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 2012年、グリーンシーズン、タワーの雰囲気に惹かれつつも、客室の快適さを優先して,宿泊はノースウィング、ジュニアスイートを選びました。個人客はタワーに集約された昨シーズンの同時期とは異なり、今季はジュニアスイート宿泊のゴルフプランも登場し、ぐっと利用しやすくなりました。
 夏休み前ということで、混雑に伴うストレスもなく、団体客(主に修学旅行)が館内を適度ににぎわしてもくれる為に静かすぎるということもなく、リラックス&リフレッシュ滞在を楽しめました。
 大浴場には新たに露天風呂が造られ、オクトーバフェストの店内もリニューアルされるなど、施設面の『改善』も、今季は刺激的でした。
           
 



     

レストランと食事

 ルスツ4度目のグリーンシーズン。

 夏休み前、ピーク時を避けてわたしたちが滞在した時期は、やはり営業しているレストランもかぎられていました。中華料理や寿司カウンターなども選択肢に入らないのは、確かに残念ですが、風花とベルビューが開いていれば不足なしと言うのも本音で、食事に関しては利用の前から大満足の予想がついているような状態になりました。いつものおいしさにその時々のエッセンスが加味されて、ルスツの食環境はゆたかです。
 アンチエイジングメニューのラインナップに続いて、今季は料理長お勧めの旬メニューも展開。月(時期)によっては※※づくしと言うようなインパクトのあるコースも提供されていて、楽しみが、また増えました。


風花(タワー) 夕食  

 6月の風花、料理長おすすめの月替わりメニューはアスパラ尽くしのコースでした。 旬の食材はアスパラです!
 月代わりコースは、ルスツHPのレストラン案内ではなく、トップページからリンクされていて、わたしたちが利用した時は2ヶ月毎、現在は5月から9月までの各月限定コースの、具体的な料理内容がイメージともに紹介されています。 風花では6月は夕食件券対応のコースが、翌7月はいくらかの差額が必要と思われるコース(夕食券で利用出来ると書かれていない)がアップされていました。

 意を決して2009年グリーンシーズンに訪れた時は、アスパラの旬が終わる直前で、風花ではギリギリ炭火焼を頂いたことを思い出し、今回は旬メニューのラインナップにある通りにアスパラの炭火焼の他に天婦羅も食べようと....ただ、まあ、他にちょっとタラバ蟹も欲しいねということで、大好きなアスパラを多用した基本形にタラバ蟹をそえたコースを、料理長お任せでお願いしました。
 そのコースの最初にでてきたのが上のイメージ、旬のアスパラと地場野菜の彩りさらだ(サラダはひらかな表記)です。玉葱ソーズは別添えでした。アスパラはグリーンとホワイトの二種。わらびや地竹、地蕗....素材の最後、玉葱ソーズの一つ前に蒸し鮑の記載があったので、鮑もおまけに入ってるんだと思ってたら、中から結構な量が出てきたのでビックリしました。スライスした鮑を芯に野菜出でとり囲んだような前菜で、北海道らしさも満載でした。
 続いてのお造りはガラス小鉢にたっぷりの塩水うにと、活平目、帆立貝、桜鱒の盛り合わせでしたが.... ルスツで塩水うにがでるのはいつものことなので、今更、生うにがおいしかったです〜という話でもないんですね。もちろん、出なければでなかったで、「あ!今回はうにがない!」と問題視するのは目に見えているんですけど....無事に口に入っている間は、おいしいと決まってるものを取り上げてわざわざおいしかったということもないかもね...と。バチ当たりな話ですが、ただ、おいしいに決まってる生うによりも感激させられた帆立貝の話をしなくてはなりません。

