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 2009年、久しぶりに訪れたルスツが期待以上だった為に、ついにスキーシーズンも誘惑にかられました。
 場所的に、雪質はおそらくトマムほど素晴らしくは...ない。
 晴天率も、トマムほど高くはない。道内最大級を誇るルスツのゲレンデを、20数年馴染んできたトマム以上に楽しめるとは、思えない。
それでもルスツを選択したのは、かつてトマムを選んできたのと同じ理由からです。
 スキーをするのではなくスキーも出来る滞在を....ゲレンデ以外で、どれだけ快適に過ごせるかを思った時、迷いはふっきれました。

 



     

レストランと食事

 プロローグコメントをご一読ください。

 


ベルビュー (サウスウィング  4F)

  左イメージは、おなじみ、フレッシュフォアグラのポアレ、今回の付け合せは生ハムのソテーと地元ルスツ北欧農園のチリメンキャベツ。シードル酒風味とのことで、程よくパンチの残るソースは甘みもあって、わたしたちにとっての王道に位置する一品でした。
 ....同じようなのを食べたよ、とおっしゃる方がいるかもしれませんね。
 ルスツ冬期の公式HPでは、各店の料理の一部が紹介されていますが、ベルビューのコースには、フォアグラのポアレが組み込まれています。夕食券利用の場合は差額が必要になるコースですが、いわゆる冬期の定番メニューのひとつですね。
 フォアグラのポアレ、茸のスープ、鮮魚とタラバ蟹に、和牛のポアレ..とくれば、ラインナップとしては完璧ではありませんか。気がかりがあるとすれば、価格の安さと、そして、チーズのワゴンサービスも組み込まれたコースの全体量でした。価格は....立地の恩恵とスタッフの努力の賜物と理解して、チーズはいらないと思えばその場で断ればいいだけだし、案内を見るかぎり、夕食の事前調整は必要も無い感じがしました。
 この時点では未確認でしたが、実際には3種のコース以外に単品も充実していましたし、冬期のベルビューに関しては、席についてからメニューを見ながらの調整も、例えば夕食券コースのメインを単品の一品と差し替えるなどが可能な環境で、失礼ながら、またもや、加森観光らしからぬ....という驚きを意識してしまいました。

 加森観光がリゾートマネージメントを設立してトマムの運営を請け負うことになってからまもなく、夕食券は対応セットメニューのみにしか利用できなくなって、差額を払っての選択肢も(基本)なくなったのをリピーターは覚えていると思いますが、当時はいかにも“加森観光らしい合理主義”的変化だなどと分析しつつ、わたしも幾度かため息をついたものでした。オフ期のルスツやサホロでは、営業中のレストランでクローズ中の店のメニューもまかなうという、効率的な場所の使い方煮、興ざめもしました。 
 
食事内容が選択できるありがたさよりも、隣り合うテーブルにそれぞれ洋食と和食のコース料理が運ばれてくる雰囲気無視の環境が残念で、このシステムだけはトマムに持ち込まれることの無いようにと願わずにはいられなかったことを思い起こすと、ベルビューの定番メニューの『多さ』は、こういってはなんですが、ルスツの変化を象徴する一例かもしれませんね。

 話を戻しましょう。
 利用の予定がベルビューだけなら、あらかじめリクエストするべきポイントもないところでしたが、歓天の情報を得るために料飲事務のスタッフと話す機会があったので、ものはついでということで.....ベルビューの料理に触れてわたしが事前にお願いしたことは次の4つでした。
 チーズは不要、柿をあまり好まないのでフォアグラの付け合せを他の野菜か果物に、昨年の利用時よりも魚料理のボリュームを控えめに、メインは和牛のフィレ、またはサーロインで。
 昨年の料理を参考に、今季の公式HPで紹介されているコースを基本にしたもので、ソースの好みやスープの食材、食感に付いては今回は省きました。昨年頂いた料理はどれもおいしかったし、フォアグラの仕上がりもバッチリと我家好みでしたし、それに(HPで)紹介されているコースのスープも、あえてお願いするまでもなく植物素材(茸)でしたしね。ですから、今回、未知の部分は柿のかわりに何がつくか...というくらい...のはずでした。

 ところが、出発の数日前に歓天のそれとともに送信されてきたベルビューのコースには、1行目から見覚えの無い料理名が....。
【フィスタージュに詰めたタラバ蟹と法蓮草のソテークリスタソース(右上イメージ)】【フランスシャラン産骨付き鴨胸肉のロティ ルスツ野菜とシュー、北あかりのピューレシードル風味】【エゾ鹿 エビ 浅利貝のスープカルタパタ包み ポワソンのジュとバジル風味】
 あれ? フォアグラが...ない?
 肉料理にでも併せられたか...と思い、注意して見ましたけど、どうやら柿だけではなくフォアグラ自体が鴨のロティに差し替えられたようで....というだけでなく、完全にオリジナルのコースが提案されていたのでした。
 柿の代わりは...どころか、全ての料理が未知のものになったのですから、正直、驚きました。そこまでの“特別コー”は予定外でしたが、かといって折角の提案に対して(そもそもは)既存のメニューでいいんですが...とも言いにくいではありませんか。しばし思案して、でも、やはり鴨よりはフォアグラが食べたいし、スープも茸素材のほうが無難(魚介類のスープは、重く感じるケースが多かったので)ということで、今度は提案されたオリジナルメニューを基本に、鴨のロティとスープの二品を、定番メニューコースのフォアグラ(柿抜き)と茸のスープに差し替えを、お願いしました。

