しみじみと実感...居心地のいい宿

 大谷山荘 別邸音信で二連泊

 到着前レポートはこちらをご覧ください。

 上イメージは大谷山荘別邸の門、最寄り駅からの送迎車はこの門を潜り玄関前(真ん中イメージ)に停車します。
  到着時はスタッフ数人が『お出迎え』待機中でした。入り口は正右手横、イメージ右端の右側に出てから、シンボルとも言える水盤の周りを半周する形で左建物に誘導されました。上がり口で靴をぬいでから案内されたのが、フロント(という雰囲気とは異なりますが...)とは反対側の茶室エリア。手続き前にまずはお抹茶のサービスを受けるのはここが初めてではありませんが、エントランスからフロント到達まで、茶室寄り道付きの『ひととき』の『無駄な時間と空間』が、言わずもがなの我が家好みで、いわゆる非日常へのアプローチ演出は、さすがと感じました。

 チェックイン手続きは、 お茶をいただきながらではなく、一段落した頃合いで茶室からロビーへ移動、フロントデスクは、ひとテーブル、椅子に座ってのゆっくり手続きでした。 満室でも18組ですから、多少重なる場合でも支障はないのかなとは思いましたが、チェックアウトは結構こみあいまして、順番待ちになりました。無論、ソーシャルデスタンスを維持して並ぶなんてことはありません。こちらで..と点在するソファ席に案内され て、順番が来たらお迎えという手順で、いかなる時も時は緩やか...“せっかちさん”にはもとより不向きなかもしれませんね。
 
 チェックイン、チェックアウトの手続きの自動化や、先払い制導入での効率化など に慣らされて、いつの間にか“せっかちさん”化しているゲストも増える中での、急がない対応は、あるべき理想形のように思えます。

   
  フロント周りのライブラリーやラウンジはいうに及ばず、一歩奥へと進んだ先の客室エリアも『無駄な空間』の贅は健在で、廊下は中央部に畳を併用、エレベーターホールはご覧の通りの『畳の間』(上イメージ右側二枚)でした。

 
  ただ、客室はといえば、無駄が本当の無駄になってしまったメゾネット仕様...階段の上には大型のTVでホームシアター環境が整えられていましたが、活用せずに終わりました。
 その部分は必要ないとわかっていて選んだ客室ですから、階段がね〜などとは今更は言いません。なぜ選んだかといえば、7つのタイプの客室の中で“内風呂もある”と表記されていたタイプだったらです。(ツインとWのメゾネット、二つのタイプに内風呂表記)
 その内風呂が、下、左のイメージ。
 おしゃれな印象の洗面所に、おしゃれなバスタブは...ありました。
 シャワーヘッドは可動式で床暖房もしっかりと効いていて、欧州でなら“当たり”でポイントアップになる仕様ですけど、温泉宿でこれを内風呂といわれても...シンクが二つでトイレが別で、かろうじてよかったけど...というのが本音でした。
 だって、つかるだけなら露天風呂で十分なわけで、問題視してたのは洗い場なんです〜。
 シャワールームより内風呂(洗い場付きのお風呂)の方が、使い勝手がいいと思って、メゾネットはいらないけど、内風呂は欲しいと思ったんです〜。
 まあ、わたしが勝手に思っただけですが、内風呂ではなく洗面所にシャワーブースとバスタブありとの表記が誤解をうまない安定表現だと、わたしは考えます。



 結果として、シャワーブースもバスタブも未使用で終わりました。
 客室は、ゆとりや贅沢感に連動しない本当の無駄が...利用者次第で評価は変わるでしょうから、“我が家にとっては”と但し書き付きでの無駄が、快適さを20%ほど下げちゃったという印象です。20%減で揺らぐ快適さではない!とは、いえないんですよね。気持ちクールダウンすると、棚、引き出し、あるいは荷物台がないことを不自由に感じたり、露店風呂への出入りが部屋からのみで、足拭きマットがテーブルの横に見える状況が残念だったり、設の快適さと、使い勝手の快適さに、多少の開きを感じました。

  テーブルの低さに合わせて、直に座っている時間が多かったわたしなどは、使わなかった内風呂(バスタブ)よりも、不要だと判断した和室付タイプの方が、無駄なく活用できたかもと考えますが、間取りり図がないので、ほかのタイプを選んだとしても、予想外ポイントはあるかもしれず、迷いは付いてきそうです。本館には洗面所と露天風呂の間にシャワールームが配置されたレイアウトの客室があって、使い勝手で言えばそこが安全なんですが...部屋はともかく、滞在環境として、別邸以上は望めないとの理由で、本館への食指は動きません。
 実は、キーで解除できる連絡路で別邸から本館への行き来は自由ですが、本館連絡口でには、畳スリッパが用意されています。履物不要で動き回れるのは別邸エリアのみなんですよね。
 当初は二日目に予定していた鉄板焼きを、本館の臨時休業が決まったせいで、1日目に切り替え、食事、大浴場、ギャラリーや天文台見学目的で初日は本館のパブリックエリアを動きましたが、翌日は休業という状況で宿泊客も少なめな中、騒がしさもなく、格上げ効果の『無駄』な空間もいい感じでしたけど、やはり大規模旅館!
 別邸の非日常感がむしろきわだって、 この地区で、別邸以外の利用はど〜だろうね
、あり得ないかもね、から、2日の夕食時に、多少使い勝手に問題のある、たとえ同じ部屋であっても、別邸以外の選択肢なしの結論が出ました。

