画面のレイアウトが乱れる方へ
ローマ、フィレンツェ、ヴェニスを12日間の急ぎ足で見て参りました。
観光名所やお勧めスポットなどは、美しい写真と共に多くのガイドブックで詳しい紹介を見ることができますから、ココで観光ガイド的な旅行記を展開することには、あまり意味を見出せません。
 たとえば、コロッセオの迫力を説明して、それを見たわたしの感想を伝えることよりも、駅前で剣士の衣装を付けたおじさんと一緒に写真を撮ってから、請求された金額が果たして妥当なものだったのかどうか、いつまでも悩んだというようなエピソードを中心に進めていくつもりです。         
                           01/01/16  



   

ホテルの感想

  ダニエリ(ヴェニス)                   エクセルシオール  リージェンシー

 旅行ガイドブックやホテルの紹介本でお馴染みの、ダニエリのロビ−階です。
イメージのまん中、階段に下に見えるのがフロン・トデスク。小さなスペースです。右にロビーが拡がり、手前にはフロントよりも重々しいコンセルジュ・デスクを挟んで、陸の玄関が、そして右手には運河に面した玄関があります。
 ヴェニスで高級という形容詞のつくホテルに泊まる場合は陸の玄関からは入るべからず、とハッキリと書いているホテルガイドがありますが、確かに、こちらの玄関には常にスタッフが待機して、という様子がありませんでした。何メ−トルも前からドアマンがゲストを見極めて、「お帰りなさい」の笑顔と共に回転扉を回してくれる、フォーシーズンズのような心遣いはありません。そういう点では格式の高さを誇るといわれるダニエリの、少なくともロビーは解放的で、宿泊客でなくても、世界遺産の建物の内部を見る為に立ち寄る観光客を拒む雰囲気はないような気がします。

 ちょっと、話が戻りますが、車の乗り入れが禁止されているヴェニス本土では、タクシーと言えば、水上タクシーですね。
 この、安くはないタクシーを利用して出入りするのが、運河側の玄関です。(右、イメージ)ゲストを迎えるホテルスタッフは、こちらの玄関万全の態勢で固めているようです。
 先に引用したホテルガイドが、陸の玄関から入るなかれ、という意味は運河に面した玄関を持つクラスのホテルで、お金を惜しむと、それなりのサービスしか受けられないよ、というアドヴァイスなのですが、サービスより何より、トランクを抱えて水上バスを利用する体力のないわたしたちは、タクシーで運河側の玄関に付きましたが、出発するゲストのタクシーが先に停泊していて、船着き場の手前で、少々待たされました。(止まっていると、船は遊園地のアトラクションのように揺れます。)
 部屋の準備が最終段階ということで、少し時間がかかりましたが、フロントのスタッフが案内された部屋には、船から降ろされた後で、どこかに消えたわたしたちのトランクが先に運び込まれていました。

 部屋からの眺めは、運河ではなく、ヴェニスの町並みです。運河が見えると、室料はひと桁違ってくるようですが、わたしたちが予約をした時点では(10ヵ月も前でしたけどね。)運河の見える部屋の空きはありませんでした。客室の広さは一般的なものでした。エクセルシオールが特別だったのでしょう。

バスルームは、決して広くはありませんが、壁面まで大理石に覆われていて質感がありました。ただ、後から付けたと思われるシャワー(固定式のものとは別に、バスタブの横に取り付けられているもの。下のイメージの中央。)の白いシャワーヘッドが 妙に軽くて、違和感がありました。あれば、便利なものでも雰囲気を壊すものって、確かにありますね。
 ちょっと、サイズが合わないかなと感じたのが、立派な洗面台で...。シンクに対して枠が大きくて、わたしの背丈ではシンクまでが遠かったです。洗面台の上から上半身がかぶさるような状態なら、問題がないのでしょうけど、踏み台が欲しかった...。

 スタッフはおおむね、フレンドリー、と言っていいのか....。
 実は、ホテルを選ぶでも触れましたが、当初はダニエルは我が家の宿泊ホテル候補からは外れていました。
 名門ホテルなのでしょうけど、日本からのツアーでダニエリに泊まるという企画あまりにも多いので、少し気になる部分があったのですね。つまり、器は格式ある名門ホテルのままでも、日本人に対しては、団体客のサービスになっているのではないかと...。
 誤解のないように付け加えれば、わたしはツア−客を軽んじているわけではありません。言葉や日程の制約があれば、ツアーの方が便利な場合は少なくないですし、わたし自身も、もちろん、ツアーに参加した経験があります。今後、利用することがあるかもしれません。ただ、ヨーロッパタイプのホテルの多くは、大勢の人間が同時に動きやすい造りにはなっていませんし、また、スタッフもスピードが要求されるサービスが得意とは言い難いのが事実ですよね。ツアーのゲストのケアは、そのツアーの添乗員にお任せになることが少なくないようです。それが、日常的に繰り返されるとサービスの姿勢に変化が現れることが、結構あるんじゃないかと思うのですね。
 ダニエリでも、出かけにキーを預ける際に目を合わせて言葉を交わせば、コンセルジュはわたしたちを呼び止めて、広げた地図の上で観光ガイドを展開してくれましたし、傘を貸して、と頼めばすぐに持ってきてはくれましたが、部屋に傘を取りに戻ろうかどうかと、立ち止まって思案している時に、どうかしたかと声をかけてくることはありませんでした。
 廊下などのパブリックスペースですれ違うスタッフが、積極的に挨拶をすることもありません。目が合って、こちらから「Buon giorno.」と言えば、人懐っこい笑顔と一緒にふたことみこと返ってくるのに、向こうからは話し掛けてこないんですね。
 求められれば十二分に応じる用意はあるけど、積極性に欠けるサービスの姿勢は、団体客を受け入れている内に備わったもののように思えてなりません。
 予想はしていた雰囲気でしたが、リージェンシーの後ということもあって、いくぶん感じるところがありました。
 面と向かい合った時のスタッフひとりひとりの印象は悪くないだけに、ホテル全体から漂うよそよそしさ(とでもいったらいいでしょうか...。)は、わたしたちにとっては残念でした。煩わしさがなくて、いいと思う方もいるかもしれませんね。
左のイメージは、あらかじめ客室に置かれていたもの。
 カードのメッセージは直筆でした。

 1日目の夜、ベッドカバーを外しに来たスタッフは、こちらがお断りすると(油断していて、ベッドカバーが見えなくなりそうなくらいに店開きをしていました。)、どこかからチョコレートを出してくれましたが、ウインク付きの「Buona notte!」は、明日のチップを余分に置いておこうと思わせるだけの効果がありました。

                     01/06/21 


         
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