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                        チョコレート


 02/10/10

 
 
 忙しい旅程の中でも、やっぱりはずせないのが「お買い物」。
 
 「ま、いいか。」というわけにはいかない義理のお土産には、結構時間をとられるも のの手許には残らないし、土地の名物や旅の記念品は、時とともに、捨てられないけど少々置き場所に困るものに変わってしまうことがありますね。

 自分用のお土産は、何年経っても愛着が薄れず、目にする度にそれと出会った町や店のこと思い出せるようなものなのが一番! そして、その出合いが、新たなおつき合いのきっかけになったりすると、観光で通り過ぎただけの町が、特別な場所になります。
 観る、だけでなく、ちょっと係わりを持ちたくなるような、そんなお土産を紹介したくなりました。

  このページはいわば、わたしの自己満足の「お買い物リスト」のようなものですが、旅行の予定がある方は、覚えておいて損はないものだと思いますし、メールオーダーが可能なものも少なくありません。

 ただ、ごく最近に訪れた店でも、連絡先が今後も変わらないという保証はなく、常に正しい情報を更新していける自信がないので、細かな住所や電話番号の明記は避けました。興味をお持ちになった方はJUNまでメールで問い合わせて下さい。
 現在、メ−ルオ−ダ−等でおつき合いしている店に関しては、正確な連絡先と、必要ならば注文方法を、旅先で訪れた限りの店は、その時の情報をお知らせできると思います。

                        
               

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シャボネール・エ・ウォーカー【Charbonnel et Walker】のチョコレート(ロンドン)

 トム・クルーズもお忍びで買いに来たというチョコレートの老舗、というコメントで《94,るるぶロンドン》に紹介されていた店です。

 ただ、そう言われてもね〜、というのが正直なところで、当時のわたしたちは時間があれば寄ってみようかという程度の軽い興味しか抱いていなかった店です。トム・クルーズのチョコの好みもこだわりも知る術はありませんが、イギリスのチョコレートがおいしいという噂は聞いたことがありませんし、迷った時の義理土産にするにも、ロンドンのチョコは適しているとは思えませんでした。
 ところが、‘ボンドストリ−ト’と‘ロイヤルア−ケ−ド’が交わる角にあるこの店は吸引力200パーセントのオーラを発していて、出会いの扉を開くのは、 味より何より雰囲気ということを実感してしまいました。
 大きくはない店は、通りに面している2辺がガラス張りで、特に入り口のある‘ロイヤルアーケード’側からは、細長い店内の様子がよく分かります。ショーケースに並べられたチョコレートの種類の多さや壁面を飾るきれいな箱の数々は、この時のわたしたちには初めてのもので、通りを挟んだ反対側からでも立ち止まってしまいそうな美しさがありました。
 
  もっともこの店は世界最初に作られたショッピングアーケードといわれる‘バーリントンアーケード’(右イメージ。残念ながら人物抜きのイメージがありません。雰囲気の邪魔をしないようにわたしはシルエットになる為ファイルを縮小しました。老舗のディスプレイも優美なアーケードの雰囲気をご覧ください。短い通りですが、立ち寄りたい店がたくさんあって、通り抜けるには時間がかかります。)にも近い場所にあって、わたしたちはバーリントンを目指す時にはシャボネール・エ・ウォーカーの店の真横を通るという状況におかれていました。予備知識があってもなくても、誘惑される運命だったということですね。
 スイスやベルギーから空輸されてくる有名店のチョコレートが東京のデパートに並ぶ時代で、ヨーロッパのチョコレートを口にする機会が増えたとはいえ、19世紀から続く歴史は、飛行機で運べるものではありませんものね。あるべき場所にあってこその華やいだ重みが店内に満ちていました。本来“高いはずの敷き居”が観光客に踏みつぶされた有名ブランド店よりも、地元のゲストを対象にして息づいているこんな店にわたしはときめきを感じてしまいます。
 ショーケース内のチョコレートに単価表示はありません。お気に入りのフレーバーをひとつ、ふたつと選んだ結果のトータルの重さで値段が決まります。といっても、わたしたちは観光客! お馴染みさんではありませんから、スタッフは(選びやすい)箱入りのものをいくつか紹介してくれました。
 左と左上のイメージは昨年取り寄せたもので、好みのフレーバーだけの詰め合わせですが、あらかじめパッキングされたものだと500グラム入りのこの箱以上の大きさで、ほぼ全ての種類が楽しめます。250グラム入り、125グラム入りの小さいサイズでは、キャラメルやナッツ使いのハードフレーバーの詰め合わせ、プラリネやクリームフィリングのソフトフレーバの詰め合わせ、ハードとソフトのミックスなど、需要に応じて様々なパッキングが用意されていました。
 イギリスのチョコレートなんてね...と言っていたことも忘れて、いろんなサイズの詰め合わせを購入しました。
 30数種類のフレーバーの詰め合わせとは別に丸い箱入りの“シャンパントリュフ”も購入。お土産分を含めても十分な量でしたけど、こういう時にわたしは、非日常にもう一歩踏み込みたくなるんですね。
 つまり、ショーケースの中のチョコレートを選んで買いたくなったのでした。チョコの量り売りは、日本では体験できませんものね。自分の語学力を正しく判断している主人は面倒な買い物は避ける理性が働くようですけど、わたしは興味の前には理性もくだけるタイプです。
 見た目はもちろん、ラベルの名前だけでは味のイメージが掴めないチョコレートの中から、ナッツ風味はイヤ、コーヒーや紅茶のクリームは好き、バニラはオッケー、ミントはひとつだけ、ジンジャーは...という具合に希望を伝えて、お薦めを聞いて
10数粒のチョコレートを簡易箱に詰めてもらいました。こうして選んだチョコレートは、贈り物用に、バラの模様の箱やビロードを思わせる蓋付きのケ−スなどにも詰め合わせてもらえるようです。

