JUNのトマムレポート・2008・
　　　　　　　　　　　　　　　　次への期待を育む為に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

JUNのトマムレポート・2008　プラチナムでトキメキ晩ご飯

　2008年グリーンシーズン、SEKKA( 雪花）改め、プラチナム（窓からの景観を意識した店名...らしい）が稼働。
　料理長に異動なし、料理の方向性が変わったわけではないとのことで、 まずは“おいしさ”への安心感は確保できたものの、“量”の問題は引き続きの懸案事項でした。実際には（おそらく）夕食券メニュー以上に食べているのでしょうから、自分で思っている以上に食べられてますよ〜というささやきが聞こえてきそうな話ですが、2月にこれまでの感覚でオーダーしたコースでは、数年振りにちょっと“無理”をしましたから、それなりに、わたしには深刻な問題なのでした。
　簡単な対策としてはプレート数を減らすことでしょうね。
　プリモ、セコンド、一品づつか一品と二品が無難なところ...とはいえ、フォアグラはいただきたいし、いきなり温前菜も寂しい、肉か魚かの選択も寂しいということで、今回はスープが削除候補となりました。もともと定番のメニューには記載が無かったものですし、これまでとの違いが最も大きかった一品です。ところが「スープはいりません。」と積極的な決断ができない...。インパクトがあるのに口あたりは軽くて、お腹に入れば控えめなスープというのは、どこにでもあるものではなくてね、ルミエールは（我が家にとって）スープを楽しめる数少ない店の一つだったので、未練があるわけです。
　結果的に、スープ削除は、全体的なボリュームを減らすことが 難しいケースの第2案として、リクエストしました。

　その未練に応えて装い新た（？）に登場したのがイメージ（温前菜、冷前菜）の料理です。フォアグラのプレートは、2月と比較して、仕上がりの軽さがが判り易いと思います。6月は付け合せも野菜かフルーツでと希望を伝えました。勝手なものでそのうちにまた2月のバターソースも食べたくなるかもしれませんが、なんといっても6月のフォアグラのソテは100% 好みの、“トマムの王道”とも言うべきハチミスソースに感激させられました。場合によってはカットもありだったスープも、サラサラ食感が復活して、コースは理想型になりました。
　言うまでもないことですが、適量には個人差があります。
　定番メニューで丁度いいゲストには、当ページは不要な情報ですし、ルミエール、雪花の利用経験のない方は、参考資料としてバックナンバーをご一読くださいね。ポイントは、店の場所が変わり、店名が変わり、サービススタッフが替わり、シェフが替わり、メニュー構成が変わっても、リピーターを惹き付ける対応力は変わらないということです。

　本来全く別の店...食事を目的にした行き着けのレストランがこれだけ変化したら『常連さん』の居心地も変わるもの、疎遠になる『昔のお客』を、店もあえては追わないものです。が、ホテルのメインダイニングとなれば、滞在中の利用は必然で....例えばトマムで遊ぶ限りは、エリア内レストランとの縁は続きます。
　こちらとしても、選択肢がないのでね、ルミエール恋しや..と の気分を抱えて、プラチナムを利用するわけです。“これまでの基準”を有するゲストは、店からすれば歓迎しにくい存在かもしれない状況で、

トマムでスタッフの手を煩わせているのは、後者...ですね。
　わたしもその一人...自覚はあります。でも、黙ってメニューをひらいていたら、今頃は前者に連なっていたかもと考えます。シェフの“腕前”の問題ではありませんよ。食券を中心に価格帯が大きく変わったのですから、前の方が良かったというのはあたりまえなのです。その前の、前の、前の...（ルミエールの）開業当初までさかのぼってしまうと、これはもう完全無欠のフルコースで、お昼抜きで挑んでも完食は無理という品数と大胆なお値段は、お腹にも懐にもきつかった....。一番景気の良い時が、我が家にとっても一番だったわけではなく、利用を重ねて、必要な希望（嫌いな食材や、興味のある食材　品数など）を伝えるうちにできあがったからこその“ベスト”なのです。なかったことには、したくはない...。

