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 3年前、5年前、それよりももっと前.....以前にアルファリゾートトマムでいい時間を過ごした経験をお持ちになっていて、 今度、久しぶりにまた、トマムで遊んでみようかと考えていらっしゃる方を対象にしています。
 トマムは初めて...と言う方は本編「アルファリゾートトマムで快適に遊ぶ為に」と合わせて御覧ください。

 
おことわり
 コメントは、数多いゲストの内のひとりとしての見解です。
 これまでわたし自身が見聞きし、経験したことを根拠に発言していますが、トマムは運営体制を含めて、この数年、流動的でした。当サイトのトマム情報をご利用になる時には、多少の変化があることを前提にとお願いして来ましたが、2005年10月を堺に、ここで提供して来た情報の大半が有益なものではなくなります。新たな運営会社は、自社の価値観に基づいて、新たなトマムを構築するようです。

 バックナンバーマークの付いたページのトマム情報は、2005年10月以前の『在りし日のトマム』の記録として,ご覧ください。


                                   05/11/21(改稿) 
      

 ヴィズ、10年今昔物語   バックナンバー            リストに戻る

 “スキ−場にプ−ルは当たり前。水着を持ってスキーに行こう。”
 秋が終わりに近付くと書店の棚を賑わすスキ−場ガイドに、そんな文字が踊っていた頃、ヴィズはトマムの西エリアにオープンしました。
 ウチに残っているパンフレットでは91年12月13日にオープンとなっていますが、これらのパンフレットは(当然ながら)すべてイラストでの案内で、実際にこの日にオープンしたのかどうかは確認できるものはありません。ただ、明けて92年の冬にわたしは覚悟を決めて、何年振りかで水着を身につけましたし、翌93年度のスキーパンフレットにはその全容が写真で紹介されていますから、満を持しての華々しいヴィズのデビューも、もうひと昔前の話になりましたね。今は懐かしき、バブル経済が様々な幻を見させてくれていた時分です。着々と進行中だったはずのヴィズ第二期計画は、残念ながら泡の彼方のようですけど、ヴィズが幻ではなくて、本当によかった...。
 
 天候、季節の影響を受けないヴィズは、“通年型山岳リゾート・トマム”の名に、実を与えるプロジェクトですから、待ち望んでいたのはゲストばかりではなかったようです。着工以前、計画の段階の内に、スタッフからヴィズの概要を知らされて、期待を大きくしたゲストも多いでしょうね。トマムでだけではなく、ヴィズの事前情報は雑誌等でも紹介されました。あるホテル関係の月刊誌では、当時の責任者が銀行関係の方(確認したいのですが、本が、すぐに出るところにはありません。)と対談されている記事が掲載されていて、オ−プン間近のヴィズへの自信も伝わってきました。
 ヴィズの入場料が5000円に決まりそうだと知ったのは、この対談記事が最初で、ひぇ〜と思ったものの、都内のホテルのちょっとしたプールだって3000円なのだからという話を聞いて、妙に納得してしまいました。
 実際には、スキーパックにはヴィズ券が付いていたり、割り引き制度があったりしましたから、ヴィズ入り口の自動発券機で、5000円の入場券を購入したゲストがいるのかどうかは疑問ですが、尋常ならざるスケールの大きさに圧倒された後は、知人が「プールに5000円は高いから、入ってこなかった。」と言うのを聞くと、単なるプールじゃないのに、説明を見てないのかなあ、と“認識不足”の知人に余計な同情をしたものです。
 もちろん、5000円は安くはありません。入場すれば金額に見合う以上のものに出会って、ゲストは満足できたはずですが、例えば、スキーのついでに、すごそうだけど実態の掴めないドアの向こうに対して、躊躇なく払える金額ではないかもしれませんね。(我が家は、事前情報で相当にあおられていて...期待が破裂寸前だったのです。躊躇する、理性もありませんでした。)だから、という理由だけではないかもしれませんが、数年後、ヴィズの入場料は値下げになって、割引券等を使えば、都内のホテルのちょっとしたプールなみの料金になりました。
 ところが、大歓迎したのも束の間で、まもなく、タオル、バスローブの貸し出しが入場料金から切り離されてしまいました。同じ条件でヴィズを楽しもうと思うと、800円のレンタル料(タオル、バスローブセット)が加算されますから、必要経費は4600円....。強気の初代入場料と比べると、確かに安くはなっていますね。ただ、リネン類が有料になったことで、ヴィズの雰囲気はガラリとかわりました。
 黙っていても提供されるものではなく、有料となれば、借りないゲストも出て来ますよね。タオルは持参すれば、問題はありません。でも、あたりまえとも言えるゲスト選択の結果、プールサイドのあちこちで目にする様々なタオル類は、残念ながら、ヴィズからある種の美しさを奪ったような気がします。
 ヴィズという器の中で、レベルもデザインも統一されていたリネン類の自由化は、“ウォーターリラクゼーション”をコンセプトにした水辺のリゾートに、日常がなだれ込む結果になって残念です。もちろん、リゾ−トであれ、海外であれ、無駄な支出を抑えるのは責められる心理ではありませんね。残念というのは、自宅のバスタオルを持ち込むゲストの行動そのものではなくて、トマムが提供しようとしたものが、不景気の風に晒されて、評価されない贅沢になってしまったことでしょうか...。