 それが右イメージ。
  大きさだけで驚いてはいけませんよ。繊維の向きで判るように、この帆立は肉厚なんですね。まさか...と疑いたくなる厚みは見事の一言で、サクッとした食感とトロンとした甘さに同時に 襲われた瞬間は、絶句ものでした。さすがの北海道!といいたいところですが、どうせなら若いうちにと希望して転勤した北海道の環境にはまって、その後幾度も道内勤務に舞い戻った我家の歴史のなかでもまみえるチャンスは無かった逸品に思えます。記憶の彼方で出会っていた可能性はゼロではないものの、出会ってたら忘れようもありませんしね。繊維のの隙間からにじみ出た旨味が織りなすような艶も美しく、単に“帆立貝”との表記は罪だなあとさえ感じました。極肉厚の特選帆立貝は、いつかの毛蟹と同様に素材そのもの力が活かされた一品ですが、もしかしたらこれっきりになるかもしれないレベルの上質素材を、逃さずゲットしてくるスタッフ(この帆立は、料理長ワクかなあ?)の価値感がうれしいじゃありませんか。

 一方、地元、契約農家が仕入れ先として紹介されている野菜類は、おなじみのおいしさでした。主役になれるレベルにありながら脇役で勝負してくるのは....ずるいよねと言うレベルです。もうなんども驚かされましたから、さすがに「え〜!」というかわりに「やっぱり...(おいしいね。」と落ち着いて味わえるようになりましたが、ホワイトアスパラの炊き込みご飯は、出来上がる前から興味津々で、落ち着きませんでした。(下イメージ 右端)


アスパラとタラバ蟹の炭火焼き
 
山菜とアスパラの天ぷら八角
 
ホワイトアスパラの炊き込みご飯


 グリーンアスパラは大好きだけど...ホワイトはね、加工品を先に口にしたせいで、私にとっては長く苦手食材でした。頼りない食感とあとに残る繊維が好きになれなかったんですが、第一印象というのはしぶといもので、苦手原因の食感が取り除かれた生であっても、自ら購入して食べることはありませんでした。そのホワイトアスパラを本気でおいしいと感じて食べたのが、何を隠そう2009年7月1日の風花にて...というわけで、当時、他の料理も食べてみたいと思ったものでしたが、炊き込みご飯は予定外でした。炊き込んで...柔らかくなったら、かの缶詰、瓶詰めのフニャンとした食感に近くなるんじゃないかなあと心配もしました。(好みの問題です。)
 でも、朝堀り生ホワイト恐るべし。確かに柔らかくはなってましたけど、加工品の食感とは別ものでした。ご飯はほんのりと甘みを帯びて、それよりも甘くごくわずかにえぐみも感じられるホワイトアスパラは、良いアクセントになってました。ダシが使われている様子が無く、アスパラだけでこんな風味になるのかしらと不思議でしたが、料理長のお話によると、ダシを使って炊いたらダシの味がアスパラの風味をじゃましちゃったそうで、海洋深層水で炊きあげたとのこと。ホワイトアスパラの炊き込みご飯の繊細な味付けの隠し味は海洋深層水だったようです。そして、この日のデザートは、苺とさくらんぼを従えたアスパラアイスでした。

 月がかわって7月は、風花の旬メニューは、噴火湾産毛蟹と塩水うにのご飯。海の幸たっぷりのコースが用意されていました。
 滞在中に2度の利用となったため、1回はアンチエイジングコースを頂く予定を告げて、出来るだけ料理が重ならないコースを、料理長お任せでお願いしました。

 今季、既存のコースの一部がアンチエイジング仕様に切り替えられたようで、アンチエイジングコースも2つのうちから選べるようになってました。価格の違いは、品数ではなくひと皿の多少の量と素材違いと言うことでしたが、陶板焼きの素材が本鱒か牛肉か....で、陶板焼きの肉に余り言い記憶が無い上に、その日はかるめに終わらせたかった我家は鱒のコース(価格の安い方)を選びました。
 左イメージは、地場野菜の前菜。 期待できる効果も書き込まれたメニューによると、ビタミンやミネラルが多く含まれた7種前菜だったようで、とうきびすーぷ(ひらかなです。)や完熟トマトの吸酢浸しは、単品メニューでのオーダーも可能なルスツ風花の定番料理 。我家も初物ではありませんでしたが。飽きのこないヘルシータッチは健在でした。人参ピクルスのヨーグルトソーズ(中央)や、ズッキーニのチーズ味噌添え、ブロッコリーの胡麻倉掛けなど、おいしい野菜をユニークなソースとともに堪能出来る前菜でした。

