画面のレイアウトが乱れる方へ
Vol.7


 完全分割運営後の初ルミエールのレポートです。

 2005年2月、予約の窓口(料飲予約受付担当)も変わったルミエール
に今までと同じことを期待しつつ
 分割にによる影響を、わたしが一番懸念したルミエールの健在振りをご覧の上、今後のご利用の参考になさってください。なお、残念ながらこちらで紹介させていただいたシェフ、パティシェは2005年9月末でトマムを離れられました。

                   05/09/10/01(改稿) 


レストラン詳細レポートリスト一覧へ
 
バックナンバーマークの付いたページの情報2005年10月末まで有効期限とした、『在りし日のトマム』の記録としてご覧ください。


星野リゾート単独運営後、ルミエールは雪花(後にプラチナムに改名)にメインダイニングの役割を譲渡して実質閉店となりました。繁忙期対応のビュッフェレストランとして現存しています。09/03/05
 

ルミエールは..どうなるの?」
 トマムが2社による完全分割運営になると聞いた時、我が家が最初に尋ねたのはルミエールの在り方でした。

 トマムのメインダイニングとはいえ、スキーやゴルフを目的に来るゲストの誰もが利用し易い店とは言いにくいルミエールは、そもそもはトマム開発者が残した“こだわり”のひとつです。そのこだわりに取り込まれたリピーターを始め、一部のゲストには強く支持されていたとしても、現運営担当会社がこだわりの維持に価値を認めるかと言えば、?マークが5つ程飛び交いましたものね。
 今まではいい具合に住み分けができて補い合ってきたカメリアコーナーと、極端な言い方をすればゲストを奪い合う関係になった時に、夕食券(スタンダードプラン)にも対応できないルミエールのグレードは、会社してみればマイナスポイントかもしれない...。なにしろオフ期ともなれば、懐石とフレンチコースを一つの店で出す(ルスツとサホロで経験。)合理的営業をする加森観光が、ルミエールの“らしさ”を正当に評価できるかしら...などと、まさに棺桶に片足を突っ込んでしまったかのごとく覚悟も(それなりに)決めたものでしたが、それも少々過剰な懸念だったようです。
  2005年も、ルミエールの厨房は、山崎シェフ(一昨年退職)と共に,トマムの味を育んできたスタッフが担うことが決まったようです。
 
  最悪、スタッフの総入れ替えの可能性も視野に入れて今後の対策を考え始めていた我が家にとっては、「いままでのこと」を知るスタッフは、トマムの聖域を守る救世主に思えました。


 
  上イメージは草野シェフ。
 『苫鸚の達人』(2004年夏号以降休刊中)では、カメリアコーナーのシェフとして旬のメニュー紹介で何度か登場もされていますから、ご存知の方もおいででしょうね。今後はリゾートトマムの食の責任者として、カメリアコーナーではなくルミエールで腕を振るわれます。
  イメージ左、向かって右はVol6でも紹介済みの水野シェフ、左が横溝パティシェ。カメリアコーナー四季と共に、既にルミエールでもお馴染みとなっていたお二人です。

 今回、我が家がいただいたコースは、12000円。
 こちらからのリクエストは、温前菜にフォアグラのソテー、スープはの素材は野菜、メインは牛フィレでという3点。ただし、予約担当スタッフが“前回”のことをご存知ないので、細部はシェフがご存知のはず...ということでお任せしました。



 席に案内されて,最初に目についたのはメニューでした。(イメージは自宅で撮影.参考までに)厚手の1枚ものでしたけど、メニューがデーブルにあるのは、本当に久しぶりのことで、よき時代を思い出させられました。
 
 過去、ルミエール料理の紹介ページでは、味は素材やソースの名前を覚えていなくて「なんとかかんとか」という、説明にならない説明をしてきたわたしには、お持ち帰りができるメニューは、2重にうれしかったです。
 ということで、今回は料理名を正確にお伝えします。


 
  葛を纏わせた襟裳産、牡丹海老に紀州梅のヴィネグレット....ルミエールからの小さなプレゼントのです。
  メニューがないと、牡丹海老の葛包みと梅のなんとか...と言ってたところですね。

 唐揚げにされた海老の頭のカリカリとした食感と、葛のそれとのコントラストが楽しい一品でした。




 アカシア蜂蜜のビネガーで締めた細魚 春を待ち望んで ....冷前菜

 新鮮な細魚を控えめに締めたという感じの、酸味を押さえたマリネでした。 パンチの効いた味がお好みの方には、ちょっと物足りないかもしれませんね。
 我が家としては風味も、そして量も理想的でしたが、ただ、以前のものと比べていただくと分かり易いと思いますが、 盛りつけはシンプルになってきました。組み立てた形よりも色の配置で“見せる”のは、シェフの美意識かもしれませんし、別の理由があるのかもしれません。もう少し、様子を見たいところです。