 下のイメージはオ−プン間もない頃(おそらく92年の冬)のヴィズをエントランスホールから撮ったものですが、分かりにくいと思うので、プールサイドの一部分をトマムのパンフレットから借りて来ました。(右)

 デッキチェアのマットはかなり前になくなりました。
 くつろぐゲストの頭上にはためくのは、ラフィングハートのカラフルなフラッグ! ヴィズのロゴマークとして、Tシャツやコップ、灰皿などにプリントされて、今はなきヴィズの売店を、豊かな表情で飾っていたのを記憶されている方も多いでしょうね。
 行く度に色褪せていくフラッグが、いつ新しくなるかと思っていたら、ある日突然撤去されてしまったようです。
 ヴィズでキティちゃんのバスタオルを見た時以上に、ショックでした。ロゴとしての使用期間は10年でお終い、だったのでしょうか?

 ヴィズで目にすることはなくなったラフィングハートですが、ガレリア
 の客室には、いまでも版画が飾られています、
 3つの輪が見せてくれる、様々な感情は幾種類もありますが、代表的な4つがフラッグやTシャツに使われていました。
お気に入りのロゴだったので、過去形で話すのは、悲しいです。



 ヴィズは、言ってみれば(不況の)嵐の前夜に誕生した、良き時代の遺物です。
 嵐の直撃こそは免れたものの、長く続く悪天候の影響をもろに受けて、何かを加えるのではなく捨て続けた10年....ですね。
 ヴィズから姿を消したものは少なくありません。
 ラフィングハートのグッズがそろっていたロゴブティックヴィズに入場しなくても、プールの波を見ながらの軽食が楽しめたラウンジ、そして、洗練、上質の形容詞で紹介されたリラクゼーションコテージ...。
 600インチの大きさを誇るスクリーンやアウトドア・ジャクジースパ・コテージの550本のジェットノズルの一部は休眠状態です。(エステバスを、再開して欲しいのでした!)営業時間もどんどん短縮されて、2001年のスキーシーズンは、12時から19時30分という大胆なスケジュールにビックリさせられました。(チェックアウトの日、午前中にヴィズで遊んでいた方は気をつけてくださいね。ナイタ−の後も筋肉をほぐすことはできません!)年末年始には24時間営業も敢行していた時を思えば、淋しさも一際、です。
 現在よりも前を知るゲストにとっては、ヴィズの変わり様は、シビアな現実を見せつけられるようで、少し重いですね。
 