 刺身ではなく冷菜と位置づけられた第二の皿は、天然平目とつぶ貝のサラダ仕立て、玉葱そーす。う〜ん、メニューをわたされてから、アレルギーのある食材や食べられないものは無いか?と尋ねてもらえたので、 つぶ貝はあんまり...の私は、帆立貝に差し替えてもらいました。噴火湾の茹で毛蟹で良質のタンパク質とカルシウムを摂ってから本鱒の陶板焼きで、アキタキサンチン摂り。鮭ではなく鱒が使われるあたりが、アンチエイジングっぽいかもしれませんね。

  

 上イメージまん中が冷菜、左が柔らか蛸の緑酢かけ。右端が新玉葱の蒸し焼き バルサミコそーす。巨峰(多分)の甘酸っぱさと、ソースのコク(のある酸味)と玉葱の甘みの三重奏。フルーティな一品は我家好みで、印象に残りました。コースのご飯は噴火湾塩水うに丼でした。

 このアンチエイジングコースの2日前に北海道らしさと風花のオリジナリティを堪能させてもらったコースの前菜3種の内の2種が右下の蛸と毛蟹です。 もう一品は平目の昆布〆でしたが、深鉢の上からの撮影に失敗して、紹介出来るイメージがありません。
 3品とももちろんおいしかったんですが、前菜で特筆すべきは、蛸に添えられた拍子切りの白いもの....。知っている野菜...に思えるものの、食感が未知のもので、それが何なのか、なかなか特定出来ませんでした。

 実は7月のお任せコースではメニューが無く、スタッフの説明頼りだったのですが、脇役の素材一つ一つまでは言及されないこともあって(こっちも覚えきれませんしね。)蛸の付け合せもそのうちの一つだったと思います。ただ普通は食べればわかるものですから、白い長方形が何かを教えられなくて困ることは無いはず...なんですが、主人と私、二人揃って、初めての食感には楽しく悩まされました。繊維質も、水分を思わせる弾力もないのに、瑞々し さを感じさせられるという、ちょっと奇妙なサクッとした食感でした。
 蕪の用ような気がする けど、自分たちが知っている蕪の、どの料理(調理)の噛み応えとも違うし...新種の蕪か未知の野菜か、ホワイト舞茸の茎に近い部分を包丁で切った時の手応えをさえ連想しながら、結局スタッフに尋ねて、株という正解を得たのですが....「(さっきの蕪は)自分の腕でちょっとおもしろく仕上げた。」という料理長のコメン トが届くいたところでようやく「やっぱりね〜!」と納得するに至ったほどインパクトがありました。もっとも、実際には大変良質な蕪を海洋深層水でサっと仕上げただけ(?)のシンプルな一品だったそうで....料理長のコメントもジョークで味付けされていた と察するべきでしょうか。ただ、食感の妙は、おそらくこの後も他では出会えないだろうなというのも事実 。真逆の組み合わせで蛸の味わいも増した気がします。

 食感といえば、7月のお任せコースの造りは、これまでとガラリと様子の異なる烏賊ソーメンでした。
 そういえば....昔は三角(旧 トマム)でリクエストしてましたっけね。 山の中でもハズレなくおいしかった烏賊ソーメンを思い出しました。ルスツでは初めてでしたが、さすがに、地の利の優位はご覧の通りに加えて、つけダレは馴染んだ三角と同じ...というのは、褒め言葉にはならないのかな。風花のおいしい出汁が活かされた甘口の、サラリとした後味が烏賊の甘みを引き立てる我家好みのタレでした。
 
 ところで、今回の風花で私は聞くのも見るのも(主人は知識はあったようです。)初めての料理に挑戦しました。北海道の郷土料理、ゴッコ汁なるもので、料理長から、骨まで食せる、プクっと膨らんだゼラチン質の固まりのような不細工な魚 ((の汁物)を食べてみますか?とたずねられて、断る理由がありませんでした。。どんなものか知らなかったので、若干迷いはありましたが、食べられる食材なんだから、なんとかなるだろうと....。