 フレッシュフォア ・グラのソテと赤い果実 香り豊かな黒胡椒のソースにて グズベリー風味のパイを添えて....温前菜

 他の温前菜にも興味はあるものの、どうしても外せないフォア ・グラのソテ...。

 
 この日の付け合わせは色鮮やかなベリー類でした。ベリーの酸味がトロンとしたフォア ・グラの引き締め役ですね。
 フォア ・グラはフレッシュさをアピールするかのように、かなり軽めの焼き(?)加減で、素材の持ち味を堪能できます。

 ただ、個人的には,表面にもう少パリッとした香ばしさが欲しい気がしました。パリッとトロンの食感の妙と蜂蜜の隠し味...が、わたしの中では素材の持ち味よりも優位に立ってるんですね。ルミエールのフォア ・グラのソテは大好きだけど、フォア ・グラそのものが好きなわけではない人間の言い分です。



 蕪のスープ ホタテ貝のジュを泡にして

 ハズレることは滅多にない(好みもありますので...100%保証は無理)クリームスープはこのところ、もうひとひねりの風味付けをされる傾向がありますけど、今回は隠しきれない帆立とのコンビネーションでした。
 カプチーノを思わす泡は帆立の煮汁、浮き実はカリカリ帆立の燻製(だと思います。)で、蕪の甘みを帆立の香りで楽しむ一品です。
 この組み合わせは、もしかしたら草野シェフのプロデュースでしょうか...。

 サラリとした我が家好みの食感に、泡のが加わることで、仕上がりは軽く、ただし、液体の流れはわずかに鈍って舌に風味が残る感じがありました。おいしかったです。




 釧路沖、目抜きのポワレ 越冬キャベツのフランと山芋のソテと共に 白ワインが香るソースで.....魚料理。

 イメージ上部の黒っぽく見えるのはキャベツの素揚げ、パリパリでした。
 付け合わせはキャベツのフランと聞いて、メニューにもそう書いてあるのに...パリパリキャベツに気を取られた為に、フランをして何もの?という話になってしまいました。そこに横から山芋が登場、キャベツのフランが一瞬山芋のフランなるところでした。(ふた口くらいは、なってたかも...)
 目抜きの下からとっても香ばしい山芋が表れて、キャベツのフランは正しく認識されることになりました。甘みと酸味が調和したソースが、食感も風味も異なる素材のまとめ役でした。



 蕎麦の衣を着けた池田産、牛フィレ肉と下仁田葱のロースト ほんの少しシェリービネガーの酸味を付けたソースにて.....肉料理

 お口直しのシャーベット(イメージはありません。)に続いて出された、メイン料理です。
 フィレ肉と蕎麦の衣が一体化していて、ナイフを入れても全く分離しなかったのが不思議な一品です。
  衣は香ばしく、表面はクリスピーで、とても柔らかなフィレ肉と一緒になると、良いアスセントに思えました。葱の甘みも特筆ものでした。



 
  一時期(これはシェフが違う時期だったかもしれません。)と比べて、全体的にハーブ使いが控えめになったでしょうか...。今回はフレッシュハーブのてんこ盛りはありませんでした。

  風味はほぼ見た目から想像できる範囲で、ものすごく印象に残るものがあったとはいえませんが、おいしそうに見えたものが、きちんとおいしかったです。
 「もう若くはないので...」と薄味傾向をリクエストしてきた我が家としては、満足度と共に安心感も高かったです。酸味をうまくコントロールされたコースだったともいえそうですね。

  メリハリのある味が好みの方には、少々淡白に感じられるかもしれませんが....身体に優しい味付けをイメージしてくださいね。




 メープルが香るブリオッシュ エピスを効かせたフルーツソースで

 このデザートと、ハマナスで焼かれたパンが、横溝パティシェ担当です。

 エピスは香辛料...ですね。

 アップルパイとサラヴァンをたして割って、オリジナリティーを加えて仕上げられたような一品です。口当たりのいい、アイスクリーム付き。お腹がいっぱいでも、アイスクリームでリセットできる感じで、食指が動くデザートでした。

 コーヒーまたは紅茶小菓子に変化は見られませんでしたが、パンはグレードアップしていると、わたしは思います。分割運営の影響で、アーリーバードのパンがルミエールに回って来ないことになりましたから、さて...どうなるのやらと気になっていたので、正直、驚きました。あんまりおいしかったので....!

 確認したところ、ハマナスにパン焼き機を導入したとのことで、パティシェがパンも担当されているようです。
 柔らかさと噛み応えのバランスが絶妙の仕上がりで、粉の香りも豊かな,おいしいパンでした。

  量産できないそうで、ルミエールでも夕食時のみの提供だそうです。
 じっくりと味わいましょう!

 2005年、ルミエールでは5250円のコースも登場して、価格レベルは予想通りに下げられました。
 利用のし易さは、やはり横には置いておけない課題なのでしょうね、ただ、店の設えをはじめ、サービススタッフに変わりはありませんし、当レポートのように、価格も含めたリクエストも従来通り可能です。
  いわゆるルミエールらしさの維持は...今後のゲストの心得次第かもしれません。


                                          05/03/22