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 困った時の中華頼りという言葉があるかどうかわかりませんが.....なにしろ、食ではあまり評判のよくないイギリスでも中華はおいしいといわれるくらいで、さまざまな料理の中でも中華はハズレの危険率が少ないといえそうです。ただ、一定レベル以上の味が期待できる分、あっと驚くほどの感動を得るのは、かえって難しいかもしれませんね。デパートのテイクアウトにファミリーレストラン、冷凍食品でも安くてそれなりにおいしい中華に出会える昨今、どこででも食べられる料理を、あえてトマムで選ぶ意味はあるのかと思われる方に、感動できるひと品をいくつか御紹介します。
                    02/08/04  


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バックナンバーマークの付いたページの情報2005年10月末まで有効期限とした、『在りし日のトマム』の記録としてご覧ください。


星野リゾート単独運営後、桃里は閉店しました。09/03/05

 左はホテル5階(ロビー階のひとつ上)にある桃里の店内イメージです。常に他のゲストが利用しているので、店内の撮影ははばかられるものがあって、イメージはトマムのレストラン案内から借りました。フォレスタモールから、今は撤退してしまった店も紹介されている案内ですけど、桃里の店内は大きく変わってはいません。
 ここには 別に個室も用意されていますが、窓際に並ぶテーブルは4つ(イメージの左側にもうひとつ)という規模で、決して広いとは言えませんね。
今ほど宿泊施設が多くなかった頃には、雰囲気をも楽しむにはいい広さだったのですけど、最近はさすがに手狭な感じが拭いきれなくなりました。いつの頃からか、あまり意味をなさないとかで禁煙席がなくなってしまったのが、我が家にとって、1番残念なことです。(確かに、分煙しようにも仕切るほどのスペースがないのですけどね。)
 中華はトマムのお得意分野と見えて、エリア内には直営の中華レストランが3つあります。オープンの早い順からここ、ホテル桃里フォレスタモール崑崙ガレリア2の31階にある通称ガレリア桃里となりますが、夕食はビュッフェスタイルのカジュアルな崑崙はともかく、ホテル桃里ガレリア桃里の共存はなかなか難しい様子です。
 夕食券に対応したコースを中心にした(夕食券が数種類あった頃)リーズナブルなホテル桃里に対して、価格、雰囲気ともに贅沢なガレリア桃里という分業も試みられてましたけど(短い期間でした。この時のホテル桃里のメニュー構成は、あっと驚く品薄状態。新規ガレリア桃里の参入で、かなり元気がなかった....。)ホテル桃里は長期間クローズという冬の時代もありました。でも、結果として、利用のし易さが勝利を導いたと言うことでしょうか。(別に、勝負しなくても、いいんですけど...。)最近はレストラン案内から名前が消えたガレリア桃里用(?)のメニューまで引き受けて、ホテル桃里はよく賑わっています。ピーク時はもちろんオン期と言われる時期でも、必ず希望の日時に利用したい場合は、少し早めの予約が望まれます。

 ここで御紹介するいくつかのイメージは、1万円のコースの中に組み込まれているもの(2002年6月)で、夕食券でサービスされるものとは異なります。食券に追加料金を払うから、1万円のコースをいただくわ、ということが(今は)叶わなくなっているので、ツアー等で夕食券をお持ちの方には、あまり参考になるイメージではないかもしれません。
 でも、ほとんどのお料理は単品メニューとして用意されているので、食券対応コースとは別に、単品を注文することはできます。
(紹介イメージの並び方は、サービスの順番通りではありません。)

