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おことわり

 当サイトで言うトマムのオールドファンとは、原則としてアルファコーポレーション時代のトマムをご存知で、そのコンセプトに共感して、再訪の経験のあるゲストを指しています。もう少し、広範囲に捉えると、現在よりも以前のトマムにより高い評価を抱きながらも、トマムとの関係を模索しているゲスト、という言い方もできます。対象でない方にとっては、茶話室は害あって利無しのページとなる場合があります。ご覧になる前には、昔話をするにあたってのJUNの考え方をご一読ください。 
茶話室リスト
                               06/02/06
 



    

トマムの景観

 1992年夏

 遊歩増、水の協会側から撮影

 手前から、水の教会、ホテル(アルファリゾートトマム)タワー

 関兵麦所有
 アルファコーポレーション運営
         (撮影当時)

 

 トマムの魅力を思うときに、多くのゲストが最初にイメージするものの一つに『自然』があります。
 冬期も緑豊かな針葉樹の森と山に囲まれた広大な敷地は、開発以前の過疎化が幸いした結果、隔離性の高いリゾートを作り上げました。いわゆる、非日常の空間ですね。

 もちろん、日常の景観が個々の環境によって異なる以上、非日常もまた、人それぞれ...。

 地方に住んでいれば、高層ビルが乱立する都心の夜景に刺激を受けるでしょうし、逆の立場になれば、漆黒の空にきらめく、降るほどの星の数に感動するかもしれません。

  もともと、トマムは本州のゲストを想定していた部分がありますから、『自然』が大きなセールスポイントには違いないと、考えます。
  でもそれはトマムの専売ではないですね。北海度に限って見回しても、山の野生、丘の広がりに..湖の神秘...大自然は、あちらこちらで、表情をかえて迎えてくれます。見応えも、感動も、刺激も、ある。

 そうした、あまたある場所と、トマムの大きな違いは、人工物の美しさだった(過去形、現在形? 悩むところ...です。)と、わたしは感じています。
 初めて訪れた時に、広いエリアにあった宿泊施設は、低層のホテルとタワーが1棟、少し離れた所にビレッジだけでしたが、トマムカラーといわれた外壁タイルのブラウンと木々の緑が、純白のステージに映える様に『(過疎地の.)田舎の.スキー場』にい抱いていたわたしのイメージは、一変させられたものでした。

 高層タワーに関しては、賛否、意見は分かれたと聞きますが、自然破壊を最小に留める為の空間利用という理由の真偽はともかく、後続のガレリアとともに、わたしはタワーのあるトマムの景観に魅せられた一人です。

 訪れる度に増え続けた建築物は、当初はシックなトマムカラーで、後には、ヨーロッピアンスタイル(シエナをイメージしたと言われています。)の明るい色合いにかわりますが、どれもが、風景にとけ込んでいるというよりも、むしろその中にあって際立っているように思えます。

 例えば、タワーやガレリアの上階、キャビンの山頂駅周辺から西エリアの一角を見たときに、リゾートセンターとリフトの他は何もなかった時代よりも、明るい色合い(スポルト1のみ、初期トマムカラー)の洒落た施設が登場してから後の景観の方が、印象深いと、わたしは感じています。開発初期のそれが、北海道らしい雄大なスキー場の景観とすれば、ヴィズをはじめとするこだわりの施設が配置され、大自然のステージに浮かび上かることで、景観にはトマムならではの、特異性が加味されたのだと思えます。
 素朴なコテージ風や、自然志向のログハウス風の施設だったら....それはお決まりの風景だし、都心のホテル並みの大きな箱ものだと、針葉樹の森に滑稽な味気なさを放つだけ...。

 施設が点在することの不便さや、各施設の規模の効率の悪さが、トマムのデメリットとして指摘されることも少なくありませんけど、 ここにしかない景観の中で過ごすひととき、利便性なぞ二の次でいいではありませんか...と、時に反論したくなります。

 箱庭のように愛らしい西エリアを形成する低い建物、広い敷地のアクセントのごとく視線を上へと誘うスマートな4本の棟、昔憧れた異国のクリスマスカードそのままの風情で樹階に埋もれる三角の屋根(ヴィレッジ)....それら、異質のアイテムが、他にもありそうな雄大な風景を、唯一無二の、美しいトマムの景観にグレードアップしたと言うのは、言い過ぎでしょうか? 
 でも、あっと驚く意外さと、なじんだ後にも興ざめしない質を兼ね備えてこその、執着に耐えうる美観なのです。
 簡単には、生まれない。


 寒冷地にあっては、もしかしたら 世界広しと言っても...と思われた屋外ロゴプールの幻想的な景観は、残念ながら維持されませんでした。意外さも、質も『かつて』に匹敵するものは、そこにはありません。
 上イメージの、タワーのある景観も、既に失われました。
 シックなトマムカラーのタイルにかえて、棟の外壁を彩るのは、トマムの四季をイメージしたグラディーションカラーだとか....。切り替えが始まった景観に期待をかけていいものかどうか...答えを知るのは、もう...ずっと先でいいという気分になるのは、現実逃避でしょうか?

 

 2007年2月
 

 ガレリア客室内から撮影、

 星のリゾート運営
 西エリア各施設とガレリアは
       占冠村所有(撮影当時)

 

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                                       07/08/03