ワシントン条約の壁を乗り越えて...
 オーストリッチのバッグは
          どこで買う?

 ビアンキ・エ・ナルディで最後にオーストリッチのポシェットをオーダーしてから、はや8年が立っていることに気がつき、そろそろ補充をと思い立ちメールで問い合わせをしました。カクカクシカジカで、また欲しいので同じように小さいバッグがあれば、お知らせくださいというリクエストに対して、返事はなく、念をいれてファクスを送っても反応がなかったので、最終手段で電話かけたところ、いやにフレンドリーなスタッフが、こちらが用件を伝えるまでもなく、メールを見たよ〜と...。でも、もう小さいバッグはやってないんだと教えてくれました。あっけにとられる程の即答でした。 
  それなら一言連絡をくれれば...というのは、ビアンキに限ったことではなくて...最近ではトカチアンがそうでしたけね。ファブリスも返信が無いなあと思ってたら、公式サイト自体が見つからなくなって,電話をするまでもない状況になってしまったので、縁はおそらくこれきりでしょう。あればお知らせくださいという問い合わせは、無ければ返信無用と解釈されるようで...次回からは、「どちらにしても御返事をください。」としめくくらなくちゃと思いますが...ともかくも、あてにしていた店からの取り寄せは出来ないことが判った以上、どこか、別の店を探さなくてはという話になりました。

 デパートに行けば早いかといえば 、そういうものでもなくて、オーストリッチ製のバッグでもポシェットサイズとなると、色やデザインを選べる程の充実した出会いは期待薄なのです。だからこそ、かつて三越でビアンキのポシェットに20数万円を支払ったわけですが、現地の価格で購入してしまうと、もう、スモールバッグにン十万はだせません。つまり、デパートで良いものを見つけても、すぐに手は出せないというわけです。そこで“オーストリッチのバッグ”“ポシェット”等のキーワードで検索して、わたしは、ショップ探しに時間を費やしました。ネット通販では意外に手頃な価格のオーストリッチ製品もでまわっていましたが、内側が合皮だったり、ベルトや底部分に牛革が併用されていたりと条件が合わず、日本語のページにこだわらずに検索範囲を拡げてみると、幾つか候補が表れました。

 イタリア、ローマの店は、質の良さが伝わってきそうな商品画像にひかれたものの、大きなバッグが主だったので断念。
  シンガポールとタイランドのショップが一件づつ、その他の7〜8件は南アフリカの郵便局留の住所を持つショップでした。メイド・イン・南アフリカのバッグには、即座に食指は動きにくかったものの、一見してかなりお安いものが多かったので、まず,色選択や買い物かご(peypal専用決済)機能が備わっていて、商品価格も明記されていた店に、内側の素材と、発送時にCITESの証明書をつけてくれるかどうかなど、詳細を問い合わせました。残念ながら、この店からの返信はありませんでした。というか、問い合わせメールを送信してしばらく後、ショップのトップページに、赤い文字で『Please note: We are no longer accepting orders』の記載が追加されて、買い物かごも機能しなくなっちゃいました。商品選択して、プルダウンで色も選べるのに...しかも問い合わせ前は即日決済も出来る勢いだっだけに危ういことでした。
 この店の他でも、在南アフリカの複数のショップでは全く同じ?デザインのオーストリッチグッズ(スタイル名も同じ店もありました。) がとりあつかわれていたりして、なかなかAよりBが良さそうという判断も付かない状態でしたが、とりあえず、ワシントン条約に関しての対応状況と、送料と、希望の商品の価格等を数件に問い合わせをしました。結果、個人客の注文は受け付けていないとか、※個以上からの受付になる(あるいは無回答)と言う中で、割と速く、丁寧な返信をくれた店がLUGRO OSTRICH PRODUCTSでした。