 右と下のイメージは撮影の時期が違いますが、フカヒレの姿煮です。下のイメージ(2002年6月)の方には、金華ハムがありませんでしたね。(気がつきませんでした。)う〜ん、深く追求するのはやめましょう。
 最初、わたしは濃厚なフカヒレのスープかと思っていたのですけど、単品メニューでは姿煮とありました。で、フカヒレ姿煮・小盆は、4800円なのですけど....コースに組み込まれているものと同じなんですね。厳密に言えば、違いが分からなかったということですけど....。こういう場合、コースの安さに感動するか、単品の高さに驚くか、と言うことになりますが、人間、都合のいい方を基準にしてしまう傾向がありますから、単品は不利ですね。
 視野を広げれば、4800円でも高くはないお値段なのでしょうけど、例えば、夕食券(旅行代理店等でのオプション購入の場合、3000円前後が相場のようです。)用のコースは冷菜盛り合わせから始まって、お決まりの品数が出て来ます。スープ、肉類の炒めもの、揚げ物、魚介類を使ったもの、蒸し物など...五目焼そばチャーハンも付いてますし、もちろん、杏仁豆腐もいただけます。つまり、前菜からデザートまでひっくるめた全てよりも、フカヒレ姿煮・小盆ひとつの方が高いわけですから、単品を追加でオーダーする場合は一応の心構えが必要かと思います。三角で600円のじゃがいものバター煮を追加するノリではいけません。(我が家では、フカヒレを食べようと言う時は、食券は利用しないようにしています。)
 コリコリとした歯ごたえのフカヒレを包み込むスープはゲル状なので、フカヒレだけにではなく、口の中でも張り付く危険があります。表面から湯気が立ち上っていなくても、とてつもなく熱い時があるので、気をつけてくださいね。
 このスープは、フカヒレ本体がすっかりお腹におさまる頃、液状化してきます。口当たりも軽くなったサラリとしたスープで、余韻を楽しんでください。

 クリスピーなフライドポテトのバスケットの中味は牛ヒレ肉と野菜の炒め物です。
 牛薄切り肉と青菜の炒めものに近い味を御想像くださいね。イメージはふたり分で、(むか〜しと違って、中華も日本人向けの常識的な量が定着してきましたけど)結構ボリュームがあるひと皿です。じゃがいものバスケットの上の方はパリパリで、ソースがしみた底の部分はしっとりした味付きポテトになっています。つい、“器”にまで手が伸びてしまいますが、ここで崩して食べたポテトの量が、焼そば(デザート前に出ます。)をおいしく食べられるかどうかに影響してくることがありますから、自制心を持って臨んで下さいね。
青少年なら、ペロリの量かもしれませんが....今回もわたしたちは、焼そばは“お持ち帰り”でした。部屋に戻って、一息付いてからほどよく冷めた(?)焼そばをいただきましたが、熱い方がやっぱりおいしいでしょうね....。(熱々の焼そば桃里で食べたことが思い出せません。)

 鮑とどんこ椎茸の、オイスターソース風味(だったはず)が、右のイメージ。我が家では、日常あまり縁のない(それをいえば、フカヒレの固まりもですが)鮑と、どこかから回ってくるのを(いただきもののお裾分け、とか)待つのみ、の、どんこの組み合わせです。
 生椎茸は、取りあえず買っておこうかなという食材ですけど、干されちゃうと、特にどんこは高級食材ですね。自分で買った記憶がありません。
 つまり、口にする機会も少ないということなんですが、軟らかめの鮑もどきかと思いきや。鮑よりも弾力のあるどんこの食感は、印象に残ります。味はもちろん、さすがの椎茸! 鮑よりも風味を感じました。
鮑がおいしくないと言っているわけではありません。念のため。

