JUNのトマムレポート 2007 “雪花”で、新しい感動に浸ろう! 雪花 Vol. 2へ
ガレリアに新登場(場所は、中華の旧ガレリア桃里)のレストランとなれば、嫌でも気になるところですが、雪花は今季はクローズのルミエールの代替えレストランという位置づけになるので(ルミエールファンのゲストにとっては)期待とともに、不安もまた少なからず....。
洋風懐石というカテゴリーはフレンチと重なる部分もあるので、ルミエールとの比較もやはり免れない運命を背負っての船出でしたけれど、海の神の守護を得たようで、雪花はシーズン当初から、好意的な評価を多く得ているようです。
わたしが利用したのは、2月中旬、既に利用なさったゲストからの情報のおかげで、印象は(オープンの噂を耳にした当初と比較して)右肩上がりの状況での利用でした。
事前のリクエストは、やはりいただきたいフォアグラのソテー.(左上イメージ、なすとカシスソースのコンビネーション)と根菜素材のクリームスープのふた品。オリジナルのコースを基本に、差し替え、追加、全体量を増やさない為のアレンジはシェフに一任しました。別のページでも言及する機会があると考えますが、食事に関してのリクエストは、受けたスタッフにとって、対応差があるようで、今季「事前のリクエストを受け付けてもらえなかった。」という投稿がありました。(ご本人の希望により、投稿は削除)いわゆる、「予算に応じて、お料理のご相談をお受けします。」という看板を掲げている訳ではないので、この部分は、スタッフ個々の柔軟性と判断力、そして経験によって生じているムラかもしれません。それゆえ、リクエストの内容を公表するのは控えた方がいいのかも...というリピーターさんからの「ちょっとしたジレンマ」もメールでいただきました。
定評あるトマムスピッリッツの健在の証とも言えるスタッフの対応力の正当な評価の為にも、感謝の気持ちを広く表したいという気分と、その結果、不要な混乱を招くことになったら...というジレンマですね。スタッフの異動や交代に伴う、不十分な意思の疎通も懸念材料です。
今回の雪花の食事に関しては、シェフと、リクエストの受付窓口となってくれたスタッッフの許可を得ての紹介です。
右上がアミューズ3種盛り合わせ。
基本コースではこの後に冷前菜がふた品続くところでしたが、魚介類の瞬間スモーク(左下イメージ)のあとに、差し替えになった温前菜のフォアグラのソテーの登場でした。
魚介類の瞬間スモークは、ドーム状の蓋が取り去られると、煙が立ち上る演出付き。(不用意に構えていて、ちょっとむせました。)スモークの香りに刺激を受け、素材の鮮度を目視して、舌で確かめるという、一皿で3度美味しい前菜でした。
フォアグラは、『わたしの好きなルミエール風』というタイトルを授与したいくらいに、ツボにはまった焼き加減! カラリと仕上げられた表面の香ばしさ、とろける食感に酸味がアクセントの甘いソース、付け合わせは、ナス! 野菜かフルーツの組み合わせで...と細部のオーダーをしていなくても「一番のお気に入りバージョン」が登場しました。これを雪花でいただけることの感動と安心感(今年は、リッツカールトンで特別リクエストをしなくてもいいんだわ...という部分をも含んだ安心感)を大きさを言葉にするのは難しい...。
同行のTomokoさんの「もう一皿食べたい....」と言う究極の感動コメントも飛び出しました。
右イメージが、ウニのコンソメロワイヤルに代えての、ホタテと蕪のクリームスープ、カプチーノ仕立てのアップ。蕪とホタテが、サラリとした口当たりの液体の中にコロコロと隠れていました。このスープの濃度も「わたしの好きな...」との形容詞を付けたい仕上がり...となると、今季の雪花の方が昨シーズンのルミエールよりは、ルミエールらしいかもしれません。洋風懐石のコンセプトの結果、料理に軽さ(ヘルシー感)があるせいかもしれませんが、今季厨房を担当なさっているお若い宍戸シェフは以前からいらした方ですから、トマム風、ルミエール風を継承されている貴重な人材のお一人なんですね。
もちろん、シェフの個性は表われるでしょうけど...トマム流の基本がブレていない感じで、スープをいただき終わった時点で、『いつもの(ルミエールでの)気分』に浸ってしまいました。
スープの後は、(おそらく)基本コースそのままのラインナップです。
根室産、タラバ蟹のグリエ、オリエンタル風(左イメージ)
瀬棚産、蝦夷アワビのグリエ、ソースグルノーブル、口直しの氷菓をはさんでメインディッシュ、富良野産、牛ロースのグリエ、ニンニクのピュレ添え、牛フィレ肉のグリエ、ロースト舌ジャガイモ添え、炙り鮪の握り寿司で食事はおしまい、特性デザートとコーヒーが別腹用に用意されます。
蟹は、道外客に北海道を印象づけるには、いい役割り...(カレー個が隠し味)かもしれませんが、わたし自身は、別に雪花でいただかなくても...というのが正直なところでした。お箸でね、..身をほぐして...という作業がね...。タラバをいただくなら2〜3千円UPして、やま里か、桃里か、あるいは三角の(要は、同じ。桃里で使うタラバを三角に取りにきていたという話を聞きました。)タラバを使ってもらいたいわね〜。でも、そしたら、量が増えるわよね、おっきい方が食べ易いけどね、太い部分を一口分でいいんだけどね..、殻付きじゃないのがいいよね...と気侭な会話とともに、いただきました。余談ながら、付け合わせのキャベツが美味しかった!
