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紅茶、雑談、雑知識 スペシャルレポート


 マリアージュフェレールがオートクチュールと名付けた逸品茶を発表した2015年秋、パリ観光の合間に利用した全てのティーサロンで、あたりまえのように鉄瓶が使われていました。 ショップでもサロンでも紅茶はお茶のカテゴリーにひとつ、緑茶や白茶を扱っていない店を探す方画難しい時代になりました。仏語のTHEは広義のお茶、を紅茶と訳す時代は終わった気がします。
         
                     2016年01月15日              
 


  
 
    


 マリアージュ・フレールとの出会いは1992年...早ふた昔が過ぎ去りました。

 はじめは、“ものすごくいい香り”のボレロやマルコポーロ、オリジナルのミックスフレーバードティーに一騒ぎしたものの、何と言っても我家の日常に影響を与えたのは、季節別、農園別のダージリンシリーズでしたっけ。
 トワイニングのダージリン、フォートナムのダージリン、ダージリンの違いはメーカーの違いと思って茶葉を選んでいた時代に、マリアージュとの出会いで“目からうろこ”続きのお茶の話は、紅茶への興味を高め、我家の日常に紅茶を定着させることになりました。経緯はマリアージュ・フレールとレピシエの不思議な関係で既出なのでさておき、それも、今は昔の話に...。
 当時は本当に珍しかった農園別,収穫季節別の茶葉は、今は紅茶ブームの過程で開業した店のみならず、既存のメーカーでも取り扱われるようになりました。価格(...はいつの間にか余り変わらなくなりましたが...)や買い易さなどから、例えば、春摘みのピュッタボンにマリアージュブランドは必須項目ではなくなりつつあります。それなのに、マリアージュ・フレール以降に出会って、既に疎遠になった店はいくつもあることを思うと、自分の、マリアージュ・フレールへの執着を自覚せざるをえません。

 
 春摘みアイテムは定番で取り扱いながらも、新茶という概念での販売は、代理店時代のマリアージュ・フレールから始まったと考えますが、いち早く入荷するダージリンの新茶の銘柄が、他店では見かけない茶園になってからどのくらい経つでしょうか? 
 専売、あるいは専売に近いアイテムの存在は、切り難い縁をいっそう強めて、あげく旅先にパリを選択する理由の一つにさえなっています。

 そんなおり、渡仏前にチェックした公式HPで、紹介されていた新シリースが目に留まりました。
 DARJEELING HAUTE COUTURE...ダージリンのオートクチュールシリーズです。マリアージュ・フレールと関係の深い農園とのコラボレーションで生まれた完全受注生産の限定茶の登場です。

 10月上旬のパリ観光では...春摘み新茶はよりどりみどりとはいかないだろうし、秋摘みは入荷しているかどうかという時期でしたが、オートクチュールシリース初年度となれば、春も秋もあとまわし!
 ブレンドではなく単一の農園茶葉の、いわゆる一点もの!
アンブーシア茶園産のダージリンは、アンブーシアではなくダージリン・グレイスと名付けられ、オリジナルの主張もバッチリです。

 以前は日本の方が多いじゃないのと言っていた店舗も、パリ市内に増えて、マリアージュ・フレールはパリブランドとして拡がりも怠りないようです。
 
 ただ、ルーブルに続いてエッフェル店..観光スポットへの出店で、土産店イメージのお手軽さと乱混雑はちょっとね...というわけで、マリアージュ・フレールでしか味わえない茶葉をもとめて、我家が今回最初に立ち寄ったのは、リヴゴーシュ店でした。
 2年前同様,相変わらずマリアージュのオリジナルポットよりも鉄瓶が目立つ店内で対応してくれたのは、日本語は話さない東洋人スタッフでした。レジコーナーでも同じく....。
 スタッフは愛想よく、丁寧で、わたしが比較して迷ったあげく選ばなかった茶葉を、味見にと少し分けてくれたり、リヴゴーシュ店には未入荷だったダージリングレイスのストックの有無を他店に問い合わせてくれたり、良くしてくれましたが、そのスカーレットグレイスをもとめて立ち寄った店でも、あ?日本人?と一瞬思いきや、日本語は判りませんのスタッフと向き合うことになり、マリアージュ・フレールの顧客に変化の波が押し寄せているらしいことを感じました。

 リヴゴーシュ店サロンでのアフタヌーンティーの料理も重箱入り仕様での提供でした。(左イメージ)
 東洋趣味...と言っていいのかどうか...。ただ、紅茶専門店ではなくお茶の専門店らしく、東洋色は濃くなってきたように思います。
 今回、10月に新茶として紹介されていたオートクチュールシリーズでも、白茶が2種ラインナップに組み込まれていましたが、白茶、黄茶、青茶、緑茶(日本産緑茶のカテゴリーが別枠で有り)、主は紅茶とはいえ、マリアージュで取り扱う東洋のお茶の充実ぶりは顕著でした。

 そう思って見ると、紅茶だけを扱う店の方が珍しい時代なのかも知れませんね。
 紅茶もウーロン茶も緑茶も茶葉は同じ、製造 (発酵 )の違いと言うのも今はもう周知のこととなれば、紅茶のある店で緑茶もあるのが普通ということでしょうか。

 滞在中に利用したボワシエのサロンでも店のオリジナルブレンドだと勧められたのは、緑茶ベースのフレーバードティーでしたし...ホテルの近くで見つけた店も、紅茶と言うよりお茶の専門店そのままの雰囲気でした。

 様子見がてら店に入ってみると、奥が喫茶スペースになっていたので、お茶にすることにしました。
 こちらの好みを伝えて、勧められたのは紅茶ではなくタイ(多分)のウーロン茶でした。茶葉はポットに残さず引き上げて提供されると言うので、主人は安心のアールグレイをオーダー。
 スコーン(クロテッドではなく生クリーム付き)は3個単位だとのことで、一つだけオーダーしたところ、とりわけ皿とカトラリーが二人分、ちゃんと用意されました。
 ポットはここでも鉄瓶が使われていました。冷めにくく、取り扱いしやすいので、長く重宝しているアイテムとのことでした。

 面白いなと思ったのは、引き上げた茶葉を持ってこられたとことでした。(右イメージ)
 一瞬、え?茶殻もたべるの?と驚きましたけど、この茶葉を使いましたということだったようで....ポットの中のお茶の素性を証すアイテムでした。
 手前がわたしが頂いたウーロン茶の茶殻です。
  もともとかなり青みの強い茶葉でしたが、葉っぱが開いた茶殻は緑茶に近い感じになっていました。イメージでは色が分かりにくと思いますが、奥は紅茶(アールグレイ)の茶殻です。

 お茶のオーダー時に茶葉を見せれくれる店は増えた気がしますが、茶殻までは...初めてだったかも...。
 茶葉引き上げが大前提で行われるサービズ(?)ですね。
 マリアージュ・フレールで言うところのフランス流と同義かどうかは何とも言えませんが、英国の紅茶文化とは全く異なった茶文化がパリで浸透しているように思えます。

 使用後の茶葉にもこだわりを示した店は、CANNON...観音と読める(正しくはキャノン?)のが、偶然なのか必然なのか...なかなかに話題提供が豊富だった店内には、当然、緑茶、ウーロン茶も多く取り扱われていました。

 ついでに言えば、宿泊したホテルで使われていた“THE”は、PALAIS DES THESのモノで、客室には紅茶と緑茶が同分量用意されていました。


「Caffe or The?」ときかれて “テ”を選んだら、紅茶か緑茶かウーロン茶かetc....と聞かれる時代になりました。
             

                                2016年01月15日