LUGRO OSTRICH PRODUCTS 


 価格は明記されている一方、色選択や買い物のプロセスが説明が不足していた店ですが、 メールでのやり取りはスムーズで、疑問に関しての説明も丁寧でスタッフの印象も上々でした。ネット上では見え方の誤差があるという理由で、色見本はアップされてお
らず、こちらからの希望を伝えてすりあわせる方式でした。面倒...なのは最初だけで、商品と一緒に実物のカラーサンプルが送られてきたので、2回目以降は色指定ができるようになりました。支払いはクレジットカード。カード番号の他にセキュリティーナンバーが求められましたが、メールで別々に送信するようにとのアドバイスがありました。ファクスでの送信は不可。一番ややこしかったのが、発送方法でして...。郵便局を使うけれど、国外に出たら責任は持てないというわけです。保証付の発送方法が無いので、紛失してもどうにも出来ませんと...いやあ、そこまでハッキリ言われると、考えてしまいますよね。こちらでUPSなどを選んで利用することはできるというので、じゃ、送料は払います。UPSにしてくださいというと、そういうことではないと...。こちらでUPSに集荷依頼をしなくてはならないというのです。大阪から、南アフリカの特定の店に集荷を依頼することは不可能でないにしても、ものすごく面倒じゃありませんか。送料は、着払い? 店の近くにUPSはあるのかどうかから調べなくちゃ...ということで、事故があった時には諦める覚悟で、郵便での発送に同意しました。ただ、万が一のリスクを最小限にする為に、注文はまとめず、ひとつづつにしました。商品価格に送料が含まれているんですしね。

 注文前に、オーストリッチ製品の輸出入にあたって、必要なCITESの証明証はつけてもらえるかどうかを確認しましたが、南アフリカから輸出するオーストリッチ製品にはそれは不要との返事がありました。CITESの証明証が必要なのはクロコダイル製品などだと....。ああ、なるほど、南アフリカ産に決まってるから必要ないのかなと推してみるしかありませんよね。 少なくともCITESの証明証云々で話が通したので、一定の安心感を得ての注文でした。
 主人の、免許証入れ付きのデザインの財布(ファブリスで購入したのと同種のデザイン)を受け取ってから、 わたしの財布を、それが無事に届いてから、ごく小さいポシェットを注文しました。オーダーした時点で、希望の色は無くこれから作るということでしたが、追加料金は不要で、二週間程で手元に届きました。
 発送後にはメールで連絡があり、追跡番号も知らせてくれました。 この番号で、南アフリカ国内は南アフリカの郵便サイトで、国外に出た後は日本郵便のサイトで追跡が可能でした。財布ふたつは、通常書留郵便と表示されたので、あれ?多少の保障はついてるんじゃないの?と思いましたが、箱入りで届いたバッグは書留付きではないただの国際小包でした。
  8千円前後のものなので、万が一は万が一と割り切って注文するにはいいかもしれません。
 バッグのストラップも蓋の内側もオーストリッチレザーでした。内側はスウェード...(多分)。カードを5枚差し込めるスリットが中についていますが、裏地とオーストリッチレザーの一体性に何があって、不用意にさしこもうとすると、切り口から数ミリ、裏地と革との分離がすすむので、実質、5枚はさしこめませんが.....こんなものでしょう。

 
  支払った価格を思うと、大変満足度の高い商品を受け取ることができました。

far east repitile house
 
LUGRO OSTRICH PRODUCTSよりも前にコンタクトを試みたのがシンガポールのfar east repitile houseでした。
 クロコダイルとオーストリッチ素材のバッグを扱うショップで、とにかく製品イメージがダントツに美しかった!大変良いものに見えました。商品イメージにはズーム機能も付いて、質感や色なども細かくチェックでき、選択カラーも豊富にありました。商品のイメージは一方向からのみの1枚なのが残念でしたが、サイズ、素材等、デザインの特徴は箇条書きで説明されていました。内側の素材は革。申し分ありません。価格記載はなく、各商品については専用のフォームを利用して問い合わせるシステムが取られていました。
 一番ありがたかったのが、カズタムオーダーを受け付けていることで、 イラストや写真、文章等で好みを伝えて自分が欲しいデザイン、サイズを注文することができるというわけです。そこまで大層なことはいずれそのうちのことにしても、既存の商品の横幅を2cm短くしてということなら簡単ですし、それで、自分のベストサイズが手に入るなら、おいしい話じゃありませんか。
  おまけに、さすがに貿易大国といいましょうか、確認するまでもなく、HP内に商品にはCITESの証明書が付くとの説明があり、安心させられました。
 で、商品一覧の中から、比較的小さいデザインをふたつ選んで、まずはオーストリッチ素材で注文した場合の価格を尋ねました。
回答は早かったです。それぞれの価格と、注文から受取りまでのプロセスも説明がありました。HPに買い物かご機能は無いので、オーダーはメールかファクスで、スタイル番号や素材、色の指定、個数を伝えて、請求を待ちます。支払いは銀行振込か現金、またはPAYPALからの選択で、もちろん私はPAYPALを利用。
  PAYPAL用のインボイス(請求書)はメールで送信されてきました。発送はフェデックス。送料は...結構高かった
ものの、発送の連絡の二日後には到着しました。CITESの証明書のコピー(原本は税関で回収)はインボイスと一緒に封書入りで同封されていました。

