瀬戸ジャイアンツ超えのインパクト
  その名も『富士の輝
      

 

 葡萄といえば...の連想では『巨峰』か『マスカット(オブアレキサンドリア)』その巨峰よりはピオーネに消費が 傾き、『マスカット』は朝のフルーツに常用するには贅沢品の位置付けにあったころ、我が家は『瀬戸ジャイアンツ』に出会いました。 
 既出のレポートを見返すと、日付は2004年、18年前の出会いですね。当時は、希少品種っぽくて、翌年も口にすることが叶うかどうがが“問題”だったりもしましたが、実はその後はしばらく、季節になれば店頭に並ぶ定番品種になって、あっという間に、我が家の葡萄の消費品種のトップになりました。
 今現在も、最も好んで食している品種には違いないんですが、ただ、しばらくののち、いつからか、店頭のスペースの割合を『シャインマスカット』に侵食されて、『瀬戸ジャイアンツ』はポピュラーになり損ねた感があります。新品種でもないのに、なんとなく“珍しい品種”の扱いになっちゃって、ここ数年はシーズンになっても、スンナリでてこなかったり、選ぶほどの個数がなかったりと、供給が不安定化してきています。
 買うつもりだった『瀬戸ジャイアンツ』がないから 葡萄はなし!というほどの潔さはない我が家としては、結果、他の品種に手を出す機会が増えました。
 大粒の種無しや皮ごと食べられるという品種も珍しくなくなくなって..安定供給の『シャインマスカット』も、たまに見かける『マスカットジパング(下イメージ右側2枚)』も、朝食の葡萄の季節のフルーツのラインナップに収まりつつあります。赤系では『クインニーナ』、今季は『クインルージュ』も入手しやすくなりました。

  上イメージ左側2枚は、『クールビューティ』という品種。淡い黄緑色のドロップ形状の粒は果皮がうすく、甘味も強く、でも“濃厚”というより後味爽やかな秀品でした。ただ細い蔓が果実を支える力不足といいましょうか。房は自立が難しく、たおやかにしなり、果実も落ちやすいのが残念なポイント。美しく繊細な見た目にひかれずにはいられない...とはいえ、その繊細さゆえ、店頭に並ぶことに期待を抱けないレア品種です。
 右下イメージは『クインルージュ』。

 どの品種もハズレなく、食味に不足はありませんが、ただ、かつての、『瀬戸ジャイアンツ』を口にした時のようなインパクトは、なかったです。
  18年前ならそれぞれに、たとえば『クインニーナ』にとりこまれて..となっていたかもしれませんけど、糖度もボリュームも十分なレベルの品種が並んでいる現状で、特定の品種を探し歩く必要はないのかもしれません。

 18年に及ぶ贔屓目で『瀬戸ジャイアンツ』は代替えが効かないとと今も感じてはいますが、それも、確かに言えるのは化粧箱入りのもの。時と場合によっては、特色がぼやけた『瀬戸ジャイアンツ』より、他の品種の方がおいしいかも...と、いう状況も出てきました。
 
 そんななかで、ついに『瀬戸ジャイアンツ』超えのインパクトヲ背負って現れたのが、『富士の輝』。
 お馴染みの品種が並ぶコーナーとは少し離れて、棚に3パックだけ置かれていた大房の黒系葡萄です。これまで聞いたことのない品種名で、商品説明も“種ない、皮ごとOK”というだけで、「なにもの?」という感じで眺めたところ、凸凹とした果実がわたしの中で『瀬戸ジャイアンツ』と結びついちゃいまして...ラベルの品種名の下に“別名ブラックシャインマスカット”と書かれているにもかかわらず、『瀬戸ジャイアンツ』の色違いみたいだとの理由で食指を動かしました。
 果皮の色むらや、果実の凸凹の有無が品種の完成形なのか、どうかはわかりませんでしたけど、粒が揃った大粒の品種が並ぶ中で、目立つ要素は十分でした。
 透明感のある果皮は、 色むらもグラデーション効果で、美しく見えたくらいで、これが単色の形の揃った大粒葡萄だったら、素通りしていた可能性も大きいんですよね。
 いちいち引っかかっていたら、懐も胃袋も壊れること必至なくらいに、食べたことのない品種はあふれてますもんね。
 『富士の輝』の、企画外みたいなパワフル感に惹かれての“おもちかえり”でした。

 で、 甘味もパワフルでした。
 果肉はギシッと詰まって、ごく薄い果皮との密着度が高く、口の中で果皮の主張を感じることもありませんでした。
 カットしたイメージでは、空洞もあるし、はちきれんばかりの...と表現しにくい気になりますけど、実態は“濃い甘味をギュウギュウに閉じ込めた、はちきれんばかりの果肉が果皮を押し上げて、果皮と一体化したような果実”でした。
 エネルギッシュな果実は、『シャインマスカット』よりも『瀬戸ジャイアンツ』でしょうというのは、『瀬戸ジャイナンツ』を追いやる『シャインマスカット』の構図がストレスになっている我が家の勝手な言い分ですが、『富士の輝』は『シャインマスカット』と『ウインク』の掛け合わせだそうで、『瀬戸ジャイアンツ』とは繋がりは、なさそうです。(雰囲気は似てるのに)
 凸凹...ではなくハート形の果実は、『ウィンク』の親の『ルーベルマスカット』の特徴のようで、果皮の明るめの茶色や艶も、『ルーベルマスカット』譲りな感じです。

 ただ、『富士の輝』のキーワード検索で表示される画像では、果皮が黒に近い単色のものや果実の凸凹が目立たないものもあって、“姿”にはバラつきがあるように思えます。
 今季我が家が手にできた現物は4房、同じ店で3回、ネットショップからの取り寄せで1回、4房ともが“艶のある濃淡混在色”のやんちゃな形状(右イメージの房が初回購入、上は4回目購入のもの。) だったので、他品種とみまがうことのない魅力ととらえていましたけど、どうなのでしょうね。
 来季も我が家はこの姿に再会したい...。

                                 22/11/10 

リストに戻る