 もっとも、贅を尽くして生み出された建物や設備が変わったわけではありませんから、ヴィズはやはりめったに出会えない楽園には違いありません。
 利用を重ねると、慣れる度に感動が薄れて、サービスにアラが見えてしまうのは仕方がないとしても、ヴィズそのものへの評価は忘れたくはないものです。(忘れていたというより、最初に圧倒されて見過ごしていたことというべきでしょうか。)

 ヴィズの設計を手掛けたのは、米国カリフォルニア州に本拠を置く(Alpha Express1992 no8掲載情報)K・S・L・W社だそうですけど、この世界的に有名なプロフェッショナル集団について、わたしは何の知識もありません。が、手許のパンフレットには数名のスタッフの顔写真とコメントが掲載されています。よくぞ北海道の山奥に、これだけの(経歴を持つ)顔ぶれが集結したものだと、今頃になって感心してしまいます。

 当時、副社長の肩書きのLARRY P.STRICKER氏のコメントを紹介しておきましょうか。
 『リゾート施設の建築設計において大切にしているのは、訪れる人々が日常と違った経験ができる環境づくりです。今回の「VIZスパハウス」では建物を見せることを主眼に置くのではなく、トマムの自然と調和した開放感を強調しました。光と水と音がゆらぐエレガントな空間。機能性と洗練性を兼ね備えたスケール感。このコンセプトを実現させることができて満足しています。』
 いかがですか?

 氏が今のヴィズの利用のされ方の満足されるかどうかは別として、ヴィズがスキ−場にあるのは当たり前のプールとは別格だと言うことが、理解できますよね。

 例えば、外壁の70パーセントがガラス張りという建物のトップライトのガラス面は3層になっていて、冬はその間に0度の空気を送り込むことで、ガラス間の温度を一定に保っているそうです。外はマイナスふた桁、中は常夏の気温差にも曇ることがないガラスの工夫.....気がついてました?
 また、北海道の花、ハマナスが浮かび上がるロゴプールに敷き詰められた花をかたどるイタリア製のモザイクガラスタイルには、立体感を出す為に標準2センチ四方のタイルをなお細かく削る加工が施されたとか。(もっとも、このタイル、トマムの気温に対応できなかったのか、あっという間にポロポロはがれて、リペアが必要だったようです。)製作スタッフの情熱と、忍耐があって、ハマナスは開花したわけですね。
 そして、造波プール内の床や壁のタイルが(よくあるようにブルーではなく)白いのは、光があたると水を本来の水色に輝かせてくれる特色にこだわったからだとか。(ドイツ製だそうで...。)ヴィズの水の青さ、ロゴプールの幻想感、ガラス越しに見る雪景色の美しさ....ひとつひとつが計算とこだわりから生み出された、ココにしかないものです。
 この希有なプレゼントを、ゲストも、そしてトマムのスタッフも大事にして、次の10年を楽しめたらいいですね。
 (本音を言えば、すこし管理に不安があるの...。)
                                     
01/11/29 

補足

 『ヴィズ、10年今昔物語』をUPしてから、早くも3年と数ヶ月が経過。
 当然ながら、UP時とは異なる話もでてまいりました。

  途中経過は,機会があればまた別の時にということで、2005年、スキーシーズンのヴィズは、閉館が22時と、かなり遅くなりました。もっとも、トマム滞在計画(パンフレット)では,前年と変わらず20時閉館となってます。ご承知のように分割運営後初めてのスキーシーズンを迎えたトマムでは、パンフレット作成後にも“動き”があったと思われます。営業時間の拡大とともに、カフェテリアにも夕食に対応したメニューが登場しています。ヴィズで晩ご飯...なんて、昔(?)を思い出しますね。メニューも2005年は一新されているようなので、水着で食事もたまにはいいかもしれません。
 
