角濱の「ごまどうふ」
わたしが高野山のごまどうふと言う時に頭に浮かんでいるのがしているのが、左のイメージのパッケージです。
思い起こせば、たぶんわたしが初めて食べたごまどうふが角濱のものでした。
長いこと、高野山のごまどうふはこれしかないと思い込んでいたせいで、高野山の文字がついていると、パッケージは違うけど同じものと解釈して、いろんな店のごまどうふを食べてきましたが....(さすがに数回の後には店が違うという事には気が付きましたけど、高野山の文字にはよく惑わされました。)この店のものの食感が、保存がきくものの中では一番好きです。
色は白く、限りなく柔らかいババロアを思いおこさせるような粘りが少しあります。
常温で保存して、冷水にさらしてから食卓に、というのがコツで、冷水を省くとベタついて喉ごしが悪くなりますし、冷やす為に冷蔵庫を活用すると、寒天化してしまうので注意が必要です。
冬期、我が家では台所の窓の近くに置いていたところ、温度が低すぎたと見えてデリケートな食感が失われて悲しい思いをしたことがあります。
保存適温は、人が快適と感じる温度、というところでしょうか。
高野山から遠く離れた地域でも、デパート等では見つけやすい商品です。
02/04/08 
麩嘉の「なま麩」
イメージは京都名物のひとつ、なま麩です。
おせちや和食のコースの炊き合わせなどで、季節感漂うアクセントとして登場することが多い、もちもちとした食感のもの、といえば、思い当たる方も多いでしょうね。昨今は京都でなくても手に入りやすくなりましたし、普段はともかく年末には千歳のスーパーでも冷凍の細工なま麩が並ぶ時代になりました。
子供の頃、見て美しく、食べて不思議な食感の“これ”が使われていると“本格的な京料理”のように感じた>なま麩を、わたしが、食材として買うようになったのは、結婚後しばらく経ってからのことです。デパートでチラッと見かけた細みの蒲鉾のようなもの(イメージ右上)と、花の形をしたおモチのようでおモチでないものとが、すぐには結びつきませんでした
当時、催事場での「京都展」などではいうまでもなく、大阪や京都のデパートでも、麩嘉のなま麩を見かけることはなくて、取り扱われていたのはもっぱら別の店のものばかりでした。もちろん、そうした店も京の老舗!
新米主婦の煮物を炊き合わせにグレードアップするお手軽手段として、その後の我が家にはよくなま麩が登場したものです。
そうなると、やはり気になるのが、折に触れては雑誌などで目にする麩嘉なのですね。
なま麩のトップブランドのような紹介のされ方に加えて、現物を目にすることができない状況によって、麩嘉信望者となったわたしは、数年後の帰省の折りに、住所をたよりにタクシーで本店に乗り付けたのでした。思い返すと、一般販売をしていた店ではなかったかもしれませんが....とにかくも初めてまみえた麩嘉のなま麩は、その弾力と艶が....それまでのものとは違っていました。
長年の執着が正しかったことを確信し、タクシー代と時間のかかった寄り道も報われた気分で、大満足だったのを覚えています。
...というのは、ず〜っと前の苦労話。
ありがたくも驚いたことに、今は一部のデパートでも麩嘉のなま麩を購入することができるようになりました。
左のイメージはJR京都伊勢丹で取り扱われていた、花麩(この季節は桜)とよもぎ麩ですが、見事な弾力をお伝えしたくて、ちょっと切り目を入れたよもぎ麩を持ち上げてみました。
つるりとした舌触りも、濡れたような表面から察していただけるでしょうか?
もともとなま麩はそれ事体に味のあるものではありませんから、(細工の美しさと)食感が勝負の食材ですが、わたしのアバウトな味付けや、手抜きの調理にも耐え抜いて、麩嘉のなま麩はその持ち味を維持し続けてくれます。
例えば煮炊きして味を含ませる場合、鍋の中でなま麩は一旦膨らみますが、麩嘉のものは形崩れをおこすことなく、綺麗にもとに戻ります。(出来上がってみれば、桜の花が皺だらけ、ということが珍しくなかったわたしとしては、期待通りの仕上がりがうれしい。)
もちろん、煮物に限らず、揚げても、簡単に炒めても独特の食感が楽しめます。
右はさっと煮立てた青紅葉の花麩を牛肉で巻いて炒めたもの(昔「京の料理」で紹介されていたレシピの手抜き版)ですが、皺は気にならないでしょ?
