画面のレイアウトが乱れる方へ


                 

 2009年6月下旬、9月連休にルスツリゾートで遊んできました。
 数度の利用から10数年の時をあけての今、ルスツ再訪に踏み切ったのは、トマムの引力が弱まったからです。残念な事態ですが、ゴルフやスキーを楽しみながら快適に過ごせるエリアの探索が急務となりました。ルスツを選択したのは、過去の経緯で少なからずトマムとの関わりがあったからで、ルスツに多少なりとものトマムらしさを期待して...というのが正直なところです。
  レポートは、ですから、かつて、ルスツではなくトマムを選んできたわたしの価値観が大きく反映されています。参考資料として利用される際は、その旨ご理解の上、他者の見解や評価を併せてご覧になることをお勧めします。




     

施設とスタッフ&サービス
 
 初めて、そしてその後の数回、我家がルスツを訪れたのは札幌在住時代でした。
 バブル経済は、通説によれば終わっていたのかもしれませんが、不景気がもたらすニュースに驚かされるのはまだ先のことで、変化の兆しにも気づいていなかった時期です。
  記憶に間違いが無ければ、トマムが建設会社と資金関係のトラブルを起こしていることが明るみになった頃ですが、当時はそれも一過性のトラブルとして語られていた気がします。リゾートとしてもイメージダウンは小さくはなかったのでしょうけど、直後に立ち上がったクリスマス企画や苫鵡の達人の配布などがスタッフとの距離を縮めた感じで、我家のトマムへの愛着がなおいっそう強まったのもこの頃だったかもしれません。

 そんな頃にルスツを訪れたのは、札幌在中のメリットを活かすためとでもいいましょうか。AかBかではなく、行けるうちにBも行ってみようかというノリですね。ルスツまでは日帰りも余裕で...という距離でしたから、利用しているご近所さんや、薦めてくれる知人もいました。ただ、共通の感想は「楽しい」「おもしろい」という言葉につきて、日帰り、あるいは一泊で充分(堪能できる)というもので、利用の前後に関わらず、我家も当時は、リソートというよりもテーマパーク(宿泊施設付き大規模レジャー施設)に近いと感じていました。
 スタッフは快活で、サービスにもそつはありませんでしたけど、名前が記憶に残るほどの個性は表れず、人材の魅力は大きくはなかったです。つまり、※※さんに会いたいから、※※さんがいるなら.....と、今なおトマムのオールドファンが言うような関わりは生まれにくかったと、わたしは思っています。ルスツのスタッフではなく、加森観光のスタッフが当番で(ルスツで)働いている感じ..といえば、わかりやすいでしょうか?
 トマム好きからすれば、再び...の足は遠のく状況ですね。
 
 それでも数回(近さが後押しして)我家は、ルスツでゴルフを楽しみました。コースは手入れが行き届いていましたし、すでにカート乗り入れがOKだったのも嬉しいポイントでした。
 メゾネットタイプのルスツタワーのゆったりとした客室は開放的で、洗い場付きの(客室の)お風や清潔感溢れる大浴場も魅力でした。館内店舗の多さも、そのレイアウトも、トマムにはない雰囲気で、それなりに興味を惹かれたものでした。
 そして10数年振り....、スタッフに迎え入れられて館内への第一歩は、経年を感じさせる劣化が目に付かないことへの感動の幕開けでした。
 

  
 スタッフとサービスについては、今回の利用体験は、ルスツのスタンダードを語る根拠には不十分だと考えます。
 混み合っていない時期でしたし、 トマムでお世話になって、あるいは見知っていたスタッフと言葉をかわす機会があった等の特殊事項を無視することはできません。それゆえ不確定要素の多いサービスについては特定の項目を設けていません。具体例の記述を施設説明と併記し、憶測での判断は控えるよう意識しました。
 だたし、 実感の言及は避けていません。
 ご覧頂いた内容を参考になさる際は、わたしの価値観、利用背景をご理解頂くことが前提です。



客室(ルスツタワー)

 左イメージが、ルスツタワー客室内1階のリビングスペースです。ベッドルームと、客室出入り口は2階にあって、階段の横、ソファとテーブルのあるあたりまでが吹き抜けになっています。解放感もインパクトも申し分なしですが、ど〜して下に出入り口を作ってくれなかったのかという思いは、以前も今回もかわらず.....いえ、ついうっかり(ルームキーを忘れたなどという..)の回数は確実に増えて、しなくてもいい階段の上り下りも増えた分だけ、強まってしまいました。