　

それぞれにお気に入りを持っています。気に入らなければ，再利用はありませんものね。利用の度に増えていくお気に入りやとっておきを抱え込んだ“モノ言うゲスト”を、“これまで”のデータを持たないスタッフが受け入れるのは大変なことです。それでも、外部から洋食の料理長として参入されたシェフは、2度目にして、こちらの“事情”に100％の理解を表し、期待に応えてくれました。
（肉料理の付け合せは、スライストリュフで仕上げたサラダ！）
　こういうケースで“今まで同様”と言うのは、シェフに対しては褒め言葉にはならないのでしょうけど...満足度今まで通りの、つまりはトキメキ一杯の晩ご飯でした。
　次からはもう「前と同じような感じで..。」とお願いするだけ。お気に入りがまた増えていくのが楽しいではありませんか。

　実はグリーンシーズンからはプラチナムの厨房は料理長の鷲野シェフに替わって、佐藤シェフが担当しているとのことで、わたしは9月、食後にそのことを知りました。左上、新ジャガを使用のクレープ包みフォアグラ、ベリー添えのイメージから以下は佐藤シェフの料理ですが、いかがですか？　
　
　3年前にルミエールでいただいた料理と言っても、違和感は無いと思います。データが揃ったのでしょうね。
　こちらの、好みのツボ をビシッと抑えたラインナップ。
　冷前菜の前に 、『ルミエールからの小さなおくりもの』よろしく、軽い一皿が供されたり、デザートの前に小さな甘み（ただし、口直しのシャーベットがカット）が追加になったり、品数増えて、ボリューム変わらず、うれしい変化でした。
　　
　6月に、全体量と付け合せの重さへの不安が解消されたお陰で余裕が出たわたしは、アワビが食べたくなって魚料理の素材にリクエスト。
　道産アワビ料理がセールスポイント だった雪花とは全く別の仕上がりでしたが、このアワビと新ジャガのクレープ、肉料理の付け合せで存在感を放ったコーンとジャガイモ、美瑛産の和牛、“高価な食材”ではないにしても、（コース価格が下がっていてびっくりしました。）いいものを使った料理は完成度も高く、特異性にも好感をもちました。

　2009年スキーシーズンのレストラン情報は、公式HPではまだ記載がなく、プラチナムにしてもメニューがどうなるのかはわかりません。
　イタリアン・フレンチなのか、フレンチになるのか、チョイスか，固定コースメニューか ....アラカルトがあるのかないのか、シーズン毎にみなおされる自由度は意図あってのことかもしれませんが、正直、リピーターには“うんざりする状況”.....。再利用を導くのは“変わらない感動”であって“目新しさ”（目新しいのが増えるのは別の話）ではないわけでね、わたしとしては冬はまた冬の素材で“前と同じような感じ”の料理をいただけるのが、一番うれしい。
　
　けれども、案ずるよりも云々... 3年前のデータが引き継がれていなくても、 メニューに自分のお気に入りが見つからなくても、諦めることはありません。期待は裏切られることなく、ゲストのこだわりに応えてくれるスタッフもいます。

　ただ...ハッキリ言ってしまいましょう。
　当レポートは、リピーターに向けてのコメントです。
　冬期、プラリナムを再利用するゲストの多くは、ルミエールか雪花のコースを基準に持っています。だからこそ、フォアグラのポアレやクリームスープ情報は、より高い満足度のためのオプションとして活かして欲しいと思います。それゆえ、おそらくは同じ価値観を持つリピーターの、安心材料として、わたしはメニューとは無関係の料理を紹介しています。
　
　この冬、プラチナムはサービススタッフの異動もあり、利用履歴に関わらず、ゲストの要望への対応力はUPしているかと、わたしは考えます。