

 

ホルン (ハイランドロッジ)

 道内在住の機会があった我家では、何度かは日帰りスキーの経験もありますが、スキー場の食事というのはどうも.....寒さをしのぎ、空腹を満たす以上の『感動』は期待しにくいものだと感じてきました。混んでるし、落ち着かないし、味気ないし、ファストフードレベルだし....ま、スキーの最中でなければ、利用はしないよねという....。
  ですから、アルファ・リゾート・トマムの昼食環境には、スキー場とリゾートとの違いを実感したものでした。スキーブーツのまま利用出来る樹海やフォレスタモールも言うにおよばず、一旦スキーブーツを脱いで(館内シューズに履き替えて)各ホテル内のレストランやラウンジでお昼ご飯にしたり、お茶を飲んだりという過ごし方に慣れると、ゲレンデレストランからはますます足が遠のいて行くものですが、後続で開業したコンコは、お昼にそこを利用するために一滑りしてこようかと思わせられる雰囲気のいい胃中腹レストランでしたっけね。
 あいにく、ルスツにコンコのような施設はありませんが(イゾラ山頂からの帰路半ば、ホットチョコレートを飲ませr¥てくれる『小屋』があったらねえぇ。) ウェストに面したホテル館内には、レストランもラウンジも、またおいしさで満足出来るファストフードショップも多く営業している為、初めてのスキーシーズン、わたしたちはルツスキー場の ゲレンデレストランに足を踏み入れること無く終わりました。正確には、場所が判らずじまいだったんですけどね。
 ところが、2011年、Tomokoさんのスキーブーツが朝1本目の滑走中に破壊するというトラブルが発生して、急遽レンタルの必要に迫られ入館したところが、ハイランドロッジの2F。つまりはスキー場の....なんていうんでしょうね。トマムで言うところのリゾートセンターだったのでした。ルスツでは、イゾラやイーストではステーションという単語が使われていますが....ウェストのステーションでもあるこのエリアに名称はありません。ハイランドロッジは、ルスツリゾート以前からある、最も古い宿泊施設ですが、2Fに(ロッジは2Fから)スキー場の基地機能があるんですね。ハイランドロッジ内、ウェストセンターステーションとか、ルスツリゾートステーションとか、呼び名があると判り易いんですけどね。

 で、ここに大食堂がありました。ホルンですね。
 う〜ん、昔、日帰りスキー場で見かけたような、大食堂でした。食券販売機に 細長いテーブルと、重ねて収納出来そうなパイプの椅子。ここしかないなら仕方がないけど...という空間にみえましたが、実は、ここにしかないものを見つけてしまったのです。札幌黄を練りこんだ麺を使ったラーメン!
  生産が少なく入手が困難な幻の玉葱の現物を私は見た記憶がありませんが、とあるところで食べた札幌黄のオニオングラタンスープがものすごくおいしかったことはわすれられません。その札幌黄が麺に練り込まれているラーメンなら、ぜひとも食べてみたいじゃありませんか!
  そのつもりで行った2010年の冬は、初体験のルスツの冬にとまどいもテンションも上がってラーメンを探しに行く余裕がなく、スキーシーズンは食の選択肢が広がることを知った翌年は、ゲレンデレストランの利用ははなからから予定外になってましたっけ。それなのに、探す努力を怠ってさえ出会いはあるんですね。レンタルカウンター目的で入った先で、偶然に見つけた札幌黄入りラーメンを味わうべく、わたしたちは数時間後に、ノースウィングの客室からはるばる大食堂ホルンを目指しました。ノースウィング、ダニエルストリート、サウスウィングを通り過ぎた先にあるホルンには、館内経由、サンダルでの移動ができるので、スキーの最中でなくても利用に支障がありません。ゲレンデレストランという点では、特殊(?)なロケーションは、ありがたかったです。 
 肝心のラーメンの味はといえば、もちろん、おいしかったです。少し黄色みが強い麺は、コシがあって甘みも...と言えば、逆に真実みが薄れるかもしれませんね。2年も前の話し、札幌黄効果で、脳に“感動”が刷り込まれちゃっていた可能性も大きく、細かく、正確な説明は断念した方が無難です。ただ、刷り込まれた感動は裏切られなかった...。ぜひとも食べてみたかったものを実際に食べてみて、なるほどね〜などと、醒めることもなく、ちゃんとおいしいと思えたというだけで充分ですよね。 

 積極的には利用したくはない雰囲気の食堂に、メニュー目当てに足を運んで満足を得られたのは、私には印象的な体験でした。
 グリーンシーズンに提供が無いのが残念です。

 2013年のゲレンデレストランメニューは、卵自慢のオムライスやルスツ高原ポークを使った丼ものがピックアップされていて、ラーメンのアピールが見当たりませんが...札幌黄練り込み?、幻のラーメンになっていませんように!

                     
                                          13/02/01 

 

 

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