 それぞれに味は違うものの、茶系の料理が多くなりがちな中で、目にも刺激を与えてくれたのが、伊勢エビ(だったと思います。)のバター煮です。明るい色調のひと皿は、ポピュラーなエビのチリソースに変わるものとして、コースに組み込まれています。
 数年前になりますが、義母たちと桃里を利用した際に、若くはないメンバーなので(実際にはもう少し違った表現を使いましたが...。)刺激の強いものは避けて欲しいという希望を伝えたことがありました。トマムでバター煮をたべたのは、その時が初めてだったと思います。
 優しい香りとほっとする甘さがうれしいひと皿で、食欲も新たになりそうな気がします。
 この価格のコースでは、車エビのバター煮チリソース煮が出されたこともありました。殻付き頭付きの車エビと格闘しながら「芝エビの方が食べ易い...。」と思った罰当たりなわたしにとっても、伊勢エビは(格闘時間も少なくて)グッドでした。
 でも、ハーハー言いながら食べるチリソース煮がないんじゃ、しまらないとおっしゃる方は、コース内容を確認の上、スタッフに“相談”を持ちかけても良いかと思います。


 フカヒレの姿煮よりも追加オーダーやテイクアウトのリクエストをしやすいペキンダックは、ひとり分ふた巻きがコースには付いてきます。
 一旦見せられた“素材”が厨房に戻された後で、イメージのような姿になって再登場します。人に任せられない、任したくない、という方は“素材”登場時にその旨を伝えれば、おそらく、自分で巻く愉しみも味わえます。
 薄いダックの皮の食感もさることながら、わたしは桃里の味噌の味と白ネギのバランスが好きです。
 単品では、1羽12000円、 半羽6000円、4分の1羽(メニューには掲載されていませんが注文は可能)3000円という価格ですから、ペキンダックとしてはリーズナブルな部類でしょうね。4分の1羽で、イメージの巻き物が4本です。
 ちなみに、テイクアウトに関してはやま里で食事をした後、部屋でペキンダックを食べよう!という“いい考え”に捉われたわたしが交渉したもので、桃里にテイクアウトメニューがあるわけではありません。

                                      02/08/06   

補足

 2002年8月17日、久々に桃里の単品メニューをしげしげと眺めたら....ペキンダックは1羽9600円、半羽4800円でした。お値段は、いつのまにか(おそらくかなり前に)下がっていたようです。1羽12000円という価格は、もしかしたらガレリア桃里での設定だったかもしれません。

 ところで、今回、“たらばがに”が食べたくなったので、事前にリクエストをいれました。
 こちらの希望は、1万円のコースをベースに、全体量を増やさずに“たらばがに”の料理を組み入れて欲しいということ、ふかひれの姿煮北京ダック以外の料理の変更、品数のカットは可、ただし、“たらばがに”は食べやすく、食べ応えのあるものを、というものでした。実は数年前に、シェフにお任せのコースで出てきたものがおいしかったものの、なかなか再会が果たせないのでお願いすることになったのですが、結果、出てきたひと皿が上のイメージ(ひとり分)です。
 当時とシェフは代わっていましたけど、“コロッとしたたらばの足に、千切りの白ねぎの餡がかかっていた”という説明で、食べたかった料理にちゃんと巡り合えるものですね。(単品メニューをチェックしてもなかった...。)
 たらばがにのネギしょうがあんかけ、という名前で呼ばれていました。上のイメージの左上、グラスの底との比較でかにの大きさがお分かりになるかと思います。適度な刺激が食欲をそそるあんと淡白ながらジューシーな蟹肉との組み合わせに、思わず顔もほろこぶひと品でした。
 
  この料理のかわりに、基本のコースからカットされたものは
エビのバター煮蒸しギョーザのふた品で、焼きそばは夏期限定の肉味噌あんかけそばに、デザートの杏仁豆腐赤肉メロンに差し換えられていました。
 素材としては、鮑とどんこ(花椎茸)のオイスターソースの椎茸が色鮮やかなチンゲンサイに(鮑はタップリ!)、牛ヒレ肉と野菜の炒めものエビとアスパラガスの炒めもの(下記イメージ、じゃがいものバスケットの器は同じ)に変更されていたのが、大きな違いです。

