画面のレイアウトが乱れる方へ

 ローマ、フィレンツェ、ヴェニスを12日間の急ぎ足で見て参りました。
観光名所やお勧めスポットなどは、美しい写真と共に多くのガイドブックで詳しい紹介を見ることができますから、ココで観光ガイド的な旅行記を展開することには、あまり意味を見出せません。
 たとえば、コロッセオの迫力を説明して、それを見たわたしの感想を伝えることよりも、駅前で剣士の衣装を付けたおじさんと一緒に写真を撮ってから、請求された金額が果たして妥当なものだったのかどうか、いつまでも悩んだというようなエピソードを中心に進めていくつもりです。         
                           01/01/16  


   

 ヴェニスの1日目

 ヴェニスの1日目は実質数時間....。
 フィレンツェから列車で到着したあと、水上タクシーでホテルの運河側のエントランスから入りましたが、チェックインの手続後、部屋の準備ができるまで、20分程待たされました。
 大型ホテルで、混雑もしていたのでしょうけど、このクラスのホテルで、待たされたのは初めてです。到着予想時間はあらかじめ知らせてありましたし、第一、チェックインタイムに数分前の到着で、しかも実際に部屋に案内されたのは、チェックイン可能なはずの時間を過ぎていましたから、マイナスポイントひとつ、という感じでした。
 この、ロスタイムのせいばかりではありませんが、荷解きもそこそこにホテルを出ようとした時には、無情の雨...。傘は持っていましたが、濡らしたくないわたしたちは、コンセルジュで傘を借りました。この時にも若干待たされました。傘は部屋の数だけは用意されていないようです。
 外はすでに薄暗く、なかなか風情のある様子になっていましたが、この日にまず済ませたかったのが、ローマとフィレンツェで買ったもののVAT返金の手続きでした。VATの返金を請け負う会社はふたつ(か、あるいはそれ以上)あるようですが、その内の1社は、サン・マルコ広場の近くに事務所を構えていて、そこで現金による返金が受けられるというのです。全てではないにしろ、この手続きを済ませることで、空港での時間節約になると思ったわたしたちは、それまで買ったものをひとつのバッグに詰め込んで、“ダニエリマーク”の傘をさして出かけました。
 目指す事務所は、さほど迷うことなく見つかりましたが、ここで自分達がちょっとした勘違いをしていたことがわかりました。品物と手続き用紙を見せて、日本円で返金を受け取ることまでは予定通りでしたが、空港での手続きをも省く為には、品物をそこから発送しなければならないのです。そうでなければ、空港で、品物を見せて証明印をもらうという作業からは解放されないのですね。発送してしまえば身体は楽なのですが、なにかとトラブルが多いと噂のイタリアの郵便事情が気になって、お任せすることはできませんでした。
 貴重な時間を費やした割には、結果に大きな違いがなくて...とこの時は思いましたが、帰国後、VATの返金が100パーセント保証されているわけではない事実に直面して、返金の先渡し制度を評価する気分になりました。(マルペンサ空港、ドタバタ劇参照)  
 品物を置きに一旦ホテルに戻ったわたしたちは、傘を回収されそうになるところを、「すぐまた、出かけるから。」と強気の抵抗。回りには、傘待ちらしきゲストが少なくなくて.....ここで渡しちゃったら、次の行動に支障がでるような気がしたのです。
「フォ−シ−ズンズは、部屋に備え付けであったよね〜。」と傘不足に対して、マイナスポイントふたつめ。もっとも、このマイナスポイントは、傘がない為に足止めされていた他のゲストの心境を察したもので、わたしたち自身はこの後すぐに、ライトアップされたサン・マルコ寺院やイルミネーションに包まれたサン・マルコ広場にみとれました。雨はもう、傘が必要なほどではなくなっていて、夜の広場をクリアに映し出す恵みに思えるくらいでした。
 圧倒されるような迫力のかわりに、優美さを醸し出すサン・マルコ寺院の外観が印象的で(実はキンキラの内部も凄かった...。)ビザンティン様式とか東方文化の影響とかのガイド本の説明文は、こういうことだったのかと、気分もスッキリ! ...のはずが、ここで“?”マークが炸裂してしまいました。

 これ、教会だよね?
 どうして、寺院っていうんだろ? そういえば、サン・ピエトロも寺院って言ったっけ? でも、フィレンツのドゥオモは大聖堂だし、サンタ・マリア・ノヴェッラは教会だったよね。ど〜して、呼び名が違うわけ? あ〜、そんなこと言ったら、(ウィーンの)シュテファン寺院も寺院だし、ノートルダムは....なんだっただろ?
 いままで、どうして?と、思わなかった事さえ不思議!

 結果的に“?”マークが飽和状態になって、思考能力が停止。乱舞する疑問はすべて棚に上げてしまいました。一期一会になるかもしれない景観を前にしては、知性よりも感性がものをいうのですね。
 季節が季節なので、「旅情」で見たように広場にカフェテーブルは並んでいませんが、天井のイルミネーションにも目を奪われる回廊(左下)には、 店内ではなく外でお茶を飲むゲスト(冬でもいるのでしょうか?)の為にいくつかテーブルが出されていました。有名な「カフェ・フローリアン」は、店内に空き席はありましたけど....外から見ても白っぽい空気が気になって、入りませんでした。イタリアは、わりとどこでも喫煙が自由な感じですね。
 
 時間に余裕がなくて、レ−ス編みのブラーノ島には渡れないわたしたちは、ガイド本の案内を信じて、ココなら大丈夫という「イエズルム」で小物を数点購入。最近では土産物として、アジア産のレースが多いとか....。そうと知って買うのなら、アジアのレースでもいいわけですけど、今回はやはり“本場”に執着しました。
 店の構えや品物を見比べたら、そう簡単に勘違いすることもない、と思いましたが、お値段は本当に店によって様々でした。ショッピングガイドにも載っていなかった小さな店をサン・マルコ広場の回廊添いに見つけて、ディスプレイのクロスの美しさに寄せられて入店。思わず買ってしまいました。もったいなくて、いまだに使えないのは、毎度お馴染みの結果ですけど.....。 

 
 ところで、一旦棚上げにした呼び名の違いに対する“?”マークは、帰国してからも時にムズムズと動き出すので、イタリア語での呼び名をチェックしてみました。
 すると、サン・マルコサン・ピエトロも、フィレンツェのドゥオモも、教会をあらわすChiesaではなくBasillicaという単語が使われているのですね。Basillicaは古代ローマでは公会堂を意味したとかで、Basillica様式の教会という言い方もあるようです。
 ふ〜ん、BAsillicaを大聖堂と訳すのが一般的なのかな....とおもいきや、手許の本をめくっただけでも、サン・マルコ寺院サン・マルコ教会サン・マルコ大聖堂もでてきて....解決編はありませんでした。

                                          02/02/02 

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