府庁前と錦市場にある直営店では、デパートよりも種類が多く、洋食素材になりそうなベーコン入りやバジル入りのなま麩もありました。もっとも、こちらは冷凍の状態で販売されていました。
やむを得ずの保存はは冷凍でとはいえ、再冷凍は不可....。最初から冷凍されている種類は、持ち帰るより冷凍での発送の相談をした方がよさそうですね。
京都伊勢丹以外では、京都高島屋、阪急百貨店の梅田、千里、川西店で取り扱われているようです。(マイナーであることにはかわりはないですね。)紀伊国屋全店と西武百貨店の池袋と渋谷店でも夏期を除いて販売されている様子です。
02/04/16 
香川産の「さぬきのめざめ」
北海道時代...もうかれこれ一昔前と言うことになりますが、アスパラは旬のハッキリした野菜でした。
季節を待って、店頭に出始めてから全く見かけなくなるまでの、決して長くはない期間に、我家は集中的に堪能したものです。
産地を問わなければ、それなりに1年を通じて購入は可能だったかもしれませんが、道内産が流通していない期間に見かけるのはほとんど輸入アスパラで、これは(当時)見た目も風味も相当に差がありましたしね。シーズンには道外への発送専用カウンターも設置される道内産アスパラは,名実ともに特産品。産地も期間も限られたものでした。
実際、北海道をはなれても、(流通時期には)北海道産アスパラも取り寄せ案内をいたるtこころで目にします。その一方で、意外に国産のアスパラも流通していることに気づかされ、しかも、何かで(生産量か、食味か....?)アスパラは香川県が全国1位だと聞いて驚いたものです。寒冷地に適した作物のはずなのに、何故に四国?と。
まあ、気温だけでいえば、調整も可能な時代ですし、そもそも香川の4月が北海道の6月よりも暑いわけじゃないし、香川県でアスパラが栽培されても構わないんですが、(それで言えば、九州産のアスパラも多い)南国四国とアスパラのイメージが結び付かなくて、ちょっと、聞いた当時は、信憑性を疑っちゃいました。国産のアスパラは確かに増えて、旬が延びた印象はありましたが、特に香川産が目につくという程でもありませんでしたしね。
それなら、 イヤでも目につくものを!と、香川県さんが気合いを入れられたかどうかは定かではありませんが、登場してきたではありませんが。めちゃくちゃ長いアスパラ、その名もさぬきのめざめ。
名称を知ったのは、契約している某百貨店系宅配カタログででしたが、そういえば、一昨年だったでしょうか、親戚の知り合いか、そのまた知り合いかで、ものすごく大きなアスパラを作っているという話を聞いたことがありましたっけ。それが、さぬきのめざめだったのかもしれませんね。
カタログ記載の紹介では、長さ40cm、通常のアスパラ(比較対象として写真つき)の直径が約1cmなのに対し2cmの太さ、にも関わらず、柔らかいということでした。で、1本単位での販売でした。
......アスパラガスの1本売り....昨今は苺の一粒売りもあるそうですが、いえ、胡瓜もネギも1本単位で売られてますから、騒ぐ話じゃないんでしょうけど、1本数百円の価格に、我家は騒ぎました。ひとしきり騒いだあとに、どれほど凄いんだろうと....興味がつきず、オーダーしたものが、上のイメージのアスパラです。(通常のアスパラが無かったので、とりあえず、割り箸を参考用に並べてみました。)残念なことに、半分に切られて届けられました。一袋に2本ずつ入ってたので、一瞬、オーダー数を間違えたかと思いましたが、40cm超の長さは宅配向きではないということでしょうね....。
カットされた上半分は繊維質も少なくサクッとした歯ごたえがさすがに...でした。
香りもつよく、味も濃い! ただ、下半分の3分の1くらいは、やはり、食味を損なう固い繊維が気になりました。主人はもう少しデリケートで、気にならないのは下半分の2分の1くらいまでという判断でした。おいしく食べられるのが30cmほど...としてもインパクトは充分なので、正直40cmはちょっと...がんばりすぎかもしれません。
宅配カタログ以外では見かけることなく、(我家には)初もの、さぬきのめざめを堪能するまでにいたりませんでしたが、讃岐ブランドの今後の流通が楽しみです。
11/05/18 
わらびの里の「筍木の芽和え」
関西(といっても京都、大阪近辺より他は想像の域をでませんが)在住の方にとっては、春になればどこでも見かける筍料理の定番、木の芽和えです。
季節限定のひと品ではありますけど、珍しいものではなく、懐石料理の店に限らず、お寿司屋でもとんかつの店でも単品メニューで登場するほどポピュラーなものですから、インスタントもどきのパックもの(右イメージ)よりもおいしい木の芽和えはたくさんあるとは思います。
でも、このパックの木の芽和え以上にありがたいものはないかもしれません。