魚料理のふた品目、アワビは、インパクト、食べ易さ、風味がそろい踏みの高得点の一品!バターベースのソースの甘みと厚切りカットのアワビとの相性は言うまでもなく、殻の下にしかれていた青菜もちりばめられた松の実も、すべていただきました。パンがあれば、ソースを残すこと無く味わえたのに..という点だけが、
残念でした。左下イメージが盛りつけの全体像。綺麗ですよね。
クリストフルのカトラリよりは、確かに...お箸の方が扱い易い仕上がりです。
アルファの“a”マークがデザインされたクリフトル社、ホテル仕様のナイフとフォークがメインディッショに備えてセッティッング。
ついでならいっそ最後までお箸でいただいた方が...と感じないでもありませんでしたが、お箸対応となると料理のアレンジも限定されるでしょうから、お肉はなかなか、そうもいかないようですね。右下イメージの奥がフィレのグリエとジャガイモ、手前がロースのグリエとニンニクのピュレ、お肉は...小さいと感じるゲストもいるでしょうけど、炙り鮪の寿司を控えた状況では、これで十分! 最も、ピュレやソースが余ってしまいましたが...。
視覚的なバランスはベストなだけに...残したピュレには「ごめんなさい」というしかないですね。ほんの少しで、主張しっかりのピュレでした。
炙り鮪の握り寿司は、3貫。コースの締めくくりとしてはボリュームもあります。
そこそこおなかが膨らんでしまっていたことと、前日に三角の寿司コーナーでお世話になっていたという事実が無ければ、感動はもっと....50% 増しだっただろうにと考えると、もったいない条件下で味わうことになりました。...1時間後にいただきたかった...。
デザートにうつるまえに「少し量は多かったですか?」とスタッフに尋ねられたので、傍目からも『限界』に見えたのでしょう。年をとると...だんだんとね...、一度にいただける量がね....。
とはいえ、デザートは昔からの言い伝え通りに、別腹アイテム。
フロマージュ、アンジュ(タンジュ)だというお話だったので、コーヒーではなく紅茶を選択しました。
別腹にしても、チーズは重いかも...との懸念からでしたが、いい方向で予想は外れました。
ラズベリーかブルーベリー(忘れました.しかも、イメージも無い...。)で風味付けした軽めのアンジュを、フロマージュムースでカバーしたレアケーキと、洋梨のソルベ、フレッシュフルーツとナッツチョコを添えて...ヴァニラの香りの甘いアングレーズソースとラズベリーソーズ酸味のコンビネーションで...という説明で、「わかんないよ。」という方は、右下イメージをじっくりご覧くださいね。
デザートは、新田パティシェの作品です。
雪花は、初トマムのゲストには感動を、作シーズン以前に利用経験のあるゲストには、安心感を抱かせる店だと感じます。
ルミエールと異なるカテゴリーで稼働を初めて欲しかった思いはくすぶってはいますが、抑えた価格で目と舌を堪能させていただきました。
まずは、素直に、雪花の始動を喜びましょう!
07/03/08 

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