画面のレイアウトが乱れる方へ
ローマ、フィレンツェ、ヴェニスを12日間の急ぎ足で見て参りました。
観光名所やお勧めスポットなどは、美しい写真と共に多くのガイドブックで詳しい紹介を見ることができますから、ココで観光ガイド的な旅行記を展開することには、あまり意味を見出せません。
 たとえば、コロッセオの迫力を説明して、それを見たわたしの感想を伝えることよりも、駅前で剣士の衣装を付けたおじさんと一緒に写真を撮ってから、請求された金額が果たして妥当なものだったのかどうか、いつまでも悩んだというようなエピソードを中心に進めていくつもりです。         
                           01/01/16  





   

ホテルの感想

  エクセルシオール(ローマ)                    リージェンジー  ダニエリ

 実は出発が近づいた頃になって、エクセルシオールに宿泊した人の感想を読む機会がありました。ホテルの体験記として、ネット上で投稿されたものです。ところが、その評価がかなり低かったので、わたしたちは焦りました。投稿者が宿泊されたのは9月で、どうやら混雑する時期だったようですが、891000リラの部屋は、特に広いわけでもなく、古さが目立ち、調度品は壊れているものがあるうえに、コンセルジュの態度もよろしくなかったそうで...身分紹介の為に提出を求められたパスポートは、2時間経っても返却を拒否されて、不快な思いをしたとのこと。値段に見合う価値はないというのですね。
 ヨーロッパの冬は安いとはいえ、わたしたちが宿泊するのは、年末です。朝食付きにもかかわらず、投稿者よりも30万リラも安いプランで....しかも4泊目はタダなのです。予約を入れる時、あまりに安いので「大丈夫でしょうか?」と尋ねたところ、「狭い方のお部屋でも、十分な広さがありますから。」というお答えでしたけど、「十分に綺麗です。」とは言われていなかったことに思い当たりました。第一、部屋のタイプは(ネット上ではいろいろ書いてあるましたが、予約確認書では)おまかせ、となっているんです。
 まともに考えれば、期待はできないですね。「覚悟して行こ〜ぜ。」と主人。でも、この時より少し前、8年振りにいじわるランキングのローマの最新版が掲載されて、そこではエクセルシオールは前回の3位から2位に上がっていたというのに....。正しい選択だった、お得な買い物(?)だったと浮かれていた気分も、本音の投稿の前に脆くも崩れさりました。立て直しがきかないままのチェックインは、夜の10時をかなりまわってからでした。

 相手が誰であれ、パスポートを預けたままにするのはイヤなので、チェックインの際にはパスポートを見せてから、フロントにはコピーを渡しました。(こちらとしては返却を期待してもいなかったコピーは、翌日、コンセルジュを通じて戻って来ました。)
 案内された部屋が左のイメージです。
 部屋の位置としては、表通りとは反対側になりますが、ベッドルームとは別に引き戸で仕切られるリビングがある、角部屋でした。バスルームとトイレはそれぞれ独立していて、ミニバーと冷蔵庫が収められたキャビネットは、入り口の左手にある別の空間に鎮座していました。
「広〜い!」というのが第一印象でした。ただ、案内してくれたのはフロントスタッフではなく、トランクを運んでくれたベルスタッフで、彼からは室内の細かな説明はありませんでした。
 こちらも、時間が遅かったので早々に荷解きを始めてから、バスルームが大理石ではないことに気がつきました。「大理石、って書いてあったよ。」とわたし。「部屋はおまかせ、なんだから。」と大人の発言の主人。
その主人が灰皿を見つけて「禁煙ルームをリクエスト、とちゃうんかい?」と言いながら、窓をチェックすると
驚いたことに、窓の外側に緑色の板が下りてるんですね。いわゆる、穴蔵状態です。窓は、寝室とリビングにあって、どちらも外に出られるタイプでしたが、床から30センチぐらいの位置まで板で塞がれていたのでは、外に出るどころか、外も見えやしません。寝室の方は下までピッタリと板張りでした。
この状況に、主人もわたしも妙に納得しました。
 以前、パリのロティに正規料金の半額近い料金につられて予約を入れたところ、行ってみたら外壁の工事中で、スッポリと膜の中ということがあったのです。
 このくらいの「落とし穴」がなくては、リビング付きの部屋を、プランの金額で利用できるはずもありません。