 海鮮コースという感じですね。
 個人的には、この場合、ヒレ肉よりも“たらばがに”に執着があったので、リクエストした甲斐がありました。

 ピリ辛で、わたしがむせながら食べた肉味噌あんかけそばの他に、夏期限定のメニューがふたつ(レモン風味の杏仁豆腐とあと、何か...。)。
 秋、冬の新メニューにも期待がかかります。

                                    02/08/20  

 
補足

 右のイメージは、桃里でテイクアウトして、ホテルの部屋でゆっくりと味わった杏仁豆腐です。持ち帰り用のカップ容器にプラスチックスプーンという色気のない状況が残念ですけど、フルフルとした食感が、なんとか伝わるでしょうか?
 少々、拡大してみました。
 
 杏仁豆腐はコースのデザートとして、桃里でもよく提供されますが、上で紹介した料理を含むコースの場合デザートがメロンなどに変わることがあるんですね。で、2004年3月は(料理野いくつかをリクエスト、後はお任せだったので))メロンなら杏仁豆腐に変えてもらうつもりで,当日、店でデザートの確認をしました。幸い、予定されていたのはフレッシュフルーツ入りの杏仁豆腐でして、わたしたちは、最後のチャーハンを食べきれなくて持ち帰りをお願いしたもの、杏仁豆腐は堪能しました。

 桃里の初代(だと思います。)シェフはトマムの総料理長を努めていらしたと記憶していますが、当時から杏仁豆腐の口当たりと喉ごしの良さにはオリジナリティーがあってこれはシェフが変わっても引き継がれています。いはば、桃里ならではの一品なんですね。

 例えば、事前の情報を持たずに利用した店で、失敗した!と思った店は2軒...というくらい、中華は価格相応か、それ以上の味が期待できることが多いという印象がありますけど、杏仁豆腐をオーダーして失敗した店は数しれずで、今やわたしは滅多なことではおいしい杏仁豆腐は食べられないと覚悟を決めています。
 桃里はもちろん、その滅多にない店、というより、桃里の風味が基準になっておいしいと感じるレベルがあがってしまったのかもしれません。
  食感はいうまでもなく、クリスタルミルクの艶と(この時はフレッシュフルーツとのコンビだったので、特に)サラリとした蜜の甘さも絶妙です。ああ、やっぱりおいしいということで、チャーハンの持ち帰りついでに杏仁豆腐も追加でオーダー! つまり、2人前いただいてしまいました!  食後だけでなく、お風呂上がりの喉にも最適の潤いでした。
  滞在中は何回でも味わいたいデザートですけど、容器は食べ残しの持ち帰りに備えているもので、杏仁豆腐のテイクアウト販売をしているわけではないそうです。でも、桃里で夕食の機会がないという方は「交渉」の価値はあるかもしれませんね。花マルに旗3本くらい立てたい風味が,執着心をあおるデザートです。


                                      04/04/13 

 
補足

 2004年9月下旬の利用から数ヶ月、2005年1月25日の杏仁豆腐に、微妙な食感の変化を感じました。

 確認したところレシピは変わっていないということで、 確かに味は同じ...。ただ、とろりん、フルフルとした、独特とも思えていた食感が...ツルッという一般的なものになったという感じです。
 この時たまたまだったのか、今後も ツルッという食感が続くのかは、現時点では確認できません。
 フロアスタッフは,わたしが指摘した“違い”が意外だったようですから、 意識的に変えたものではないかもしれませんが....1月25日の杏仁豆腐は、それまでの桃里の名物杏仁豆腐とは別物でした。
 ただ、2004年12月下旬に桃里を利用されたほかの方も食感の違いは感じてらしたようで(掲示板でのやりとり)今シーズンからツルッの食感になってしまった可能性が大きいです。
  おいしくないとは言いません。ただ,残念ながら、比較するものを記憶しているので....わたしとしては残念でした。スペシャルバージョンでも、割高でもかまわないので、桃里伝統の食感の復活を望みます。

                                        05/02/04