 一時、調整中に故障中が目立っていたスパコテージの環境も改善されました。待望の
エステバスも再開、アウトドアジャクジーを除くすべてのアイテムが稼働開始。(2005年1月24日、ローリングバス調整中、パワージェットの一つ、故障中)これにともなって、スパハウスの3つのプログラムのガイドカードが登場しています。開業当時をご存知の方には懐かしいプログラムの復活ですね。シェイプアップ、アフタースポーツ、リラックス...ガイドにそってアイテムを回れば、一定の効果が期待できるというプログラムです。効果の程は....一向にシェイプアップができないわたしが「ある」とは言いにくいですけど、ガイドカードを参考にすることで、アイテムの所在が確認できますから、初めての方には便利なカードかと思います。(防水加工済み)
 要望があった、水着用の脱水機もローカーに置かれましたし、柱や天井にも手をいれられている様子が伺えるようになりました。

 ただ、ヴィズ配置のスタッフ数は徐々に減っているように思えます。
 リラクゼーションコテージをはじめ、ショップ、ラウンジ...クローズされた施設のあとには、サンテラスデッキだの、ゲームセンターだのと無人の スペースができました。そして、2005年、ついにリネンカウンターに幕が下ろされたようです。(ようです、という表現は、決定であって欲しくない気持ちの表れ!)

 従来は1階正面の受付で ロッカーカードを受け取った後、ゲストはリネンカウンターでカードを提示、バスローブやタオルのレンタルがあれば、ここで支払い、受け取りの手続きがおこなわれました。(それ以前は、入場カードの回収、無料貸し出しリネンの受け渡しがおこなわれていましたが、入場ゲートとカードは廃止、リネンは有料化)ところが、今回は受付でレンタルの有無を尋ねられました。リネンカウンターでお金を扱わなくなったのかと思いきや、現物(バスローブとタオル)も受付で渡されるではありませんか。返却はリネンカウンター前のかごに...ということでシェードが下ろされたリネンカウンター前には、業務用の大きな洗濯かごがひとつ置かれていました。
 必要な手続きが1度で終わるし、(リネンカウンターで)カードを見せたり、預けたりの煩わしさも無くなったと考えれば「便利になった。」と言うべきでしょうか? 確かにゲストに実害はありませんものね。

 でも、 リネンカウンターの閉鎖を、わたしは非常に残念に思います。
 今昔物語でも述べましたが、ヴィズは幾多のこだわりを持って生み出された希有なスペースです。状況が変化する中で、当初の こだわりを引きずるのは賢いとは言えないし、時代に対応して行く中では開業時のグレードの維持も難しいことは理解できますから、リラクゼーションコテージやショップが切り離されたときも,残念だけれど、仕方がないこととして受け入れました。そこは、利用するゲストが限られていましたから、言い換えれば,多くのゲストには影響のない閉鎖でしたものね。
 けれど、リネンカウンターは、すべてのゲストが等しく関わるヴィズのスタンダードに位置づけされていた設備、サービスなんですね。ここの閉鎖は、ヴィズの“標準” を削ったということ....グレードの低下どころの話ではありません。リネンカウンターの業務もこなすことになる受付からは、スマートさが失われるし...第一、他人が使ったリネンの汚れ物がゲストの目に晒されている状況は、悲しすぎます。
 これが、宿泊プラン等でヴィズ入場がフリーになった結果でしょうか。 だとしたら,安いプランを喜んではいられませんね。

 洗濯かごにバスローブを投げ込んでの帰り、受付の横を通り過ぎようとしたらロッカーカードの回収を求められて、わたしは焦りました。もう回収してくれるカウンターも無くなったと思って、バッグのどこかに放り込んでしまってましたから...。でも、入場手続きのゲストが並んでいても、横を通って退場するゲストに、ちゃんと声をかけられるのかしら?その内にカード回収箱が設置されたりして....。(ああ、許せない..。)

 捨てざるおえないこだわりと捨ててはいけないこだわりがごちゃ混ぜですね。ヴィズヴィズらしくあるための最低ラインが見失われそうな気がして、わたしは先が不安です。

                                     05/02/04