名は“風味”をあらわす
 鳥取産いちご『とっておき』!

 遡ること20数年前、たまたま口にした苺の味が忘れられず、しかも記憶の中で美味しさは増大して、数年間探し求めて入手に漕ぎ着けたももいちごの感激レポートは、おいししいもので既出ですが、実はこの縁、長くは続きませんでした。
 
 京都大阪あたりで、再会したももいちごが入手できるようになってからのち、ももいちご生産農家の中でも一部しか生産していないと言われて登場したさくらももいちごが、予想外の勢いでのびたせいで、ももいちごの取り扱いが激減していったんですね。
  .....今日はないね、から、最近見かけないねになり、ももいちご=さくらももいちごの扱いに危機感を自覚した頃には、手立てなく、我が家の執着は置き去りになりました。

 さくらももいちごに不足があるわけではないものの、二つ並んでいたらももいちごを選ぶ我が家としてはさくらももいちごへの食指が少しづつ鈍くなり、ももいちごがない状態でのさくらももいちごへの執着は続かなくなりました。...価格差ほど(他品種と)味の差はある?....と。
 その頃に丸い形状に、桃苺を連想して購入してみたがさぬきひめです。化粧箱いりのつぶそろいでしたが、お値段が(さくらももいちご化粧箱の)ほぼ半分で、しかも食味はむしろ(さくらももいちごより)好みとなれば、ありがたくも、迷いはありませんよね。我が家はごくレアな例外をのぞいてさぬきひめ一筋になりました。

 ただ、わたしの印象で言えば数年前からでしょうか、さぬきひめの取り扱い店舗が増えてきました。 
 あ、さぬきひめがある!と驚くことなんどか...ももいちごとは逆パターンで、どこででも目にする非常にポピュラーな品種に落ち着いてきたのです。同時に(特定のスーパーで購入していた)化粧箱の入荷頻度が下がりました。
 プラスティック容器 2段詰めが主流になり、店によっては化粧箱と比べると相当な小粒パックが普通に並んでいたりもします。生産量が順調に増えたのでしょうけど、「味が違う」と感じる粒に当たることもあって、幾度かの失敗から、さぬきひめは姿形と風味が比例することを学びました。
 一昨年からは、『ひめ一筋』路線をみなおし、いちご売り場では視野を広げ、さぬきひめがおいしそうに見えない時は他の品種にも手をのばすようになりました。
 
 馴染みのない品種名がふえていることにおどろきつつ、第二のももいちごやさぬきひめ発見の期待も少なからずの、積極的アプローチです。

 
  かおり野(遭遇頻度低くイメージなし)はしっかり目の果肉に、強い香気がクセなりそうでしたし、恋みのり(上イメージ左側2枚)はコロンとした形状と白い果肉がももいちご似(個人の感想!)ですが、共に個体差が課題に思えます。大当たりは時々、あたりが平均的としたら、たまに普通なものも出回ってます。まだ大ハズレには遭遇してないので、安価な優等品種に思えます。
 安価ではないまりひめ(上イメージ右側)は、一時期さぬきひめの化粧箱が安定して取り扱われていた店でよく見かけますが、尖った細長い形状は(我が家の好みとは)違う気がして、ついこの間まで、さぬきひめが不作(?)の時も、他の店での恋みのりの入荷に期待して、手を出さずにいた品種です。
 
 そのまりひめ購入のきっかけとなったのが、上部と下イメージのとっておき。
 鳥取産の新品種です。

 名前を見たのは2022年3月半ばだったでしょうか。
 とっておきと書かれたラベルに関西では**の**店のみの取り扱いとの説明が書かれていましたが、それらしき商品は見当たりませんでした。ラベルの横にふたつの平詰みイチゴのパッケージをみたのがそれから2週間後でした。ラベルだけを見た後、ラベルもない時を2度経ての現物です! これきりかもとの危機感でふたつとも購入しました。(下イメージ)
  ただ、大粒もあるけど、普通粒(?)もある平詰みで、それなのに『高いまりひめ』と同じ価格だったので....この時、まりひめも連れ帰ったのでした。 気合を入れて買ってきた初品種がハズレだった場合の保険みたいなものですね。

 まさかの大ハズレはないにしても、価格に見合うかどうかは....微妙に思えてしまう普通の見栄えだったんですよね。
 果肉は白系でしょうか。形状同様に個体差がありましたが、 強い甘みは共通していて、一粒のハズレもありませんでした。しかも割としっかりと詰んだ果肉なのに、切り口から水滴のように出てくる果汁の多さが、濃い風味を爽やかにととのえて、食味を何重にもグレードアップしている感じでした。
 久々に「これは!おいしい!」という、新品種! 
 見た目でだけでは、わからないものですね。希少性を謳うラベルと強気のお値段にカモになってよかったです。
 
 もう少し、粒を揃えられないものか...と思わないと言えば嘘になりますけど、でも、とっておきの真骨頂は味ですもん。余白に詰め込んだような小粒ちゃんも (一番上のイメージ。2回目の購入)もしっかりおいしいので、バラつきは不問にしましょう。(綺麗に揃った化粧箱バージョンが出てきたらうれしいけど、価格が不安よ。)
 4月中旬、ここだけの取り扱いというスーパーから、とっておきのラベルはなくなり、それきり再登場の気配もありません。おししい旬の時期は12月下旬から3月中旬とのこと。

 今季の出会いがちょっと遅かった(スーパーの取り扱いが遅かった)んですね。

 来季、旬の真只中での再会が待ち遠しいです。

                                   22/04/23 

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