 結論からえいば、結構不気味な(ブツ切りになって調理された後でも)食材でした。右下のイメージではわかりにくいかもしれませんけど、椀の下方にういている黒いものがゴッゴのぶ厚いゼラチン層の固まり...。黒いのは表皮だと思うんですが、ゼラチン層と一体化していて、ブニュンブニュンの固まりになってました。ブニュン、ブルルンです。ゴッコの味は、正直ピンとはきませんでした。見た目と食感の影響が強くて、味わいきれなかったというべきかもしれませんが、でも、野菜と汁は、凄くいい味でした。これがゴッゴから出た旨味の成果だとしたら....不気味な食材のパワーに完敗した気分です。だからこそ受け継がれてある郷土料理なのかもしれませんね。
 

 珍しい(わたしたちには)料理に続いたのは、鮑と椎茸(肉ではありません)のソテーの2点盛。椎茸の下に横たわっていたなんとかかんとかなんとかかんとか(多分ロマネスコ) というブロッコリーかカリフラワー(多分カリフラワー)は、初物でした。
 野菜にはずれなしを実証するべく登場したような歯ごたえと、濃い風味が印象的な品種でした。

 酢の物は、定番(?)のトマトの吸酢浸し。
 レポートが前後しましたが、2日後のアンチエイジングコースの前菜にも組み込まれていたものとベースは同じかと考えます。ただし、こちらは アイコが使われていいました。
 最近では我家の近くの店でも北海道産のアイコが並ぶようになりましたが、大地の恵みは、産地だけで安心してはいけないことを思い知らされたとでもいいましょうか、アイコは産地で選んで期待はずれだった数少ないはアイテムの一つなんですよね。甘みも歯ごたえも果肉の厚みもルスツで提供されるアイコに遠くおよばず、何度かの失敗をへて、我家の購入対象から外されたアイコ(のルスツバージョン)と、食感の異なる別の品種との2種類が使われた吸酢浸しでした。
  

 ズッキーニの緑とのコントラストも艶やかな、昨年の、ドーム上に整形された盛りつけとは、また趣きも異なって、見た目に涼しげなひと皿でした。
  北海道に訪れて、例えばカニ酢を食べるのに苦労はないでしょう。観光地なら宿泊先で出ることも多いし、和食レストランならたいていメニューに載ってますしね。だけど、トマトの酢の物はといえば、ルスツ(風花)の他にどこで食べられる?という料理です。「こんなかんじの..」と、リクエストできたとしても同じ味は期待できない....,そんな料理は店の大きな強みですよね。
 10数年振りの利用となった2009年6月以来、利用の度に風花では料理のオリジナリティーが高まっている気がします。 振り返ってみると....気のせいではないことが判ります。
 北海道らしさに甘んじず、1歩先の風花(ルスツ)らしさへ。
 それは、20年あまりに渡って共感してきた旧アルファ・リゾート・トマムの価値感にもにて、我家にとっては、代かえのきかない場所としての存在感が強まったことに他なりません。

 その、風花ならではの一品、昨年、主人が毎回でも食べたいと絶句した知床和牛の煮物が今回も登場してくれました。 アレンジは違って、今回のひと皿は名実共に肉がメインで、全体量は(昨シーズンのものより)少なめでしたが、わたしたちには充分な適量(?)でした。ちゃんと歯ごたえがあるのに、不要な抵抗感が無い柔らかさ! 肉汁に同化したかのような出汁の旨味と一緒に味わう知床牛は....やっぱり、毎回でも食べたい一品でした。

 ご飯はさっぱりと、,そして香ばしい鯛茶漬け。
 水菓子は赤肉メロンとスイカの組み合わせでした。 (イメージなし)

 全体量は多いにちがいないものの、一品ずつのボリュームは、それなりにおさえられていて、(恐ろしいことに)“がんばり”を自覚することなく、最後までおいしく頂きました。

                      12/08/22 

 

 

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