 翌朝、少し寝坊したわたしたちは、工事音を耳にしました。やっぱりね、と言う感じです。とはいえ、夜は工事もしないでしょうし、音はわたしたちの部屋にだけ聞こえるものではありません。多少は、大きく聞こえる部屋かもしれませんが.....何しろ、4日目が無料なのですからね。穴蔵、といっても、観光に出ている昼間は関係のないことですし、夜は板がなくても暗いんですから.....。なにしろ、4泊目が無料....。(最終的にはここに行きつきます。)

 ところが、朝食後、外に出たわたしたちは、その緑色の板が表通りの窓にも張り付いている事に気が付きました。もちろん、そこに工事の気配はありません。見回すと、エクセルシオールだけではなく、まわりの建物にも
色や素材は違うものの、同様のものが窓を塞いでいます。中には半分程、上げられているものもありました。
もしかしたら、雨戸のような物で、動くのかもしれない....と思ったのはこの時です。


 部屋に戻って、窓の回りを見ると、カーテンの下にハンドルが隠れていました。ぐるぐる回すと、案の定、緑の板は上へ上へと吸い込まれていって、視界が開けました。窓の向こうに現れたのは、そこで焼肉パーティーができるくらいの広い、タイル模様のベランダでした。工事の気配は全くありませんでした。(でも、工事はわたしたちの部屋の右手で行われてはいたようです。最初の朝以来、音をきくこともありませんでしたが、本来、右手に通じるはずの廊下が塞がれていました。)


右、イメージ   旗の下がエクセルシオールのエントランスです。
  表通りに面した客室の窓にも、緑の板のシャッターが下ろされていました。
  エントランスの上の窓のシャッターが上げられているのが分かると思いま
  す。わたしたちの部屋は、最上階のクーポラの対角線上にあって、5階の
  屋根の部分がバルコニーになっていました。

 下、イメージ
  バルコニーに出て、部屋を撮ったものです。窓は2重窓でした。


遅いチェックインから一夜明けて、バルコニーに出ることができたわたしたちが、気を良くしたのは言うまでもありません。
 館内のチェックをしたところ、5階までは表通りにも客室があって、そちら側はドアもカード式に変わっていましたから、内装も新しくなっている可能性があります。が、6階の客室と各階の半分は、わたしたしの部屋と同じドアでした。リビング付きの部屋は、もちろん、スタンダードではありません。
 そこで、クローゼットの内側に貼られている、その部屋の正規料金を見ると190万リラと書かれていました。プランには朝食が付いている事を考えると、わたしたちは約4分の1の料金で宿泊していることになります。しかも、4日目は(朝ゴハンももらえるのに)無料!
 早い予約の特権だわ、と思いつつ、正直、チェックアウトまで
一抹の不安が残りました。キーと一緒に渡されたホテルカードには、料金は書かれていませんでしたしね。
決して、無くしてはいけないと、予約確認書をセイフティーボックスにしまったのも、190万リラの正規料金を知ってからです。(値札?も、もちろん、写真に収めました。)
 スタッフは皆、特に丁寧というわけではありませんでしたが、、感じは良かったですね。
 チェックアウトもスムーズで、4日目の料金は請求されませんでした。
 こちらから、リクエストするよりも前に、タクシーが必要か、トランクは預かったほうがいいのかと聞いてくるスタッフは、最後までいい印象を提供してくれました。
 いじわるランキング、第2位というのも頷けます。
 本音の投稿は、どんな事情だったのかはわかりません。ただ、事前の期待を捨てて行った為に初日の「穴蔵」ショック(勝手に誤解しただけでしたが..、)にもタフに対応できたのではと思います。
 我が家としては、十二分に価格に見合った、部屋であり、ホテルでした。
                                      01/02/06
                                          
 ※ いじわるランキングについては「ホテルを選ぶ」を御参照ください。

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