 部屋に案内してくれた女性スタッフは、わたしたちが発送したトランクや持参したカートを階下におろしてくれようとしましたが(断りました).....階段はスタッフにとっても手強いアイテムですね。
 ただ、おろした荷物は必ず上げなければなりません。 ボストンバッグやキャリー程度ならともかく、トランクの類は出入り口からフラットアクセス内に置くのがお勧めです。踊り場、ベッドルーム内、荷物を拡げたり詰めたりするスペースは充分にありますし、それに、考えれば下で使うものは案外少なくてすむものなんですよね。お風呂場、洗面所で使うものと雑貨とおやつくらい....。靴は踊り場、着替えは...大半はベッドルームのクローゼットに置きました。
 右下イメージが、その踊り場から階下を見たものです。
 うっかり撮影を忘れてしまいましたが、二人用のベッドルームは階下とほぼ同じ奥行きと半分の幅があります。ベッドふたつと間にナイトテーブルのほか、小振りながらデスクとテレビが備わっています。クローゼットは奥行きがなく服を立てではなく横に吊るす仕様ですが、奥に吊るしたものが取りにくいこと以外に、不自由はありません

 セーフティボックスは、階下のロッカー内に暗証番号対応のものが置かれてましたが...底のないボックスを床の上に置いて固定した造りで、しかも開閉は上ではなく前扉.....正直なところ、これが唯一、「ああぁ〜もう!」と眉をひそめたくなる仕様でした。
 床に座って、身体を横に傾けて、なお頭を下げて操作して、扉を開ければ床が見える....。
  貴重品入れなんですよねぇ.....。
  何がどうして困るという話ではありませんが、大事な物を直接床に置くことには、抵抗を感じるべきだと思います。使いにくい位置に設置されたことよりも(経緯は知りませんが、出来たものは仕方がない)そのことのほうが気になりました。
 トレイを置くなり、シートなどで床面をカバーするなりのオプションは、利用者への配慮さえあれば難しいことではない...となると、そうなっていないことが残念ですね。

 が、室内の快適さは、階段の苦行にもクローゼットの中の残念にも勝ります。
 ガレリアに馴染んでしまうと広さに対しては感覚が鈍くなりますが、カウンターキッチン設備と、洗い場付きのバスルームは、もっともっとアピールしてもいいのに?と思うポイントです。キッチンは、我家も初利用時に知っていましたから、それなりに(当時は)アピールされたのかもしれませんが....。
 冷蔵庫、コンパクトな食器入れ、 シンクの下を開ければ、洗い桶と洗剤一式が用意されています。
 電磁調理器が安全性を理由に使用不可なのは相変わらずですが(左イメージ、カップ付きインスタントコーヒーが並んでいる部分。設置すべきではなかったんでしょうね...。)良くも悪くも目と鼻の先にコンビニも2店舗待機中だけに、連泊すると意外に重宝するスペースになりそうです。カウンターもストレスのない高さで、ちょっと時間を過ごしてみたくなります。
 
  セカンドハウス的な感覚でリラックス出来る室内は、淡い色調にもかかわらず、目立った汚れや傷みが無く、大変綺麗な状態でした。
  備品もテーブルの木目のわずかなすれが使用感を匂わせる程度で、壁紙やソファのファブリックなどのコンディションのよさには感心させられました。
 計画的に手が入れられてきたのか、最近大規模リメイク行われたのか ....いずれにしても、この安定感は、所有者が代わることなく時を重ねてきたモノ達特有のものなのかもしれませんね。
 ベッドルームもリビングも、テレビは地上デジタル対応の薄型液晶が完備されて、わたしの古い記憶の中では当時のことは定かではないものの、トイレにも当然のようにシャワー付き便座が取り付けられています。
 
 付帯施設の多いノース&サウスウィングではなくタワーを選ぶ最も大きな理由であるバスルームは、スッキリし過ぎた感はあるものの、フックの位置、石鹸置きのくぼみ、滑りにくい洗面器など使い勝手の良さが光ります。
 同じ部屋にあるセーフティボックスに、取ってつけたような違和感覚えるのは、つまりは、その他の部分に行き届いた配慮を感じるからなんでしょうね。
 ちなみに、セーフティボックスはフロントにもあるので、滞在中に出し入れの必要がないか、あっても頻度の低いものは、そちらを利用するのも一案です。

