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 2003年の夏前、ルミエールではシェフの交代がありました。
 お盆の時期にルミエールの厨房に入っていたのは、それまでカメリアコーナーで腕を振るっていたと言われる「ヒヨシ」シェフで(漢字は未確認。)2004年のスキーシーズンも、ルミエールは引き続きヒヨシシェフが担当しているようです。
 お馴染みのルミエールの味にシェフのオリジナリティーが加味されて行くのが楽しみですね。
 紹介のイメージは2003年8月と2004年1月のものです。
                  04/02/11  


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マークの付いたページの情報2005年10月末まで有効期限とした、『在りし日のトマム』の記録としてご覧ください。


星野リゾート単独運営後、ルミエールは雪花(後にプラチナムに改名)にメインダイニングの役割を譲渡して実質閉店となりました。繁忙期対応のビュッフェレストランとして現存しています。09/03/05

 シェフの交代が想定外だった為に、少々慌てた我が家からのリクエストは、「温前菜にフォアグラのソテー、つけ合わせはフルーツか野菜で、魚料理の素材はエビかカニかホタテで、肉料理は牛フィレを希望、スープの素材は植物性のもので、ただしカボチャはパス(主人がダメなんです。)セロリの大量使用はパス(主人が苦手なんです。)全体的に味は軽めに、量は増やさずチーズはパス、あとはシェフにお任せ」というものでした。
 これで“お任せ”されたシェフもやりにくいかもしれませんが、要は今までと余り変えないでね...と言う希望がこちらにはあるわけですね。これが街中のレストランなら、シェフが変われば別の店、好みがあわなくなれば縁を切ればいいだけですが、ホテルのレストランとなるとそうもいきません。シェフの交代を期に店が息を噴き返すという例もありますけど、わたしたちがルミエールに求めるのは変化ではなく継続です。それだけ満足度が高かったということで、ヒヨシシェフには基盤を崩さずにオリジナリティーを加えていって欲しいと思いました。

 8月の帰り、スタッフから(ヒヨシシェフの料理は)どうだったかと尋ねられた時、わたしたちは“おいしかった”と答えました。あらかじめシェフの交代を聞いていなければ気がつかなかったというのは褒め言葉にはならないのでしょうけど....わたしたちは、いつもと同じようにルミエールの御飯を堪能しました。

でも、1月、2度目の利用になると“全く同じ”ではない部分を楽しむ余裕が出てきました。土台と成る部分がしっかりしていて、これからも利用できると分かったことから生まれた余裕、ですね。
 左が1月の冷前菜、あぶりトロサーモンのマリネです。上に乗ったゼラチン質はフカヒレかなとも思うのですけど..これは未確認。
 例えば、酸味をキュッと効かせたインパクトのあるマリネとは異なって、刺激の少ない穏やかな味が印象に残りました。でも、大根のシャキシャキ、ふかひれのコリコリ、サーモンのトロリ、と口当たりは十二分に刺激的で、我が家好みのひと品でした。
 どことなく和のティストを感じさせられる、ヘルシーな仕上がりが、うれしかったです。(リクエスト時に若くはないので...を連発してきた甲斐かあったということでしょうか?)
 
  和のティストは温前菜、フォアグラのソテーでも同様で、1月のつけ合わせは“野菜の煮物”でした。カリッとしたフォアグラの表面にも、艶やかなあんがかかった様子がお分かりいただけるでしょうか?くどさや重さとは無縁の、ゆずの香りの爽やかな料理でした。

 そして、百合根のクリームスープ
 サラリとした仕上がりは健在で、口当たりの良さはルミエールではお馴染みのものです。

 クリームスープのティストが変わらなかったのは、わたしたちにとって、もっとも歓迎すべきことのひとつでした。掲示板にもごぼうのスープを絶賛する投稿を頂きましたけど、次の料理に影響を与えない軽さと、いつまでも記憶に残る風味のバランスが絶妙なんですね。
 百合根素材のこれは、ごぼうほどの香りはありませんが、控えめな甘さが堪能できました。
 浮き実は、キンキ(だった...はず)のフライ(の、ような...?)。

 照明の加減か、カメラの取り扱いの問題か.....夜のルミエールではかなりの確率でピントがずれるのが悩みの種ですが、魚料理、肉料理、共に確率をあげる結果になってしまいました。(液晶チェックの時にはクリアに見えたんですけどね...。)
 魚料理の素材はアワビと海老、ハーブの緑と赤いソースが艶やかなアレンジです。
 底辺の広がりは少なく、コンパクトながらも高さのある三角錐か円錐をイメージさせられるようなアレンジが増えました。1月の盛り付けを見ると、何も知らなくても「(今日は)シェフが違うのかな?」と感じとれるかもしれませんね。香草の量も多くなってきた気がします。

 ちなみに牛フィレ素材の肉料理は、左が8月、右が1月のものです。 同じシェフ(のはず)ですが、今後は右のパターンが増えてきそうな予感がします。ただし、不安定な形が見せる美しさは繊細なもの、最初のひとくちでぐちゃぐちゃになるので、味わうには美意識を捨てて挑んでくださいね。

 デザートは、パティシェが別にいるようですけど、2度続けて、珍しい素材が使われていました。
 一番右上、グラスに入ったトマトのイメージは、実は2003年8月のデザートなんですね。
 ジュレの上にあるのは、生クリーム(のようなもの)を抱え込んだフルーツトマムでして、イメージ左側にあるのがハーブのアイスクリームソースでした。
 アイスはソース用と説明されたにも関わらず、おいしそうな見栄えに単独でアイスに手をつけたわたしは、シェフ(パティシェ)のこだわりを無視すると奇妙な味にたえるハメになることを学びました。もともと、お茶のアイスと思い込んでしまったのでハーブアイスと聞かされても無警戒だったので...。“指定”通りにこのハーブアイスをグラスに移して、トマトの中のコッテリクリームと適度に混ざったところで、ジュレやトマトをた食べると、ちゃんとおいしかったっです。酸味と甘味と苦味が、一緒にすることで程よくバランスが取れるという......面白い夏のデザートでした。

 左が1月のデザート。
 バナナと百合根のムースのパリパリクレープ包み、ザクロのトッピング。茶色の粉末はチョコレートです。

 ポテトのようなホッコリとした甘味とトロンとした食感のムースにフランベしたようなバナナが合体したもので、冬らしいデザートですね。熱くってもおいしいかなと思いました。
 単独で味わっても安心のアイスクリームは、柑橘系のさっぱりとしたジェラードタイプでした。お腹がかなり一杯の状態で、コクのあるデザートの甘味を堪能するには、最適のコンビネーションでした。

 アイスは今後もつけて欲しいアイテムですね。

                                  04/02/23