 料飲事務のスタッフには、こちらが定番コースを念頭に話していることは伝わっていましたから、提案メニューに対するわたしの戸惑いにも、理解を示してくれたように思います。
 手間をとらせた提案メニューよりも、既存の料理に執着するのは、それなりに抵抗もありましたが「そうおっしゃってましたものね。」という言葉は、ありがたかったです。
 なのに、(事務スタッフにも意図は伝わっているのに)どうして....という疑問は、当日シェフにお会いして解消されました。
 
 シェフは、昨年2度の利用で2度ともフォアグラのポアレを食べているわたしの“場合”を気遣ってくださったようです。今回はなるべく傾向の異なる料理をと考えての(メニューの)提案だったと伺い、恐縮しました。
 頂きたくないモノを伝えただけで、頂きたい料理を具体的に指定しなかったわたしのリクエストミスでした.....。昨年、6月の利用時には、苦手な食材、好まない食感、好物の素材、ソースの傾向、必ず食べたい料理なども伝えたことに比べると、わずか3度目にして、なんだか、わたしは安心しちゃったんですね。

 シェフにもスタッフにも余分な手間をかけさせてしまいましたし、こちらも、戸惑うことがありましたが、前回までの利用時と料理が重ならない配慮の基に新たなコースが提案されるという事態に遭遇したのは、わたしたちにはいい経験でした。
 結果として、こちらの期待を上回るホスピタリティーが、ルスツに根付いていることを実感させられました。

 ページ内イメージは当日のコース料理。
 上から
 【フォアグラのポアレシードル種風味と生ハムのソテー 地元ルスツ北欧農園チリメンキャベツ】 【フィスタージュに詰めた、タラバ蟹と法蓮草のソテー クリスタッセソース(提案メニュー)】【茸のスープ海老、レモン、タイムの薫りセルフィユ飾り】【ナスと黒オーリーブのペーストを乗せた、黒ゾイのポアレ 青リンゴ風味のトマトソース (提案メニュー)】【シャンパン風味のグラニデ(イメージなし)】
【和牛アントルコートのパン包み焼き ねずの実入りマスタードソースと西洋根セロリのチップと森の香りの付け合せ】
 デザートは【豆乳のアイスクリームとキャラメルのババロア
・洋梨のムースの二重奏 季節のフルーツ添え】【小菓子とチョコレートとコーヒー(イメージなし)】【ホテル特製バケットとフォンデュパン(イメージなし)】

 量を思えば肉か魚、どちらか一つにすればいいのでしょうけど....どちらも捨てがたいので、完食しながらもまた、肉は3枚でも充分だったかもなどと、傍目には信憑性の無い感想を抱きました。どうもね...食べてしまうので、『多い』という事実が伝わりにくいかもしれません。
 でも、例えば、スープは浮き実が綺麗に盛られた器に、目の前で(スープ)が注がれるのがベルビューのスタイルのようで、「少なめに...。」というお願いはその場で可能なんですよね。浮き実が広がっていく様に気を取られる前に、次回は「少なめに...。」を試みようと思います。

 適量への模索は、リクエストだけでなく、自主性も加味して、もう少し続きそうです。
 それにしても、デザートがいつも3点盛りなのが、うれしい。

 誤解の無いように付け加えますが、ルスツでは現時点でレストランの予約は受け付けていません。
 リクエストはあくまで、料理の内容に関しての話で、入店までの状況が変わるわけではありません。幸い、わたしたちはこれまでベルビューでは待つこと無く案内を受けることが出来ていますが、例えば19時に行ったら、混雑していて30分待ちだったという事態が起こらないとは言えません。
 でも、料理のリクエストをするということは、『その日その店を利用するという約束』をしたわけで、当日の様子で待ち時間が少ない、あるいは少なそうな別の店へ利用を切り替えることは、あたりまえですが....できません。こんなに待つくらいなら...という事態に置かれたとしても、待つ以外の選択はないんですね。
 利用時間の予約が出来ない状況での利用の約束は、そういうデメリット発生の可能性も付いてきます。
 重視するポイントはひとそれぞれ、自身の価値感に添った利用の仕方を各自でご判断くださいね。

 
 

                                          10/03/07 

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