 商品は、期待に違わず大変美しいものでした。ベーシックなグレイを補充するつもりが、いわゆるチャコールグレイしか無かったので、 ライトブラウン系のミンク色を選びましたが、これも良い色でした。ただ、蓋の裏側はオーストリッチ素材ではなく、革仕様でした。商品説明通りでしょといえば、その通りなのですが、ビアンキのバッグは贅沢な仕上がりだったことを再発見させられました。これに関しては、リクエストすればオーストリッチ仕様への変更は容易いと思いますが、次にどうするかは差額次第でしょうね。

 次まで待てなかったのがベルトです。やはり裏側が革仕様だったのですけど、蓋の裏側と違ってベルトは常時見えるので、わたしには両面オーストリッチ素材へのこだわりがありました。加えて、うかつでしたが基本がショルダー使用のベルトだったため、斜めがけで使うにははちょっと短め....。長さ指定をしなかったのも、素材を確認しなかったのもこちらのミスでしたが、一応、受取りの連絡のついでに、ベルトがちょっと短かったけど...(商品は大変気に入りました)とつけ加えたところ、すぐに、希望の長さのベルトを作って交換することが出来るとの返信がありました。

 ありがたい!けど、さんざん拡げてファションショーをしたあげく、返信を読んだ日の午前中に外に持ち出してましたし、交換よりは追加でオーダーするのが無難と思いました。それならいっそと、お値段を確認してから、裏も表もオーストリッチ素材でとリクエストしました。
バッグの納期は約3週間でしたけど、ベルトは数日で届きました。
 お値段はそれなりに(8年目のビアンキよりは数万円高)ですけど、商品の品質と安心保険料を考えれば、 納得の買い物。余り時をおかずお世話になりたい店でした。

 
 far east repitile houseからのバッグを待つ間、タイのショップから主人用の財布を取り寄せました。
 価格が表示され、買い物かご機能も使えるHPを持つ店で、CITESについての表記もありました。問い合わせに関しての回答もスムーズでした。。印象は悪くない店でしたが、
商品は色、スタイルともにHPで掲載されているもののみで、50個以上のオーダーだと色のリクエストも可能とのことでしたが、色展開もベージックな5色程度で、選択肢は多くはなかったです。財布の、窓ポケット(IDカードや免許証入れ)にビニールが使われていたことがマイナスポイントで、買い物はし易かったですが、商品に格別の魅力は無かったように思います。

Klein Karoo Boutique
 LUGRO OSTRICH PRODUCTSつながりで、偶然に見つけたのが、Klein Karoo Boutiqueでした。

 Kl ein Karoo...クラインカルー? 聞き覚えがあるので日本語で検索してみたら、出てきました!オーストリッチレザーブランド、クラインカルー! 日本代理店が運営している日本語サイトは、素材としての紹介に留まっていますが、Klein Karoo Boutiqueは製品販売のサイトでした。商品価格が、日本のサイトでわざわざクラインカルー社のオーストリッチを使っているとうたっている商品と比較して安すぎる為、関係がないのかも...という落とし穴もあり得るとしたうえで、好きなサイズだったミニバッグと小物をいくつか、買い物かごに入れて、送信しました。
 オンラインで出来るのはそこまでだったようで、 ほどなく、オーダーした各商品について、在庫のある色を知らせるメールが届きました。 
  この店の60色におよぶカラーチャートは特筆もので、オーダーに踏み切ったのも、色選択の多さに惹かれちゃって....だったのですけど、結果的にこちらが指定した色の商品の在庫はありませんでした。60色全てが常時あるとは思っていませんでしたけど、リクエストは出来ると考えていたので、在庫の色を知らされるのは予定外でした。わたしは在庫の中から選ぶ必要があるのか、それとも希望の色をリクエストすることができるのかとたずねたところ、詳し〜い説明が返信されてきました。
 小物はバッグなどを作った余り革で作られる為(まあ、そうでしょう)小物を作るために、特定の色の革をまるごと1枚の買い付けることはできない(まあ、そうかもしれませんが....)というのですね。在庫の中から選ぶか、あるいは全ての商品を同じ色でオーダーするなら、色のリクエストが可能だというわけです。わたしは色を揃えたいわけじゃなかったので、改めて、色は在庫の中から選択し直しました。

