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    「おいしいもの」特別付録


 NORIKOさんのリクエスト「おいしいもの」で取り上げたメゾン・ド・ショコラのマロングラッセ。現在の日本国内の価格を根拠に『おいしくなくてはいけないもの』とコメントしましたが、もちろん、パリでのお値段はその根拠にはなりません。
 数ある日本メーカーとの価格差が、実はマロングラッセのパリからの飛行機代だけ、だったりしたら、あら、大変。
 と、いうことで、納得したくて食べ比べてみました。
                     01/03/13  

 

 数年前にお台場で開催された「フランス祭」で、そのお値段に驚かされるまで、メゾン・ド・ショコラは未知のブランドでした。
 チョコレートに関しては、既にスイスやベルギーから空輸されてくるものも多くなって、いくつかお気に入りの店もありましたが、やはり空輸代金はバカにならないもので、輸入チョコは 頻繁に買えるものではありません。そこで、当時(今もですが)我が家で愛用していたのは、ロンドンのシャボネール・エ・ウォーカー(下イメージ)という店のものでした。シャンパントリュフからフル−ツクリ−ム入りのものまで、豊富な種類がうれしいチョコレートショップで、好みのフレーバーを希望する数だけ送ってくれるのですが、送料とメールオーダーの手間をかける価値が十分にある、味と価格でした。
メゾン・ド・ショコラのチョコレートはそのシャボネール・エ・ウォーカーのものの大きさは半分、価格は数倍!マロングラッセは、なんと、ひと粒売りで800円!
 イベントの御祝儀価格だったにもかかわらず、あまりの高値にむしろ一期一会の強迫観念を抱いてしまって、購入したのが、我が家の初メゾン...。
 もちろん、おいしくいただきましたが、(正直なところ、チョコレートには特別な印象は残りませんでした。)生涯に再びまみえることもないと思って買った商品ですもの。そこで、感激しなければ自己嫌悪が待っているだけ。今から思えば、無意識の防衛本能が働いて、ひと粒のマロングラッセを、800円の価値のある風味に仕立て上げたかもしれません。
 その同じ年にパリのメゾン・ド・ショコラで再会したマロングラッセは、ありがたくも悔しいことに半値以下でした。
 「これこれ、この味。」と言いながら、ああ、やはり、800円はメチャクチャだった、と思ったものです。
 
 現在の日本での価格は相当良識的に値下がりしているものの、高い、という点で国内のメーカーの追随を許さないメゾン・ド・ショコラのおいしいマロングラッセが、それでは、どのくらいおいしいのかが気になりますね。
 あらためて思えば、国内のメーカーでは、どこのものが人気なのでしょうね? 自分たちではお得用の割れマロングラッセを買うこともありましたが、頻繁に買ってまで食べることがないものなので我が家でもお気に入りの店というものはありません。取りあえず、食べ比べのために買ってきたのはチョコレートでもポピュラーなM社のものです。  
イメージの五つは、右からローマのチョコレートショップのもの、メゾン・ド・ショコラのマロングラッセ、ローマのマロングラッセ、チョコレートコーティング、M社のマロングラッセ、チョコレートコーティング、M社のマロングラッセです。
 包まれている状態では大きさもほぼ同じで、箱入りではM社のものが最も大きくなります。ところで、日本のメーカーではマロングラッセのひと粒売り(お得用ではなく)はしないのでしょうか? 札幌のデパ−ト内では見かけませんでした。ホントは、他社、(といっても、あと2店くらいしかありませんでしたが)のものも、比べてみたかったのですが.....マロングラッセばかり何十個もゴロゴロ、というのも困りものなのであきらめました。
包みから出したものが左のイメージです。
M社のものは、チョコレートコーティングしたものも、通常のマロングラッセも、かなり小振りなのが、お分かりになるでしょうか?
 特にマロングラッセの方は、真空パックしたものを包んでいる為に、栗そのものは小さいです。もちろん、真空パックは大きさをごまかす為ではなく、風味を維持して日持ちをよくする為だとは理解できます。このパックのお陰でM社のマロングラッセは全体がシロップで濡れた状態が保たれているのですが
いわゆる、ねっとり、とした食感に仕上がっています。ブランデーシロップがじんわりと浸透して、栗をしめたような印象を受けました。

 それに比べて、ロ−マのものは相当の時間の経過を差し引いても、栗の表面に薄くシロップの膜がはるようなタイプで、柔らかいのに、栗のホクホクした食感が残されています。
チョコレートでコーティングされた方は、栗の色がそのまま残っているほどで(左イメージ)した。
 どちらが....というのは、これは好みの問題ですね。ただ、M社のものの方が、大きく変身させました、という感じですね。
個人的には、加工し過ぎてませんか? と言いたい気分です。
モンブランのおなかから出てきたら歓迎するけど、これだけをいただくには、少々ぬめり過ぎかなあ...と。
 チョココーティングのものは、密を含んだような栗はなかなかのものですが、チョコレートが勝ち過ぎて、残念です。こちらは、好み云々ではなく、ロ−マの勝利です!

 で、肝心のメゾン・ド・ショコラのマロングラッセですが、真空パックから取り出したM社のものと並べたのが、右のイメージです。
 大きさの違いは一目瞭然ですが、それ以上に印象に残る違いが、実は栗の匂いでした。
 透明なシロップの膜は限りなく薄く栗の筋が透けてみえるくらいですが、この状態でのシロップとお酒の芳しい香りは、メゾン・ド・ショコラの専売とは言えません。独特なのは、この薄い膜を突き破って立ち上る、栗の匂いです。 シロップの甘味を連想させる香りや洋酒の芳香にも、主役の座を譲らない、頑固なまでの栗の匂い!
 当然ながら、この匂いが味におよぼす影響は半端ではありません。栗本来の味とは全く別のものながら、 本来の味をイメージさせる逸品です。パリでの価格、250グラム(10個)144フラン(99年度リスト)はボリュームと風味を思えば、納得できるお値段です。できることなら、国内のメーカーにもこういうマロングラッセを作って欲しい...。50円から100円の値上がりで、この味が標準になるのなら、わたしは歓迎です。
 でも、メゾン・ド・ショコラのパリ店と東京店ではそれ以上に大きな価格差があるのが、悲しい現実!  ブランドのバッグと違って、短い時間にあとかたもなく消える嗜好品に、割り増し料金はちょっと...と言う方は、パリにおいでの時に寄って来てくださいね。
 ちなみに、昨夜、しあわせの顔をしてメゾン・ド・ショコラのマロングラッセを食べていた主人に「これ1個とM社の3個、どっちがいい?」と尋ねたところ、悩んでおりました。
 数もひとつの力ですね。
                                        01/03/15  
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