 朝食で住環境の不満を補い、夕食が全てのマイナスポイントを吹っ飛ばしたんですね。
 ご飯がおいしくて、ご飯をいただく環境が優れていました!
 前日、本館での鉄板焼きももちろん美味しくいただきましたが、なんといっても別邸
レストランでの夕食。

 上イメージ、サイズの加減で料理は順不動ですが、どれもが見事に美しく、かつ視覚を根拠にした期待を裏切らないおいしさで、先付けの後、地筍真薯のお椀を開けた時に、これなら...二日続けて音信会席コースでもよかったかもしれない(おんなじ料理は出ないそうです。)としみじみ感激したくらいです。
 ホテルとは違って、お任せが基本の旅館の食事は、おおハズレがない代わりに予想範囲に治るパターンが否めない感じで、アピールポイントのご当地ものも、料理になったら、造りか一人鍋か、天ぷらか 炊き合わせ(例えです)でおなじみ感仕上げ、美味しかったで一括りになっちゃって、記憶に残るほどの感激までには至らずじまいというのも(わたしなどは)珍しくありません。
 それが、のどぐろの酒蒸しが生姜酢仕立てになったり、長萩和牛の炭火焼についてきた桜葉をめくるといくらを背負った青のり手鞠寿司があらわれたり、 とらふぐ唐揚げの衣がこれも山口名産の安平麩(衣にも自己主張が!)だったりと、一品ごとにに感動を重ねて行く食事でした。   

 右イメージは、別邸のレストラン。
 席に座ったまま出入り口方向を撮った一枚で、見えている畳が通路、奥のしきりの向こうも同様に半個室仕様のダイニングになっています。朝食2回と夕食、3回の利用のうち、朝食は方向が異なるいづれも窓ぎわ、夕食は中心側でした。

 隣に料理が運ばれたりする様子はわかるものの、隣の気配はほとんど気にならない(別方向から楽しく盛り上がって声が飛んではきましたけど)ゆとりの配置です。
 部屋食の気軽さと、レストラン利用の非日常感、いいとこどりを併せ持った完成された空間は、おそらく他では期待できないでしょう。 テーブルの下には電気保温マットが敷かれて足元はむくむく...。

 この場所で、おわんのふた裏の文様を眺めるうちに、他の宿利用の試みは、我が家にはリスク100%の冒険にすぎなくなったんですね。
 開業10年あまり別邸は、若いスタッフも多く(ベテランスタッフの醸し出す安定感に満たされるのはこれからだと推しますが)そつなく、感じよく、快適な滞在環境には十二分に貢献していると、感じました。

 ほんと、残念なのは部屋のレイアウトだけというのがなんとも(改善しようもないだけに...。)ですが、それでも間違いなく、他への興味を摘み取るほどの、居心地ののいい宿ですから、次の利用を計画したいです。



イメージ補足
 1日目の夕食は、本館で鉄板焼。肉はフィレとサーロイン、もやしは肉の下に隠れています。最初に食材の紹介(1時間ほどのちに来られた両サイドのゲストのどちらにも、素材にかぼちゃを発見。我が家はかぼちゃに差し替えてじゃがいもをいただいたようです。)随時、仕上がりの説明とこちらの好みを確認しつつのパフォーマンスでした。アワビのソースにアンチョビを使うが嫌いではないかとか、ブルーチースは大丈夫かとか、ガーリックライスの量は、少なめか標準か、多めか?とか..。魚介は皿も含めて、ソースがかかった洋風しあげ、単品野菜の盛り合わせは、磁器の器に日本料理を思わせられる繊細な盛り付けで、肉はベーシックに...多様な仕上がりが楽しめるコースでした。  
 右側上下は朝食。洋食の卵料理はスクランブル、オムレツ、目玉焼きから選択。スクランブルもオムレツも塩、胡椒の味は感じられず、別添えでケチャップが付いてきました。パンは全ての種類が美味しかったです。
 和定食の焼き魚はのどぐろの干物。 湯葉の生姜あんかけは、湯葉包みではなく、中心部まで全部湯葉!湯葉好きにはかなり贅沢は一品ですが、湯葉嫌いならあん以外に食べるところがないという....やはり、苦手な食材はつたえておきましょうね。
 
 左はロビーラウンジ横のトイレの洗面室。
 ライブラリーやショップと変わらず ここも履物なしで、椅子の後ろ側(イメージ手前)に低い弾があって、個室用スリッパーが用意されていました。
 主人に勧められて見に入ってガラスのシンクにインパクトを受けて撮影した一枚です。 トイレ(個室)のクオリティが、客室のより高かったのが、知らずに終わるケースも少なくないことを思うと、手抜きがないと感心する一方、客室の方では、あまりこだわらならなかった?と..少々複雑。 でも、客室内のトイレットペーパー、ティッシュペーパーの質は申し分なしでした。念の為。

  

                                         21/03/04 

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