常温(高温、多湿は避けて下さいね。)での保存が可能で、しかも、かなりの日持ちがするので(3月26日に購入したものの賞味期限は、5月9日でした。) 発送が可能なのです。
送ってもらってまで、わらびの里にこだわらなくても...と思ってはいけません。
一歩、関西の外に出ると、筍の木の芽和えは季節の限定品から幻の珍味になることがあるのです。
6年前の春、東京から列車で1時間強の地方都市に在住していたわたしは、筍の土佐煮はあるのに木の芽和えがないことに“あれ?”と思い、「木の芽和えはありませんか?」と尋ねて「それは、どんなものですか?」と聞き返された経験があります。最初の内は「いや〜ね、木の芽和えも知らないなんて。」と言っていたのが、「え?何ですか?」「土佐煮じゃないんですか?(全く違う!)」と、考えてもみなかった反応を見せられ続けて、驚きは不安に、不安は焦りに変わったものです。うかうかしてたら、季節が終わってしまう、ということで、都心に向かって捜索範囲を広げた結果、都内までの途中にあるデパートのひとつに出店していたわらびの里で入荷予定があるという返事をもらえたのでした。
入荷したら連絡をもらって、グラム数百円の木の芽和えを求める為に、それ以上の運賃を使って出かけましたっけ。
もちろん、その時はパックの製品などはなくて、「本日中にお召し上がりください。」の商品でしたから、買いだめもできず、季節の味は、年に1度か2度、食卓にあがれば御の字の珍味になってしまったのでした。こんな苦労は地方故で、銀座のデパートならよりどりみどりかというと、こちらもやはり、その気になって探さなくてはならないほど(当時は日本橋の三越で発見しました。)マイナーな存在だったのです。北海道では、行動範囲の中で唯一取り扱いがあった店が、デパートから撤退したあとは、年に一度の木の芽和えも断念するしかありませんでした。
イメージの商品は、京都市内のデパートで見つけて飛びついたものですが、期間限定の文字はあっても地域限定とは書かれていませんでした。もしかしたら、木の芽和えも全国進出の時期が来たのかもしれませんけど、正直なところ、札幌のデパートでパックといえども筍の木の芽和えが並んでいる様子は想像できません。
でも、全国どこにいても取り寄せができる嬉しい商品ですから、近くで見つからなくてもがっかりすることはありませんね。
パックは筍と木の芽味噌が別になっていて、自分であわせます。(左イメージ)
量り売りで買うものと比べると、木の芽味噌がなめらかな分、筍との絡み具合が物足りない気はしますし、若干水っぽい印象もありますが、味は合格点。便利さ、手軽さの付加価値がついた優秀な商品だと思います。
季節が過ぎて、店頭から筍の木の芽和えが消えてからも、しばらくは楽しめそうなのも嬉しいかぎりですね。
02/05/11
四国産の「アンコール」
艶のある濃いオレンジの皮が人目を引く、アンコール。
最近では早春のひととき、愛媛産のハウス物をデパートなどで見かけることも多くなりましたけど、どちらかと言えば、まだ知名度は低い部類の種かもしれません。
イメージのものは、香川産のもので、こちらはハウス栽培ではないようす。ただ、収穫敷が非常に短いのは、ハウス物とかわらないと見えて入手可能なのはゴールデンウィーク前後に限られる“季節もの”ですね。
初めてアンコールを知ったのは、10年以上前のことだったと思います。(もちろん、頂き物)時期的には、輸入オレンジがスーパーの店頭を賑わすようになってから、間もなく...だったと記憶しています。
安い、外国産オレンジの輸入で、国産みかんの存続を危ぶむ声も多い中で、誕生した新品種のひとつだったのかと思うのですが、ポンカンと何かをかけ合わされたものだと聞いています。
柑橘類の爽やかな香りに、甘味を期待させる芳香が加わって、アンコールの香りは独特です。はちきれんばかりの果肉は果汁も豊富です。
難点は、種の多さ、でしょうか。
薄皮ひと袋(?)の中に種は平均3個。手強い相手です。一昔前から、そのうち改良されて、食べやすくなるだろうと期待し続けていますけど、改良は、難しいのでしょうね。毎年、リクエストして、到着を待ち焦がれているフルーツですが、残念ながら今年も種は健在(?)でした。
酸味と甘味のバランスは...というと、相当に甘味が優っているので、柑橘類としては“くどさ”を感じる方がいるかもしれませんが、インパクトのある濃い甘味は、来年もまた、とアンコールしたくなる秀品です。
果肉の鮮やかな色とハリをお伝えしたくて、慎重に薄皮をむいてみました。(右、イメージ)
まん中の窪みが、種を取り去った後です。手はベタベタ、果汁も飛ぶので、テーブルクロスの上などでの作業はお勧めできません。
02/06/25 
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