 ところで、 踊り場から見たリビングのイメージで、一人用ソファの位置が変わっているのがお分かりになると思いますが、これは、実は2日目の午後のイメージです。
 ゴルフを終えて戻ってきて、客室の清掃が終わっていたのに、ソファが自分たちが動かしたままの状態にあったので、一息ついたところでシャッターを切りました。(テーブルの上は一息ついた痕跡、戻ってきた時はもちろん片付いていました。)なぜって、窪山哲雄氏の著書にある言葉を思い出したからです。
 正確には(ひもといて、チェックしました。)氏が、かつて岡田吉三郎から聞かれたお話で、 ホテルの真髄に迫る言葉として反芻していらっしゃるという....。

 例えば、連泊しているゲストの部屋の椅子が定位置からずれていたとしたら、客室係はその椅子を定位置に戻してはいけない。ゲストはその位置が使い易くて移動させたのだから、絶対に戻してはいけない.....という内容のお話です。
 ゲストの立場ではあまり意識していなかったことでしたが、言われてみれば、100% 心酔してしまうお言葉ではありませんか。
 
 あるべきものをあるべき位置に、元の状態に戻す方が作業の効率はいいし、清掃の効果は目に見え易いものです。
 戻ってみたら、室内が使用前の状態に整えられていたからと、気分を害するゲストはおそらくはいないでしょう。
  ただ、使わないのでまとめて棚の上に置いた浴衣が、毎日キチンと目につく位置に置かれ直されていることに苦笑した覚えが、わたしはあります。
  どうあっても使わせたいのかな〜?などと冗談を言ってられるのは浴衣だからで、よっこらしょと動かしたソファがスンナリもとに戻されてれば....くつろぎバロメーターもスタートラインに戻るかもしれません。実際、ソファーがそのままだったことで、リセットされなかった快適さは、1日よりも2日目、部屋に馴染むにつれ増した気がします。
 面白いもので、こういうことがあると、留守の間に部屋の清掃をしてくれたスタッフにたいして、特別な感情を覚えます。ルスツで、この類の感じを抱けたのは、嬉しい発見でした。
 念のために言いますが、ソファは試験的に動かしたのではありませんよ。
 大きなテーブルを挟んで向かい合うよりも、横位置のほうが、話をするのも、資料を見るのも、分け合っておやつを食べるのにも便利なのです!
 前後しますが、今回わたしたちは到着後すぐに部屋への案内を受けました。
 荷解きをおえて、お茶でも飲みに行こうかという話になった頃に「あれ!今何時だっけ?」と、遅ればせながら気がついたのが、チェックインの時間まで(ずいぶんあったのに)待たされなかったという事実でした。

 平日で、すいていて、部屋の準備ができて たから...と納得してはいけません。トマムでは最初からあたりまえだったことでも、ルスツは違っていました。TDRのディズニーホテル並みに、チェックインタイムが守られていましたから....こちらも、その覚悟で、まずは荷物を預けてお昼を食べて、ショップ巡りで時間を潰す予定は立てていたのです。
 なのに...「ご案内します。」と言われた時に気がつかないかなあ...と自分でもあきれますが、ちょっとした言い訳はあるのです。

 チェックイン手続担当のフロントスタッフから「トマムでは...(利用を)ありがとうございました。」と話しかけられたことで、ルスツ到着直後に突然にトマムモードが稼働したと想像してください。
 面とむかって言葉をかわすのは、多分初めて(だと思います)のスタッフでしたけど、スポルトにいらしたとかで見知ってくれていたのでしょうね。宿泊者カードに記入しながら、10数年振りのルスツにいる違和感が一挙に薄れてしまった結果、事前の覚悟を綺麗さっぱり忘れていつもの行動パターンにはまったのでした。

 この現象は、滞在中何度か、特に(見知った相手に限らず)スタッフとの接点をきっかけにおこりました。
 窓から、道路を行き交うトラックやコンビニの看板をあえて眺めて、『違い』を意識しないと、長く通い慣れた場所と錯覚しそうになるのが、2009年6月のルスツだったのです。

 上イメージは到着後、散らかす前にと撮った一枚。(すでに散らかってますが...)
 時計の針は、13時40分。


                                        09/07/16 

 セーフティボックスについては2010年に勘違いが判明しました。
 修正コメントをご覧ください。

 

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