 やり取りはメールで、返信、回答も早く、 スムーズでした。支払いに使うクレジットカード情報は、メールに添付されてきたフォームに必用事項を記入して、プリントしたものをファクスで送信するという方法がとられました。その後、やはりメールに添付されてきたレシートも同様にプリント、サインをしてファクスで送り返しました。
 オーダーの手続はこれで完了で、後は待つだけ。商品は翌日発送されたという連絡がありました。配送業者はaramixというところで、追跡も可能でしたが、1日程度のタイムラグはありました。
 実は、成田到着から数日動かないのを気にしていたら、佐川ロジティクスを名乗るのスタッフから電話がありました。
 aramixと提携している日本国内の担当会社だったのですが、証明証の不備で通関手続が出来ないというのですね。南アフリカから輸出されるオーストリッチ製品にCITESの証明証は不要のはず...と言ったら,原産地証明は必要だというのですね。ああ、そういえば、ビアンキやファブリスからの荷物に不備があったときにも、CITESの証明証か南アフリカの原産地証明って、言われた記憶が...。結局何らかの証明証は不可欠ということなんですね。
 佐川のスタッフによると、Klein Karoo Boutiqueから届いた荷物には原産地証明証のようなものは添付されているものの、コピーなので、効力が無いというのです。原本を送るように発送者に連絡を取って欲しいと指示を受け、言われた通りに伝えました。が、この後は、いつかあったのとおんなじやりとりが....。

 あらら? ちゃんと、原産地証明証をつけましたよ。
 でも,コピーではなく原本が必要と言われています。
 添付したのはコピーじゃなく、オリジナルです。どういうこと?(こっちが聞きたい。)

 それならとにかく一旦はその証明証を使って通関手続きを試みてみましょ
うということになりましたが、税関でも明らかなコピーだからダメいわれ、わたしは状況説明に苦労させられました。
 こういう時に、添付したのは通常、自分たちが輸出品につけているもので、これまでどの国でも 何の問題も無く通関出来ているのに、今回に限って何が問題なのか....と不思議がられるのは、過去に何度か経験しましたっけ。 で、税関の話では,同じショップからの荷物にはちゃんと正しい証明証が付いていて問題なく通関出来ているというのですから、たまたまわたし宛の荷物に添付したモノが、いつもつけてい証明証と何かの手違いで違っちゃっただけじゃないの?と思うんですけど、もしかしたら間違えたかも...とは先方は絶対言いませんね〜。新たな原産地証明書は、成田の佐川ロジティクス宛に発送してくれましたが、(荷物に添付した)証明証でこれまで問題は無かったけれど、それが受け付けられないというなら、別の証明証を送るというわけです。私の荷物は1週間程成田で留め置かれた後、当初添付されていたのとは全く様式の異なる原産地証明証で無事に通関を果たすことができました。

 この間のやり取りは、それなりにストレスでした。
 しかも、佐川ロジティクスのメインダーゲットは企業...なんでしょうね。個人使用なら簡易課税の優遇措置もあるはずなのに、これまでにない(あ、昔、スマイソンのグッズを取りよせた時に一度、ありました。おかしいんじゃないですか?と問い合わせたら、当時通関を請け負った業者は、個人輸入だと区別できるものがないので、販売用品と判断したと言われましたっけ。)率で課税されました。

 送料も高いし、出来れば配送業者をかえて欲しいところですが、商品は、いい感じでした。この価格でこの品質が得られるなら、送料や関税が他よりは割高でも,取り寄せのメリットは大きい気がします。
 
 普段使いは紛失のリスクはあっても格安,送料込みのLUGRO OSTRICH PRODUCTSで、カスタム、あるいはセミオーダーで、本当に欲しい色やスタイルにこだわるならfar east repitile houseで、欲しいものが在庫にあればKlein Karoo Boutiqueで補充というのが、賢い利用の仕方でしょうか。
 ただ、Klein Karoo Boutiqueの原産地証明云々のトラブルで、オーストリッチ製品に証明証は要らないのよと言ってきたLUGRO OSTRICH PRODUCTSの見解を確認する必要があるかもしれません。3回、問題なく通関して届いたのは、CITESの証明証は要らないけど原産地証明証がちゃんと付いていたからなのか、それとも単価も安いし無税なので、単に(オーストリッチ製品としての)チェックをすり抜けていただけなのか...後者ならまた証明証を巡る交渉を迫られる時がくるかもしれないわけで、悩みますね。

                                  
                                     11/10/23
 

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