どうする?
ストラップの修理見積もり2万円超

 かなり前の話になりますが..デザインに惹かれて近づいたらカルティエのバッグだったというのが、わたし自身が購入した、いわゆる初ブランドバッグだったんじゃないかと思いますが...気に入って買ったのですからブランドかどうかはどうでもいい話しながら、これが修理となると、大変でした。 
 
そもそも壊れたのはパリの地下鉄乗り場でバーに引っ掛けてしまって、ストラップの金具が壊れただけ...でしたが、海外でストラップがなく斜めがけできないのは不便だし...そこにブティックもあったので、直してもらおうと...。受付を済ませて待つことしばし、呼ばれてパーティションで仕切られた個室仕様のスペースでスタッフと向き合い、見せたのは取り付け金具が外れたストラップベルト...。『診断』後金具の取り替えとの処置が決まり『入院期間』約一週間と告げられました。いえ、そのあとロンドン経由で帰国が決まっていましたから、明日には『退院』させてもらわないと...事情を告げると、日本までの発送も可能だとの話でしたが、都内(当時は東京近郊に在住)の直営ブティックに持っていけば、パリからの送料もかからないしとの説明になり、結局ストラップ修理は帰国後なりました。
 
  確かに送料はかかりませんでしたが、銀座のブティックに持ち込んだストラップはパリに送られ金具がとりかえられ、銀座に送り返されて...3ヶ月...だったでしょうか。金具交換は5千円....だったと記憶しています。可愛らしいネル袋に納まって戻ってきましたけど、街の修理やさんで金具を両方とも(壊れていない方も)交換でよかったかもと思ったものです。街の修理やさんが受けてくれたかどうかは...別の話ですが...。
  割と最近、主人が義父からもらったカルティエのメガネフレームの鼻パットが取れたので直してもらおうとしたところ、ブランドの壁がむしろ邪魔で....。自宅、PC用なので、使えればそれでいいというこちらの意図は意図として、代理店契約が終了したという眼鏡店でブテェックに持っていくことを勧められ、宝飾売り場の奥で、(またもや)パリに送るとの『診断』がなされ、送るためにレンズを外して....と、大事になりかかりました。 結局代理店契約計測中のメガネ店を教えてもらい、持ち込みましたが、純正部品のストックは本国にもなく、修理不可。(パリ送りにしなくてよかった〜) 、同じような形態のパッドに取り替えてしまうという次案に、我が家は躊躇なく乗りましたが、その際も、純正部品以外に取り替えると、もう、ブランドの価値は...とかなり念を押されました。
 
 カルテェと言ったって、国内メーカーから販売されているライセンスものと思っていた私たちには、面倒な『こだわり』でしたっけ。
   
 右上イメージが約5000円で金具を取り替えてもらったバッグストラップ、左イメージが、パリ送りにならずに国内で鼻パッドの付け替えが行われたメガネフレーム。次からのメンテはカルティエブランドでは通用しなくなるのかな...(ただ、撮影中に、鼻パッドにもカルティエ ロゴがついてるのに気がつきました。フレーム本体、取り替え可能な部品、全てにマーク付き...。)

 高いか、安いか(あるいは面倒か)はともかく、それでもブランドは持ち込み先がわかっている安心感がありました...が、最近になって悩まされたのが、ビアンキ・エ・ナルディのオーストリッチのポシェット...。


 購入にまつわるエピソードは既出なのでここでは省きますが、長いものではもう20年...愛用アイテムです、当初の期待通りに、革は艶をおび、柔らかさをまして、使い勝手は時とともに上昇。 流石に日焼け等の影響で色の退色は避けられなかったものの、それも内側と比較しての話で、本体は外も内も“傷み”の類の劣化とは無縁ですぎました....が、少し前から、ストラップの折れが気になりだしたんですね。革が切れているとか、裂けているとかではなく、見た目めは格別な問題はなく、でも特定の箇所で折れるわけです。中芯の問題のように思えました。折れる箇所にはとくに負荷がかかるので、革のダメージにも繋がりそう...早い内にできるものなら修理(中芯取り替え)したほうがいいだろうということになったものの、購入店に送る選択は最初からありません。(以前にふたの留め具が外れた時に、地方百貨店のバッグショップに相談したところ、フレンツェに送って直してもらうことを強く勧められたものでした。オーストリッチですし〜とかいわれて...。色も特殊ですし...。)
 昨今は、ちょっとしたショッピングセンターにもリペアコーナーがあったりしますが...、ここは、やぱり大手百貨店の“看板”に頼ることにして、梅田の百貨店のバック売り場のフロアにあるリペアコーナーに3本のストラプを持ち込みました。

 改めてチェックしてみると、中芯の状態に難ありそうなのが他にも2本あったんですよね。
 受付スタッフの『診断』も中芯の折れでした。 修理は可能だけれど、高額になる....おそらく万の単位になるのではと言われましたが、じゃ、やめますとは...言えません。とにかく、気にせずに使える状態に治るなら多少の出費は仕方がないという気分で、見積もりを待ちました。

 
 数日後、見積もりの結果、修理代金は一本、21600円という連絡がありました。
 糸を解いて解体して、中芯を全面的に交換するとのことで.....どうしますかと問われました。その価格ならやめるというのも十分アリということだったのでしょう。悩ましい価格でしたけど、諦めることができませんでした。
 なにしろ、店でいうところのスモールバッグ...ポシェットですから、ストラップは必須アイテムなんです。室内で特定の時間にハンドバッグとして使うことはあっても、基本は斜めがけ....ストラップがなくては使用の機会も激減するじゃありませんか。
 日本国内で販売されていた価格を考えれば、無茶な修理代金ではないというのは主人の感想でしたが、代金の妥当性はあとまわしに、わたしは、即答で正式に修理依頼をかけました。
 
3週間ほどのちに、戻されてきたのが上のイメージです。
 糸目は一つ一つ元の針穴に通され、再縫合を思わせる痕もなく、側面もちゃん蝋引きで仕上げられて、修理とはとても思えない、まるで傷んだストラップを買い換えた気分にさせられるほどの仕上がりが、見事の一言でした。
 取り出された中芯は(イメージを残さすそ処分してもらったのはちょっと後悔)ところどころに亀裂が...どころの話ではなくポロポロのパラパラ...もはや中芯の役割は放棄して久しいかも...という状態で、芯の質がよくなかったとみるか、革の質がよくて長持ちしている結果とみるべきかはともかく、縫い代ひとつをとっても余裕のない革を、本当によくここまで再生してもらえたと感じ入りました。
 こののちの20年を思えば、修理代金を高いとは言えなくなりそうです。

 もっとも、再会時の感激が落ち着くと、百貨店のリペアコーナーは『窓口』にすぎないわけで、今回お世話になったに違いない腕のある職人さんに直接依頼するすべに乏しい不自由さを残念にも感じました。
 ただ、少し経って、別の百貨店で見かけたリペアショップで、参考までにとオーストリッチ革のバッグストラップの中芯の交換費用を聞いたところ、オーストリッチの革はとりあつかえない、牛革の型押し等で新たに作るしか..という回答を得、(窓口ではなく、実際にショップのスタッフが 作業も担っている様子のところでした。)改めて、希望通りに修理がかなった喜びを噛みしめました。

                          18/07/17 

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