 右のアップは、プレーンチョコレートと呼ばれるもので、上のミルクチョコレートよりも甘味は控えめです。当時、店で買ったものはこのプレーンタイプのものでした。
 チョコレートの型というものがあるらしく、バラの花付き、栗の形のものなど、ベルギーやローマで同じ外観のものが売られています。ただ、シャボネールの栗の形の中味はコーヒークリーム! 買う時には聞き間違いかなと思いましたが....やわらかなコーヒークリーム入りの“Truffle Cafe”は、我が家のお気に入りベスト5のひとつになりました。

 店のスタッフのお薦めが“イングリッシュ・ローズクリーム”と“イングリッシュ・ヴァイオレットクリーム”のフレーバー(左イメージ)で、薄いピンクと紫のクリームが綺麗なチョコです。花の香りがかなり強いので、おいしいとは感じられない方いるかと思いますが、イギリスではポピュラーなフレーバーのようで、後になってハロッズやフォートナム・メイソンでも同様のものを見かけました。
 今のところ、日本では珍しい味なので、イギリス土産のチョコとしては最適品かもしれませんね。(名前からしてイングリッシュ....)いくつかの例外はありそうですけど、シャボネール・エ・ウォーカーのチョコレートはいろいろなフィリングをハードタイプのチョコで包んだという仕上がりで、型崩れもなく日持ちもします。

 ただ、感動の“お買い物体験”からしばらくして、主人が気になる情報を仕入れて来ました。
 フランス人(チョコにこだわるフランス人と限定して考えた方が無難でしょうか...。)によると、カカオの含有率が少ないイギリスのチョコレートはチョコレ−トと認められないとか....。シャボネール・エ・ウォーカーのチョコレートを堪能していたわたしたちは、カカオが少なくてもおいしけりゃいいじゃないと、ひそかにイギリスを擁護していたものですが、実はこの店のチョコレートは、その昔にシャボネール婦人がパリからレシピを持ち帰って作ったものだと分かりました。
 王室御用達の店を紹介するテレビ番組の中で登場したこの店のスタッフは、御自慢のフレーバを説明する際に、必ずカカオの含有率を付け加えていました。“いわゆる、一般的なイギリスのチョコレートとは別のもの”という定義付けも店のスタッフから語られたもので(イギリスの一般的なチョコレートが気になりますが)この店のチョコレートはフランスでもチョコレートと名乗ることが可能なアイテムということになりそうです。
 
 でも、実際にはパリのチョコレートとよく似ているという印象はありません。
 最近では、パリから直輸入されたチョコレートが日本で味わえるようになってきましたけど、フルーツのクリームやバニラやコーヒーのファジ(fudge、黒砂糖、ミルク、バター入りお菓子の一種)を味わうには、ロンドンのシャボネール・エ・ウォーカーへ、ということになりそうですね。

 興味はあるけど、ロンドンに行く予定はないという方は、メ−ルオ−ダー編をご覧くださいね。

                                            02/10/10 
 

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